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今年、オーデマ ピゲはロイヤル オーク誕生50周年を迎える。本日、オーデマ ピゲはこのアニバーサリーを祝う最初のタイムピースを発表した。※オーデマ ピゲ ロイヤル オークは、その製造工程により生産本数が大幅に増えるような性質のマスプロダクトではない。2022年も続く人気・需要の過熱ぶりにより、残念ながらブティックに問い合わせたからといってチャンスが巡ってくることはないと思われるが、その素晴らしい時計自体の魅力と50年間にわたる豊かな歴史や背景を知り(この記事がオススメだ「オーデマ ピゲ ロイヤル オークの起源について、あなたが知らない8つのこと」)、まずAPを知ることから始めよう。なお、時計の入荷状況は各国ごと、日本でも地域ごとに差があり、現時点で未定とのことだ。
今年はオーデマ ピゲにとって大きな年になりそうだ。それはもちろん2022年にロイヤル オークが、世界初の真のステンレススティール製のラグジュアリースポーツウォッチとして発表されてからちょうど50年目を迎えるからだ。オーデマ ピゲのヘリテージ部門は最近、この時計の生い立ちに関する驚くべき詳細を発表した。今日、HODINKEEでジャック・フォースターがその詳細を紹介しているので、先に進む前にぜひ彼の記事「オーデマ ピゲ ロイヤル オークの起源について、あなたが知らない8つのこと」を読んでみてください。それまで少しお待ちしましょう。
さて、ロイヤル オークの初期の歴史がわかったところで、ここからは、この新作がどういったものなのかに触れていこう。22年ぶりに新リファレンスとなったロイヤル オーク“ジャンボ”だ。15202はなくなり、16202が登場したのだ。
オーデマ ピゲは、16202の新しい4つのリファレンスを展開する。スティール製ブレスレット、アニバーサリーブルーダイヤルのRef.16202ST.OO.1240ST.01。ピンクゴールドケースとブレスレット、スモークグレーダイヤルのRef.16202OR.OO.1240OR.01。イエローゴールドケースとブレスレット、スモークゴールドダイヤルのRef.16202BA.OO.1240BA.01。プラチナ製ケースとブレスレット、スモークグリーンダイヤルの16202PT.OO.1240PT.01。
新リファレンスは必ずしも劇的な変化を意味するわけではないが、この時計にとってはそれが素晴らしいことなのだ。直径39mm、自動巻き、秒針なしのスリムなロイヤル オークは、アイコンである。そして、そのアイコンをよりよいものにすることを目標に、ありのままの姿を残す。これこそ、オーデマ ピゲが16202で行ったことだ。
スティール製ブレスレット、50周年アニバーサリーのブループチタペストリーダイヤルを備えたRef.16202ST.OO.1240ST.01。
要するに、16202は15202に新しい文字盤デザインと新しいキャリバーを搭載したものなのだ。大したことではなさそうだし、多くの人にとってもそうだろう。しかし、オリジナルの5402を特別な存在にしていたものを評価する人にとっては、これは重要な変化なのだ。なぜなら、ロイヤル オークに搭載されていたキャリバー(AP Cal.2121、当時はJLC920をベースにしていた)が、ロイヤル オークをロイヤル オークたらしめたからである。当時、世界で最も薄い自動巻きキャリバーで、厚さはわずか3.05mm、これによってリファレンス5402の厚さはわずか7.01mmに抑えられていた。我々が愛用しているRef.15202も同じキャリバーを使用しているが、サファイアケースバックのため厚さは8.1mmとなり、やはり地球上で最も薄く、装着性の高いスポーツウォッチのひとつとなっている。
だから、新しい16202のプレスリリースを受け取って(受け取ったというのは"懇願した"という意味だ。なぜなら、ほかにも書きたい時計があり、ロイヤル オーク"ジャンボ"は常にそのひとつだから)、この時計に新しいムーブメントが搭載されているのを知ったとき、「なんてこった。2121が入っていないジャンボなんて」と思ったのだ。私は、新しいロイヤル オークRef.16202がRef.15202の8.1mmより1mmも厚くならないことを祈りながら、ケースサイズの表をすぐに見てみた。するとどうだろう。まったく同じ厚さなのだ。そして、ここからが大きなニュースである。
イエローゴールド製ブレスレット、スモークゴールドダイヤルを備えた16202BA.OO.1240BA.01。
新型のCal.7121。
この新しいRef.16202は、ケースの外形寸法は15202とまったく同じものだが、ムーブメントサイズが大きく変わっている。本キャリバーは、より大きく(28.4mm→29.6mm)、より複雑で(部品数247個→268個)、より高い振動数(1万9800振動/時→2万8800振動/時)だ。そしておそらく最も重要なのは、15202の40時間に対して55時間とパワーリザーブが延長された点だろう。新しいCal.7121は、2121よりも厚みがある(3.05mm→3.2mm)。これは、2011年のベンが私に教えてくれた事実である。
新Cal.7121、3.2mm×29.6mm、2万8800振動/時で駆動、55時間のパワーリザーブを備える。
しかし、Ref.16202の外形寸法はまったく変わっていない。そしてそれは、オーデマ ピゲが祝うに値する偉業なのだ。
28.4mm x 3.05mm、1万9800振動/時、40時間パワーリザーブの廃盤となるCal.2121。
