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Reference Points ロレックス ポール・ニューマン デイトナの全て

ポール・ニューマン デイトナは、有名でありながら悪名高く、美しくも危険であり、希少であると同時に貴重な時計でもあるのだ。 そして、その理由をあなたは知ることになる。

ポール・ニューマン所蔵のデイトナの販売を記念し、ポール・ニューマン デイトナの包括的な振り返りをこのリファレンス・ポイントでお届けしよう。木曜夜の販売の前に、ポール・ニューマン デイトナがどのようにして誕生したのか、そしてそこから派生する全てのモデルを復習しておくことを忘れないように。詳細は乞うご期待。

※この記事はUS本国版にて2014年4月に執筆されたものです。

リファレンス・ポイントシリーズの第2弾は、現代の時計収集において最高の名声を誇る血統を取り上げる。この時計は、有名でありながら悪名高く、美しくも危険であり、希少であると同時に貴重な時計でもあるのだ。私はこれから紛れもなく、ロレックス “ポール・ニューマン”デイトナについて語るのだが、同時に、この伝説的な時計の6つのリファレンスを探り、その歴史の浮き沈み、一部始終をつまびらかにしたい。一方で、パテック フィリップ パーペチュアルカレンダー・クロノグラフに関する最初のリファレンス・ポイントをお読みになっていない方は、こちらをご覧いただきたい

 最初に断っておくが、この記事はポール・ニューマンの人生や、彼が身に着けた時計についての暴露記事ではない。それが目的であれば、Jake’s Rolex Worldにうってつけの記事がある。 ここでは、ポール・ニューマン デイトナの各リファレンスを検証し、読者の方々にとても収集性が高く誤解の多いこの時計の、さまざまな資質を理解していただけるようにしたいと思う。


では、どうしてポール・ニューマンと呼ばれるようになったのか?
ロレックス デイトナ Ref.6239 ポール・ニューマン ダイヤルの比較 Hodinkee編集部にて

画像提供:Antiquorum.com

 上の画像は、どちらも黒文字盤のステンレススティール製のロレックス コスモグラフ デイトナRef. 6239で、1967年頃の製造だ。左のRef. 6239の市場価値は妥当なラインで約2.5万~3万ドル、右は約9万〜10万ドルの価値がある。実際に、左側の時計は2013年12月に2万8750ドルで落札され、右側の時計は全く同じオークションで9万3750ドルであった。この2つの時計は機械的には全く同じで、左のRef. 6239のケースは右のケースよりも強度があるように見えるのだが、なぜこの2つの間に6万5000ドルの価格差が生じたのか? その答えは、右の時計がポール・ニューマンのデイトナで、左の時計はそうではないからだ。唯一の違いは、信じられないことに文字盤、ただそれだけだ。ヴィンテージ・デイトナを“ポール・ニューマン”デイトナにしているのは文字盤だけなのだ。だからこそ、ポール・ニューマンは最も危険なヴィンテージウォッチのひとつなのだ。詳細は後ほど。

 ダイヤルに焦点を当ててみよう。具体的に何がポール・ニューマンをポール・ニューマンたらしめているのかが分かるだろう。

ロレックス デイトナ ポール・ニューマン Ref.6241 ダイヤル  Hodinkee編集部にて

Ref. 6241 ポール・ニューマンのクローズアップ画像。

ロレックス デイトナ Ref.6239  パンダダイヤル Hodinkee編集部にて

通常のRef. 6239のクローズアップ画像。

 上の2枚の画像を見ると、その違いがよく分かる。ポール・ニューマンは、数字のフォントがアールデコ調でハッシュマークは小さな四角から伸びている。さらに、外側のミニッツトラックとダイヤルとの間に小さな“段差”がある。Ref. 6241ポール・ニューマン(以下PNとも表記)のこの独特の個体は、ダイヤルは第三の色(赤)を採用し、微妙な特徴を与えている。しかし、デイトナのわずかなデザインの違いに大金を払う価値があるのだろうか? このエキゾチックなダイヤルが最初にロレックスから発表されたとき、多くの人はそう思わなかっただろう。

