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Just Because ブルガリ オクト オリジナーレ

輝きが止まらない!

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僕はこれまで、自分はシンプルで落ち着いた時計に惹かれるタイプだと思っていました。ベルサーチやマリノよりも、ケアホルムやロサンゼルス・ラムズ。でもたまには、心のおもむくままに買い物をしたくなることもあります。今回、僕の心はこのすべてがダイヤモンドで覆われたド派手なブルガリ オクトを求めているのです。公式には、オクト オリジナーレと呼び、今まで着けてきた時計の中でも、これほどマキシマリストな時計はなく、深く印象に残るものでした。

 ひと目見れば分かるはず。オクト オリジナーレの直径は44mmで、ホワイトゴールド製です。といっても、実際にはゴールドがダイヤでほとんど見えないので、気づきにくいかもしれませんね。この時計のベースとなっているのはフィニッシモでなく、最もベーシックなオクトです。ダイヤがふんだんに使われているにも関わらず、ケース構造はとてもクリアではっきりしています。ブルガリ時計部門の責任者であるファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏の話によると、ブルガリは今回、ケースの形や特徴的なファセットに大きな変更は加えず、ダイヤモンドをケースに合わせることを敢えて選んだのだとか。これは難しい作業であり、さらにバゲットダイヤだけを使うのはなかなかの挑戦だったといいます。ダイヤモンドの中で、唯一丸い形をしているのはリューズに使われているダイヤだけ。文字盤上では、針の中心に近づくにつれより小さなバゲットが必要になるため、ぴったりの大きさを探すのは、さらに困難を極めたようです。

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 ダイヤモンドを後付けされた時計を見たことがある人はお分かりでしょうが、今までこういった時計は、遠目には魅力的なのに、近寄るといまいちなことが多々ありました。しかしこのオクトはそういったものと違って、近くで見れば見るほど惹き込まれていく不思議な時計です。特にラグのファセットの端で輝くダイヤや、遊び心を残したままベゼルの外側をシームレスにつなげている点などは、特筆すべきポイントです。私はジュエリーの専門家ではありませんが、宝石学の学位がなくても、この技術の巧妙さは簡単に見てとれました。

 以上の特徴と並んで重要なのは、ダイヤモンド自体の品質です。ケースとブレスレット、リューズにはVVSのバゲットカットのダイヤモンドが979個も使われており、合計で42.51ct。文字盤にあたる部分にはVVSのバゲットカットのダイヤモンドが192個、VVSのラウンドローズカットのダイヤモンドが1個使われており、合計で7.74ct。つまり全体では1172個のダイヤが使われており、合計で約50.25ctになります。さすがにこれは、思わず目を見開くような量ですよね。

 さらに一番の魅力は、文字盤が見当たらない点にあります。風防の下でダイヤの間に数字やインデックス、ロゴがプリントされていますが、文字盤のプレートは見えないようになっていて、その上に煌めくようなパターンでダイヤモンドが配置されています。つまり、時計上に見えるものすべてがダイヤモンドというわけです。このような作りは今までに見たことがなく、実に目を引く演出でした。私が特に気に入っているのは、針やインデックスにあるブルーのアクセントで、時計に奥深さを加えており、まるで文字盤の中に飛び込めるかのような感覚を与えてくれます。

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 そして、このブレスレット。表面には違ったサイズのダイヤモンドが交互にはめ込まれており、興味深いテクスチャーです。ケースサイドを見てみましょう。それぞれのピースの側面には三つのバゲットダイヤがはめられており、サイズ調整用のピンがあるコマには、ダイヤモンドの一つがピンの上の絶妙な場所に入れられて、地のゴールドができるだけ見えないように配慮されています。このディテールを初めて見つけたとき、僕は小さな笑い声をこぼしてしまいました。“ダイヤモンド”というコンセプトを至高の形にまで押し上げた作品として、最高の評価に値すると思います。

 ちなみに、この時計を動かしているムーブメントはBVL 191。日付表示機能付きの自社ムーブメントで、オクト フィニッシモシリーズ以外すべてのコレクションで採用されています。振動数は4Hzで、パワーリザーブは42時間。合計で191個のパーツが使われており、装飾もばっちりです。この時計を買うような人が内部の機構にそこまで関心があるかは分かりませんが、そこまで凄いものではないものの、こういった時計にふさわしい上等なキャリバーです。

 さて、ジャーナリズム的な観点から次のことをお伝えします。バゲットダイヤのブレスレットが欲しくない場合は、クロコダイルのレザーストラップのモデルも存在します。でも、もしあなたが真剣にこの時計の購入を検討しているならば、以下のアドバイスを聞いていただきたい。

「出し惜しみはしないように」

 ブレスレットはこの時計の大きな特徴の一つであり、オクトシリーズのデザインは時計とブレスレットのセットでこそ真価を発揮します。ブレスレット無しでも問題はありませんが、その状態では、こうして記事にすることはなかったでしょう。この点はぜひ検討していただきたいところです。

 この時計は間違いなく手首の上で存在感を発揮するでしょう。重みと輝きがあり、腕を動かすたびに、まるで花火を打ち上げたように見えるでしょう。それも含めてすべてがデザインであり、意図されないものは何一つありません。僕はこの時計をとても気に入っていますが、この設計上の意図を踏まえても、一体どんなシチュエーションで着ける時計なのか、まだ思いつきません。ということはつまり、これは僕向けではないからだと思いますが、それでもこの時計について考えてみる価値はあると思っています。これは特別なときに数時間だけ、安全が確保された場所で着けるような時計で、地下鉄での通勤時に着けるような代物で無いことは間違いありません。

 そろそろこの時計がどのくらいするのか気になってきた頃でしょうか。単刀直入にお伝えすると、ブレスレット付きで1億370万円(税抜・予価)。かなりの高額です。ダイヤモンドがふんだんに使われた時計とはいえ、この値段はかなりのプレミアが付いています。同じくダイヤモンドで埋め尽くされたノーチラスやロイヤル オークと比較しても、それぞれ値段は2倍、3倍程開いています。これには二つの理由があります。
 一点目は、オクトのダイヤモンドが合計で50ctを超えるのに対して、ノーチラスは19ctを少し下回る程度。ロイヤル オークに至っては10ct弱だからです。二点目は、オクトには小さなブリリアントカットのダイヤモンドはなく、バゲットカットのダイヤモンドが使用されているため、カラットごとのコストも高くなるからです。この時計を買うと、これはたまに宝石を使った時計を作るような時計ブランドが作ったものではなく、最高峰宝飾品ブランドであるブルガリが作ったものであることをはっきりと認識させられるでしょう。ちなみにこのコメントはパテックやAPを揶揄するものではなく、単純に全くの別物という意味で言っています。

 もちろん、コメント欄で僕がこの時計をこれ程気に入っていることに対して揶揄されるのは分かっていますが、それは気にしないことにします。このオクト オリジナーレが時計学上のアートだと心から思っています。何より腕に着けた瞬間、僕に間の抜けた大きな笑顔をもたらしてくれました。それこそがラグジュアリーがもたらしてくれる心の余裕なのです。

詳細についてはブルガリ公式サイトへ。