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Introducing リシャール・ミル RM 72-01 オートマティック フライバッククロノグラフ 2020年新作

ブランド初の完全自社製フライバッククロノグラフが完成。

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クイック解説

 リシャール・ミルは、7月にもクロノグラフモデルをリリースしていたが、この度、新たに発表されたモデルもフライバッククロノグラフである。その名も、RM 72-01 オートマティック フライバッククロノグラフ。だが、前述のRM 11-05 オートマティック フライバッククロノグラフ GMTとは、異なる性格をもつ、非常に意義深いモデルとなっている。

 何といっても、最大の見どころは、自社で開発、デザインが行われた、ブランド初の完全自社製フライバッククロノグラフであるという点だ。そんな記念すべき本作には、特許取得済みの新機構、ダブルスイングピニオン連動機構が盛り込まれた。その名前から想像が付くかもしれないが、このクロノグラフは2つのスイングピニオンをもっている。

 スイングピニオンとは、クロノグラフの伝達方式の1つ。通常、秒針を動かす歯車(4番車)と秒クロノグラフ車を繋いで動力を得るために、両端に歯車を持った細長いピニオンギアというパーツが使われている。このパーツは、クロノグラフが作動する際、両端の歯車が4番車と秒クロノグラフ車とそれぞれ噛み合い、動力を伝達。逆に停止状態では、このピニオンギアが傾くことで秒クロノグラフ車との連結をカットする。ピニオンギアが傾く(スイングする、振れる)ことが、その名の由来である。一般的に、スイングピニオンは古典的なキャリングアーム式、そして、近年注目の垂直クラッチ式に比べると、構成部品が少なく、薄型化、省スペース化を図ることができるという特徴をもっている。

 通常のスイングピニオン式クロノグラフでは、前述の4番車と秒クロノグラフ車を繋ぐために1つだけピニオンギアが採用されているが、本作では、60分積算針の動力を香箱から直接得るために、もう1つピニオンギアが追加されている。

写真中央が、本作に搭載されている、主ゼンマイを収めた香箱と秒積算車を繋ぐためのスイングピニオン。

 そして、リシャール・ミルは、プレス向け資料の中で、このダブルスイングピニオン機構を備えたフライバッククロノグラフの特徴について、次のように説明している。

 「リシャール・ミルが特許を取得した、この新タイプのフライバッククロノグラフは、クロノグラフの積算計間に生じるトルクを分離。ディスプレイ(積算表示)と時・分の連結部分は、クロノグラフ秒針の歯車から切り離されています。これが、ダブルスイングピニオンの連動機構です 」

 つまり、3つのクロノグラフ積算計の動力は香箱から直接供給される。そして、クロノグラフ機能と通常の時計機能が分離されているため、クロノグラフを作動させてもムーブメントの動きに影響を与えにくいという。これは、クロノグラフを動かしていないときは、完全に動力をカットできるため、精度が落ちにくいということである。また、資料では、結果として、このクロノグラフ機構は、パワーリザーブにも影響を及ぼさないとも付け加えられている。

 なお、本作では、グレード5チタン(TI)と18Kレッドゴールド(RG)そして、ブラックTZPセラミックスおよびホワイトATZセラミックスの4つのバリエーションが用意されているという。ただし、セラミックスモデルは来年以降の販売予定となる模様。そこで、本稿では、グレード5TIモデルと18KRGモデルの2本に絞って紹介する。

 いずれのモデルも自社製のオートマティック フライバッククロノグラフを搭載しており、ケースサイズは38.4mm × 47.34mm。パワーリザーブはクロノグラフの使用有無に関わらず50時間だ。グレード5 TIモデルは2050万円(税抜予価)、18KRGモデルが2600万円(税抜予価)となっている。

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ファースト・インプレッション

 リシャール・ミルにおいて、クロノグラフというのは極めて重要な存在で、以前から多くの特徴的なモデルをリリースしてきた。では、これまでにどんなモデルが登場してきたのか。簡単ではあるが少し振り返ってみたい。