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 実際、これらのダイヤルバージョンは何年も店の陳列棚に並んでいた。伝統的なデイトナのダイヤルは、今やコレクターに高値を吹っかけるファンキーなマルチカラーの文字盤よりも、ロレックスの顧客に好まれていたのだ。このように、PNのオリジナルの販売レシートが製造日より数年、数十年とは言わないまでも数年経過してしまったケースは珍しいものではない。これがポール・ニューマンの世界が澱んでいる理由のひとつだ。

 そして、これらのエキゾチックダイヤルは、あまり売れなかったので、ロレックスが製造数を抑えたことも原因だ。ShearTimeのアンドリュー・シアー(Andrew Shear)氏によると、デイトナの通常ダイヤル20本につき、エキゾチックダイヤルが1本作られる割合であったという。 そして、ロレックスは現在のような垂直統合型のメーカーではなかったことを忘れてはならない(ダイヤル製造を担当していたのは、別会社であるシンガー社(Singer)であった。そして、同社がポール・ニューマンスタイルのダイヤルを供給したのは、何もロレックスだけに限らない。例えば、下の画像は私たちが昨年シカゴでのポップアップストアで販売した、エキゾチックダイヤルをもつ2レジスターのバルカンだ。

ポール・ニューマンダイヤルのバルカン

 この非常に貴重な文字盤の製作にシンガー社が関わっていたことが、事態をさらに複雑にしている。1980年代から2000年代初頭にかけて、エキゾチックダイヤルのデイトナが人気を博し、イタリアのコレクターが“ポール・ニューマン”と呼ぶようになると、その数は激増していった。まさにこれが1960年代と70年代の不人気モデルが世界で最もホットなヴィンテージウォッチになった瞬間だ。


ポール・ニューマンの影響力と、イタリア市場
ロレックス デイトナを着用するポール・ニューマン

画像出典:Jake’s Rolex World

 上の写真は、所有するRef. 6239エキゾチックダイヤルを装着したニューマン氏の写真だ。この写真がいつ撮影されたのか、何のために撮影されたのかは明らかではないが、それ以来、象徴的なニューマン・オン・ニューマンの写真となっている(友人ジェイクから拝借)。しかし、コイツはどのようにしてアイコニックな存在になったのか、そしてどうやって時計コレクターはこの特定のダイヤルにニューマン氏との繋がりを発見したのだろうか? よく知られていながら、完全に裏付けの取れていない話では、Ref. 6239を身に着けたニューマン氏がイタリアの雑誌の表紙を飾り、それを見たイタリアのコレクター/ディーラーが、次に来る時計はこれだと広まったというもの。私はその雑誌の表紙を見たことがないし、それを見たという人と話したこともない。しかし、どういうわけか、どうにかしてニューマンがエキゾチックダイヤルのデイトナを所有していることが知られるようになり、時計はいわば世に出たのであった。

 私のオフィスにあるハプスブルク、フェルドマン(現在はアンティコルム)のカタログを見てみよう。ここには素敵な時計たちの1988年12月7日のオークション予想落札価額が掲載されている。

ロレックス ポール・ニューマン デイトナが掲載された1988年のカタログ

 ここには2つのRef. 6241ポール・ニューマンが掲載されている。 その内のひとつは金無垢で、8000~1万ドルと見積もられた。もう一方はスティール製で、見積もりは3000~3500ドルだ。さらに、このカタログには3つめのポール・ニューマンがあり、ステンレススティール製Ref. 6239ホワイトダイヤルで、見積もりは3000~4000ドルだった。これらの価格は高いとは思えないが、思い出して欲しいのは、この時計の小売価格はわずか15年前には300ドルだったことだ。それでも、ポール・ニューマン デイトナの価格が、このオークションの直後から急上昇したことは特筆すべき点だ。