Cal.7121は5年の歳月をかけて開発され、ボールベアリングを用いた現代的なローターを採用し、ふたつの自社製リバーサー(切り替え伝え車)を使用している。さらに、ロイヤル オーク"ジャンボ"のユーザーとして最大のニュースは、クイックデイト機構が搭載されている点だ。この薄型自動巻きキャリバーにこのような機構を搭載するには特許が必要だったようだが、ロイヤル オーク"ジャンボ"を頻繁に着用する私にとっては、これはまさに一大事だ。日付を設定するたびに、小さな八角形のリューズを午後9時から午前12時のあいだに何度も回して親指を痛める日々はもう終わったのだ。冗談だと思われるかもしれないし、重要な変更には聞こえないかもしれないが、真面目な話、本当なのだ。
プラチナ製ケースにスモークグリーンダイヤルのRef. 16202PT.OO.1240PT.01。GPHG2021のアイコニックウォッチ部門賞。ダイヤルのスモーク効果は、文字盤のニスの保護膜にグリーンの着色料を一滴加えることで得られるもの。
Cal.7121は、コート・ド・ジュネーブ仕上げ、スネイル、サーキュラーグレイン仕上げ、鏡面仕上げされた美しい面取りと、まさにオーデマ ピゲの新しい自社製キャリバーに期待される熟練の仕上げが施されている。同社のR&Dディレクターであるルーカス・ラギ氏によると、このキャリバーの導入にはすべての部門が参加し、今後登場するいくつかの新しい自社製キャリバーの基礎となるものであるそうだ。これは楽しみだ。
オーデマ ピゲはまた、今年製造されるすべての16202の時計には、50周年記念の特別なローターが装着されると記している。これは、次の"ジャンボ"リファレンスが出るまでの今後10年ほど、2022年の作品に特別感を出すための粋な計らいと言えるのではないだろうか。
スモークイエローゴールド文字盤、Ref. 16202BA.OO.1240BA.01。
デザインのアクセントにもなっている、かの有名なベゼルに八角形ネジを配置する様子。
では、キャリバーも寸法もまったく同じで、ほかに何が新しくなったのだろう? そう、文字盤だ。2010年にオーデマ ピゲを訪れた際、私はオクタビオ・ガルシア氏に40周年記念モデルについて、「AP」ロゴが6時位置に戻る可能性はないかと尋ねたことを覚えている。するとガルシアさんは、「何だってできる」と言いながら、はにかんだような笑顔を見せた。40周年記念モデルの大きな変化は、まさにロイヤル オーク5402へのオマージュであり、私たちのようなギークが望むダイヤル構成であった。今回は、10年前のような構成のアップデートはないものの、文字盤デザインは新しくなっている。
ピンクゴールド製、スモークグレーダイヤルを備えたRef. 16202OR.OO.1240OR.01。
1972年にスターン・フレール(Sterns Frères)社が製造したロイヤル オークの文字盤に初めて採用された愛らしいプチタペトスリー模様も健在だ。“ベニュワール”(bagnoire、バスタブの意)型のインデックスもマッチした素材で、12時位置の“Audemars Piguet Automatic”のバックプリントも相変わらずである。 “Swiss Made”は文字盤の下部にあり、ミニッツトラックは文字盤に直接プリントされている。 特に印象的なのはスモークグレーダイヤルで、リリースによると「ガルバニックバス(直流電気浴)で実現されており、その時間と温度は、異なるピース間で均質な色合いを得るために重要である」という。 そして、回転させながら文字盤の外周部に丁寧にカラーニスを吹き付けることで、シームレスなグラデーションを実現。 "ジャンボ"ダイヤルの作り方は、本当に特別なのだ。 これも10年前のフラッシュバックだが、当時HODINKEEを読んでくれていた5人に、このことを話していた。
新しいダイヤルはどれも特別なものだが、オーデマ ピゲによると、スティール製のRef.16202のブルーダイヤルは、1972年製5402の手間のかかるオリジナルダイヤルをほぼコピー&ペーストしたものだそうだ。「この文字盤に採用されている50周年記念のミッドナイトブルー(Bleu Nuit, Nuage 50 color)は、ジュネーブの文字盤メーカーであるスターン・フレール(Stern Frères)社によって独自に開発されたもの。この青色は、文字盤をガルバニックバスに浸して得られるものなのだ。 配合も大切だが、時間と温度も重要となる。職人が文字盤をバスから外すのが早いと紫色に、遅いと黒く変色してしまうのだ。 そして、文字盤を保護するために、ブラックカラー(n°50)を数滴混ぜたワニスを薄く塗る。nuage(ニュアージュ)とは、黒色の液滴が保護用のワニスに入り込んだときに生じる曇りの効果のことだ。 今日、PVDコーティングはオリジナルの文字盤を忠実に再現することも可能だが、個体差をなくしてより一貫性のある優れたものにしている。
ということで、以上だ。真新しいロイヤル オーク"ジャンボ" Ref.16202のファーストモデル。これが最後でないことはわかっているが、コレクターの視点から見ると、この時計が何であるかを根本的に変えることなく、その歴史に素晴らしい一歩を踏み出したと言えるだろう。そして、それこそがこの時計にふさわしいことなのだ。ロレックスがするような時計イノベーションとでも思って欲しい。そして、それは何も悪いことではないのである。
Ref. 16202の価格は、ステンレススティール製が385万円、ローズゴールド、イエローゴールド製が814万円(税込価格)。ほかモデルの価格は要問い合わせ。
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HODINKEEでは、ロイヤル オークの中古品をこちらで取り扱っています。新作の詳細については、オーデマ ピゲの公式サイトをご覧ください。
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