 初めてラインナップにクロノグラフが加わったのは、2004年。RM 004 スプリットセコンド クロノグラフだ。開発に5年以上の歳月が費やされ、1つの動作のみで、2つのアームが同時にスプリットセコンド歯車を“つかむ”ように機能するピンサー(はさみ)の動作を特徴としたモデルだ。
 そしてフライバッククロノグラフが登場したのは、2007年のRM 011 フライバッククロノグラフ フェリペ・マッサから。以降、さまざまなバリエーションが登場し、ブランドの代名詞ともいえるモデルとなった。

 多くのクロノグラフが登場したが、さまざまな機能を追加したコンプリケーションモデルということもあり、いずれもケースはかなり厚めだった。

 筆者の個人的な感想だが、新作のRM 72-01 オートマティック フライバッククロノグラフにおいて、特に見るべきポイントはケースの厚みではないかと考えている。

 本作の資料の中でも、ムーブメント技術部長のサルバドール・アルボナ氏が、ダブルスイングピニオン機構の利点は、薄くできることにあると語っている。実際、Cal.CRMC1は、425もの異なる部品を内蔵したクロノグラフにも関わらず、非常に薄く、厚みは6.05㎜しかない。立体的なケース構造のため一見、厚く感じるが、実はケースを含めても11.68mmだ。多機能かつ、自動巻きクロノグラフであることを考えると、かなり薄い部類に入るだろう。

 筆者は、以前執筆した記事の中で、リシャール・ミルの魅力のひとつは単なる技術アピールではなく、全てユーザーが実際に使用することを想定して考えられた実用性の高さにあると言及したが、時計の厚みはフィット感を左右する重要な要素。コンプリケーションクロノグラフでありながら、厚みが抑えたユーザー志向の本作は、まさにブランドの真骨頂ではないだろうか。

 付け加えるならば、視認性に配慮されている点も、本作の大きな魅力ではないかと思う。

 例えば、スモールセコンドはブルー、クロノグラフ秒針はレッド、60分積算計はオレンジ、そして24時間積算計はグリーンと、4つのカラーが使い分けられており、それぞれが非常に見やすい。

 加えて、各インダイヤルのサイズもかなり大きい。代表的なモデルのRM 011 フライバック クロノグラフと比べると非常に分かりやすいのだが、このカラーの使い分けと大きなインダイヤルの採用により、視認性とは対極にあるようなスケルトンダイヤルでありながら、各表示が極めて見やすくなっているのだ。

 正直なところ、ある種、ステータスの証として購入されることも多いと思われるリシャール・ミルにおいて、こうしたこだわりが重要であるかは分からない。しかし、ブランドとして大きな成功を納めていても、変わらずユーザー志向のものづくりを貫くリシャール・ミルは、素直にすごいブランドなのだと感じている。

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基本情報

ブランド: リシャール・ミル(Richard Mille)
モデル名: RM 72-01 オートマティック フライバッククロノグラフ(RM 72-01 Automatic Flyback Chronograph)

直径: 38.4mm × 47.34mm
厚さ: 11.68mm
ケース素材:グレード5チタン(TI)、および18Kレッドゴールド(RG)
文字盤色: ブラックカラーのグレード5チタン製
インデックス: 3、8、11のみアラビア数字インデックス
夜光: 時・分針、および文字盤外周に設けられた12の三角インデックスにスーパールミノバ
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ラバー
追加情報: 18KRGとブラックTZPセラミックス製ダブルO-リングガスケット、ラバー製リングをもつリューズ


ムーブメント情報

キャリバー: CRMC1
機能: 時・分表示、フライバッククロノグラフ(センタークロノグラフ秒針:レッド、2時位置に60分積算計:オレンジ、5時位置に24時間積算計:グリーン)、3時位置にファンクションインジケーター、7時位置にデイト表示、9時位置にスモールセコンド(ブルー)
直径: 29.10mm × 31.25mm
厚さ: 6.05mm
パワーリザーブ: 50時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 39


価格・発売時期

価格: グレード5 TIモデルが2050万円(税抜予価)、18KRGモデルが2600万円(税抜予価)
販売時期: 10月以降(セラミックスモデルは来年以降の販売を予定)
限定: 限定ではないが、ごく少数

詳細は、リシャール・ミル公式サイトをクリック。