 Ref. 6239のホワイトダイヤルを参考に、ポール・ニューマンの過去20年間の推移を見ると、その価値はまるで彗星のごとく上昇したことが分かる。実際、過去20数年間のPNの価値の上昇に匹敵する量産時計は、世界中どこにもないのだ。

ロレックス ポール・ニューマン デイトナの価格推移

2013年 7万5000ドル (約720万円、クリスティーズ、ニューヨーク、6月11日)

2008年 6万6000ドル (約670万円、アンティコルム、10月17日)

2003年 3万9434 ドル(約430万円、アンティコルム、10月11日)

1998年 1万7296ドル (約225万円、クリスティーズ、ロンドン、3月18日 )

1992年 9257ドル (約124万円、アンティコルム, 4月11日)

 しかし、このために、また、通常モデルのデイトナとポール・ニューマン デイトナの間には、ダイヤルバリエーション以外の仕様の違いがないからこそ、ヴィンテージ・ロレックスの醜い側面が頭をもたげる最大の要因となっている。世界にはポール・ニューマンの偽物のダイヤルの数が、他の時計の偽物の文字盤の数を合わせた数よりも多いのだ。実際、ベテランコレクターと対話すると、世界には本物よりも偽物のポール・ニューマンダイヤルの方が多いと言っても過言ではないそうだ。紛れもなくクールなクロノグラフ、ことポール・ニューマンを探しているときには、時計そのものだけでなく、誰から買うのかということを含めて購入することを、強く強くお勧めする理由でもある。私はこの記事で、偽のポール・ニューマンダイヤルを見分ける方法に踏み込むことはしない ― それはひとつの記事で解説するには、あまりにも広い、異世界への入り口だからだ。また、偽物のダイヤルを作ろうとしている輩に何が間違っているのかを教えることで、ヒントを与えることにもなるだろう。しかし、下記にポール・ニューマンを調べる中で出くわすかもしれない6つのリファレンスの各々について、違いを理解できるよう解説したい。


Ref. 6239
ロレックス デイトナ ポール・ニューマン Ref.6239

 最初に紹介するポール・ニューマン・デイトナは、最も一般的で最も安価ではあるが、ニューマン氏が実際に着用していたリファレンスであるという点で、最も正当派なモデルといえる。Ref. 6239は、ポンププッシャーとスティールベゼルが特徴で、ムーブメントはロレックス バルジュー722を内蔵する。1963年にのみ存在するMK 1デイトナの後、1960年代半ばに生産が開始され、白または黒のダイヤルの両方が存在する。ダイヤルは、黒、白、赤で構成され、6時位置のレジスターの上に書かれた"DAYTONA "が表記される点が特徴である。


Ref. 6241
ロレックス デイトナ ポール・ニューマン リファレンスRef.6241

 Ref. 6241は、あらゆる点でRef. 6239と同じがだが、ブラックのアクリルベゼルが追加された。同じくバルジュー722、3色ダイヤル、ポンププッシャーが採用されている。Ref. 6239よりも魅力的で、希少性の高いRef. 6241は、オーソドックスなRef. 6239と比較して10~15%のプレミアム価格が付くことが予想される。

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過渡期のRef. 6262
ロレックス デイトナ ポール・ニューマン Ref.6262

 そして、Ref. 6262。 Ref. 6239に酷似していると思うだろう。 実際、外見は全く同じだ。しかし、そのムーブメントには727と呼ばれるバルジューの改良型キャリバーが採用されている。Ref. 6239に搭載されているバルジュー722が1万8000振動/時であるのに対し、727は2万1600振動/時にハイビート化されたのだ。Ref. 6262は、スティールベゼル、3色ダイヤル(2色ダイヤルもあるかもしれないが)、ポンププッシャーを備えている。このリファレンスは1970年から1年間だけ製造され、Ref. 6239と見分けがつかないので、途方もないプレミアム価格ではないものの、非常に珍しいといえるだろう。それでも、私のようなオタクならば、Ref. 6262が超クールな時計だと思うに違いない。


過渡期のRef. 6264
ロレックス デイトナ ポール・ニューマン Ref.6264

 Ref. 6264は、Ref. 6262のブラックベゼル版だ。Ref. 6264もまた、わずか1年しか製造されなかったモデルで、アップグレードされたハイビートのCal.727、ポンププッシャー、そしてブラックのアクリル製ベゼルが特徴だ。写真で示す個体は18Kイエローゴールド製だが、スティール製のモデルでは6時位置の12時間積算計の上に "Daytona "の文字が入った3色の段付きダイヤルが採用されている。繰り返すがRef. 6264は、たった1年だけ作られた非常に珍しいモデルで、ロービートのポンププッシャーデイトナとハイビートのオイスターデイトナの架け橋となっている。


オイスター Ref. 6265
ロレックス デイトナ ポール・ニューマン Ref.6265

 1970年頃の個体から、手巻きロレックス デイトナの最後の2つのリファレンスが見られるようになる。Ref. 6265は、ここで見られるように、スクリューダウンプッシャーと厚めの "オイスター"スタイルのケースを纏っている。また、Ref. 6265は目盛り付きSSベゼルを備えており、今では3色ダイヤルの代わりに、白と黒の伝統的な "パンダ "スタイルのダイヤルをもつ。そして、6時位置の上に "デイトナ "表記はない。さらに、ブラックダイヤルで "Rolex Oyster Cosmograph "のサインが入ったRef. 6265ポール・ニューマンは存在しない。唯一のブラックダイヤルのポール・ニューマン デイトナは、" Rolex Cosmograph Oyster "と表記されているはずなのだ。それについては、以下で詳しくご紹介しよう。


オイスター Ref. 6263
ロレックス デイトナ ポール・ニューマン Ref.6263

 ポール・ニューマン パンダダイヤルのロレックス コスモグラフ オイスターRef. 6263は、なんというか...完璧? そう、まさにそれだ。パンダダイヤルのRef. 6263は、最も渇望され、最も美しく、最も高価なスタンダードのポール・ニューマン デイトナなのだ。パッと見て、ツートンダイヤルが黒のアクリルベゼルに対して引き立つような印象を受ける。もちろん、Ref. 6263は技術的にはRef. 6265を模倣し、ムーブメントにバルジュー727を搭載し、ねじ込み式のプッシャーを備えている。 繰り返すと、"ROC "表記(Rolex→Oyster→Cosmographの順)ブラックダイヤルのRef. 6263ポール・ニューマンは存在しないが、"RCO "表記(Rolex→Cosmograph→Oysterの順)ならわずかながら探すことができるだろう。わずかというのは、数十本単位の話だ。ブラックダイヤルにスクリューダウンプッシャーのポール・ニューマンは20本足らずと言われていて、オークションに登場すれば、それこそ見ものである。そう、100万ドルを超えるようなショーとなるのだ。

 パンダダイヤルのRef. 6263は確かにブラックダイヤルRCOよりも一般的だが、それでも決して一般的ではなく、良好な状態でオリジナルのオイスターPNを見つけることはますます困難になってきている。このように、ポール・ニューマンのRef. 6263の価格は20万ドル以上で、シルバーダイヤルのPNではないRef. 6263はミントコンディション(新品同様)で約4万ドルの値が付く。クレイジーに聞こえるが、本当の話だ。このことから、次のような質問が投げかけられる。ポール・ニューマンはその違いがルックスだけだというなら、本当にプレミアム価格に見合う価値があるのだろうか?

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ポール・ニューマン デイトナの未来
ロレックス デイトナ ポール・ニューマン 全ダイヤル

 ポール・ニューマン デイトナの価格が通常のデイトナよりも高いのはなぜなのか、一瞬たりとも理由をつけようとしてはならない。また、エキゾチックダイヤルのホイヤーやユニバーサル、他の類似した時代のクロノグラフよりも高いのはなぜだろうか。実用的なレベルで俯瞰するのも意味がない。しかし、時計収集も、とりわけヴィンテージ・ロレックス収集も理屈で成立するものでもないという点で紙一重なのではないだろうか?

ロレックス デイトナ ポール・ニューマンとユニバーサル ジュネーブ コンパックス

 ポール・ニューマンは希少な時計だろうか? もちろん、そうだ。実際には、オンラインで見かける頻度から想像するよりも遥かにレアな存在なのだ。元々付いていないはずのダイヤルも数多く存在する。完全に偽物のダイヤルが数多く存在し、似て非なるダイヤルもそこら中に数多く存在し、あるはずのない時計に付いた本物のダイヤルも数多く存在する―つまり、何者かが部品を交換したことを示す(なぜそうするかって? 例えば、ポール・ニューマンのダイヤルをもつRef. 6239のケースが研磨痩せしてしまっているが、ダイヤルはミントコンディションであるとしよう。そして、ケースがミントコンディションの、通常の非PNダイヤルのRef. 6241を持っているとしよう。Ref. 6241を10万ドル以上の時計にするには、ダイヤルを交換することを思いつくのだが、リファレンスの異なる文字盤の交換は、即ち時計と矛盾したダイヤルを備えていることになる) 。

 つまり、私が言いたいのは、ポール・ニューマンのように見える時計の多くから、真正のポール・ニューマン デイトナを見つけることは簡単なことではない。状態の良い個体となるとなおのことである。しかし、それに加え、ポール・ニューマンは、僕が特に気に入っている2つの初期のクロノグラフよりもはるかにレア度が低い。マーク1デイトナRef. 6239とスピードマスターRef. 2915のふたつだ。これらの時計はどちらも状態が良い個体が6万ドルから8万ドルで購入できるが、10万ドルからのポール・ニューマンよりも少し面白いと思う。しかし、だからと言って、それらがよりクールであるとか、経済的により大きな価値をもつという意味ではないけれど。

ロレックス デイトナ ポール・ニューマン

 ポール・ニューマンは非常に多くの理由で好まれているが、そのうちのひとつは、単に分かりやすくゴージャスであるという紛れもない事実だ。ダイヤルの遊び心はとても美しく見え、良い意味でロレックスらしくない。また、似合うかどうかという点で手首を選ぶ時計でもある。そして、あまりにも有名であるため、天文学的な価格に到達した現在でも一般的な時計と同じくらい流動性が高いのだ(訳注:頻繁に売買される)。

ロレックス デイトナ ポール・ニューマン

 価格は永遠に上昇し続けるのだろうか? 私たちがさまざまなダイヤルバリエーションについての知識を深め、腐った卵を淘汰する努力を続けている限り、そうなるかもしれない。ポール・ニューマンは、おそらく最も有名で、メガ・ロレックス以降の引っ張りだこのモデルであり、私はそのすう勢が今すぐ変わるとは考えていない。しかし、私は将来のことを見通せるとは思っていないし、平均26万4000ドル以上で時計が落札されたクリスティーズの”Lesson One”オークションで、ロレックス デイトナが売れた後でもその急騰が当面続くと本気で信じているわけでもない。


究極にして最後のデイトナ

 ここまでは、基本的なポール・ニューマンの時計を取り上げて、その核心的な違いを簡単に理解いただいた。しかし、この究極的な時計の究極的なレンジの中にも、さらに特別なものが存在する。まず、ゴールドのポール・ニューマンだ。今回ご紹介するRef. 6264のように、14Kと18Kの金無垢ケースの両方とも、収集家の間で非常に人気がある。通常、ブラックまたはシャンパンカラーのダイヤルを備えている。

ロレックス デイトナ ポール・ニューマン イエローゴールド

 そして、トロピカルダイヤルのポール・ニューマンだ。ちょうど他のトロピカルダイヤルのロレックスのように、ブラックダイヤルが素敵な暖かい茶色に変色した状態を指す。経年変化次第で、プレミアム価格も変動するだろう。下の画像はRef. 6241トロピカルダイヤルのポール・ニューマンである。

ロレックス デイトナ ポール・ニューマン リファレンス Ref.6241 トロピカルダイヤル

 次に、ダブルネームのポール・ニューマン デイトナだ。ローマで販売中のティファニーサイン・ダブルネーム デイトナRef. 6239が2本ある(現在は販売済)。

ロレックス デイトナ ポール・ニューマン Ref.6239 ティファニーダイヤル

 ダブルネームのポール・ニューマンの中で 最も高価なものの一本が 、約1年前にクリスティーズで売却された。それはパリのエルメスで販売された金無垢のRef. 6241だ。

 続いては、2013年アンティコルムにて84万ドル以上で落札されたレモンダイヤルのポール・ニューマンだが、このオイスターケースは金無垢のオイスターケースであり、今までに見たことのないダイヤルだ。

ロレックス デイトナ ポール・ニューマン イエローゴールド レモンダイヤル

 それから、もっとエキゾチックなものがある。技術的にはデイトナではないという点でポール・ニューマン ファミリーの一員ではないが、それは初代ヨットマスター。このプロトタイプの文字盤は3つの個体が存在する:ひとつはロレックスのもの、もうひとつはかつてエリック・クラプトン氏が所有していたもの、そして3つめはジョン・ゴールドバーガー氏のもので、彼は親切にもHodinkeeでそれを披歴してくれた(記事「Talking Watches 有数のコレクター ジョン・ゴールドバーガー世界に数本しかないヴィンテージを公開」参照)。

ロレックス デイトナ ヨットマスター

リファレンス早見表
ロレックス デイトナ ポール・ニューマン リファレンス一覧

 上記の早見表はポール・ニューマン デイトナのリファレンス全てを網羅したものではないが、最もよく見られ、有効なものとして認められている仕様の基本的な知識を得られるだろう。Ref. 6240(Cal.722の初期の過渡期のオイスターケース)は、その希少性のために省略した。オリジナルのポール・ニューマンのダイヤルをもつRef. 6240を見つけることは実際に可能であり、もし見つけることができたなら、ツートンのマーク1パンダダイヤルまたは3色のRCOダイヤルを備えていて、Ref. 6240の生産後期に該当するはず、というのが共通した見解だ。

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まとめ
ロレックス デイトナ ポール・ニューマン

 この記事が、ポール・ニューマン デイトナを追求する愛好家の意欲を削ぐのではなく、実際によりよく理解しようと積極的に探している愛好家の助けになることを願っている。ポール・ニューマンは世界で最も危険なハイエンド・ヴィンテージウォッチであり、購入する際には下調べをすること、ポール・ニューマン絡みのうまい話に出くわしたときに、そのことを常に思い出すことがどれほど重要であるか、口を酸っぱくして言って言い過ぎることはないだろう。

ロレックス デイトナ ポール・ニューマン全リファレンス

 そうは言っても、ポール・ニューマンには何か特別なものがあり、それが身近にあるだけでも、真の時計愛好家にはかなりの衝撃を与えることができる。この時計は真の伝説に他ならないわけだ。


謝辞

 この記事で紹介した7本のポール・ニューマン デイトナを提供してくれただけでなく、この記事のリサーチにも尽力してくれたアンドリュー・シアー氏に感謝の意を表したい。アンドリューは世界で最も優れたヴィンテージ・ロレックスの専門家であり、ディーラーでもあり、読者がヴィンテージ・ロレックスを入手するために彼を推薦したい。アンドリューのウェブサイトはこちら

 さらに、撮影のためにソーホーの素晴らしい店舗を提供してくれたSilver Lining Opticiansに感謝する。ヴィンテージで独創的なアイウェアをお探しの方は、トンプソンストリート92番地にある店頭をチェックしてみて欲しい。