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Introducing カルト的な人気を誇るMIHウォッチがメカニク2と名前を変えて復活

熱狂的なファンから支持を得るアニュアルカレンダークロノグラフの次世代モデルが、オリジナルデザイナーのひとりによって再登場を果たす。

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我々が知っていること

カルト的な人気を誇るMIHウォッチが帰ってきた。2005年に発表されたオリジナルのMIHウォッチは、当時ラ・ショー・ド・フォンの国際時計博物館(Musée International d'Horologerie、通称MIH)のキュレーターであった時計師、ルートヴィヒ・エクスリン(Ludwig Oechslin)氏の発案によるものだった(彼は後に、オックス・ウント・ユニオールという自身のブランドを立ち上げることになる)。そして今回、インダストリアルデザイナーのクリスチャン・ガフナー(Christian Gafner)氏の手によってメカニク2(Mechanik2)というブランドとして復活を遂げようとしている。ガフナー氏はエクスリン氏と独立時計師のポール・ゲルバー(Paul Gerber)氏とともに、オリジナルのMIHウォッチを共同でデザインした人物である。

メカニク2のケースサイド

 新しいメカニク2はオリジナルモデルと同様、直線状のアニュアルカレンダー(年に1回、2月末にリセットする必要がある)を搭載しており、3時位置に午前/午後、曜日、月、日付を表示。さらにモノプッシャーで操作できるクロノグラフも搭載している。オリジナルモデルからアップデートした要素として、メカニク2は文字盤上の12時位置に30分積算計を配置している。これはクロノグラフが作動すると、それに合わせて赤いドットが1分ごとに埋まっていくというものだ(オリジナルは時計の裏側に配された特別な窓から、30分積算計のクロノグラフカウンターがのぞいていた)。

 メカニク2はマットビーズブラスト仕上げのグレード5チタンケースを使用し、サイズは42mmだ。ケースと同様、ブラックの文字盤もマット仕上げとなっており、インデックスと針にはスーパールミノバを塗布している。一見ミニマムなデザインにも見えるが、オリジナルエンジニアとデザイナーの3人が考え抜いた特別なディテールが随所に施されている。まず分針はやや長めに設計され、6、9、12のマーカーにぴったりと合う。そして赤く塗られたクロノグラフ秒針の先端は、長いインデックスのちょうど2倍の長さになっている。さらに裏蓋を留めている12本のネジが12個あるインデックスと一致し、またリューズに施した12の刻みとも一致するのだ。

メカニク2

 オリジナルはラグからラグまでが約45mmあり、このモデルも同じような形状を保っている。ただラグを短めに設計しているため、比較的小柄な人でもうまく装着できるはずだ。厚みは13.7mmと結構分厚い。でももし、MIHのオリジナルウォッチと同じ設計であれば、しっかりとつけこなせるはずだ。オリジナルはケースのラグとラグのあいだにストラップ用の溝を設けていたため、厚いラバーストラップが手首にきれいに垂れ下がるようデザインされていたのだ。

 新しいメカニク2はMIHの旧モデルと同じく、アニュアルカレンダーという複雑機構を実現するために大幅に改造したバルジュー7750を搭載している。2万8800振動/時(4Hz)でビートを刻み、約44時間のパワーリザーブを備える。100m防水を確保し、毎日身につけることも想定してつくられていることがわかる。これらすべての要素が、6420スイスフラン(日本円で約97万5000円)で手に入る。また2022年の後半からすでに、メカニク2の新しい公式ウェブサイトにて予約受付を開始しており、予約時には総価格の半額を支払うシステムを採用している。


我々の考え

MIHのオリジナルウォッチはまさにマニアックな時計だった。それは究極のミニマリズムを体現しつつ、インディペンデントな時計製造技術が少しばかり散りばめられていた。そしてなかなか手に入らなかったのだ。オリジナルの値段はわずか6000スイスフラン(日本円で約91万円)で流通していたが、2005年から2020年までの15年という製造期間のあいだ、年産100本に満たなかったといわれている。この度登場したメカニク2もその例に漏れず、これだけの価格で、こだわり抜いたデザインと優れた時計製造技術が駆使されており、かなりつくりがいいように感じる。2012年にも紹介したが、新しいメカニク2はオリジナルと同じくらい、いや、おそらく少しはよくなっているように思う(クロノグラフを使用する場合は特にだ)。

オリジナルのMIHウォッチ

Analog/Shiftが販売している、MIHのオリジナルウォッチ。

 2020年、MIHウォッチを製造していた会社が生産を終了した。時計の外観デザインを担当していたガフナー氏はこの時計のレガシーを引き継ぎたいと考え、その権利を獲得した。その際、彼はデザインにいくつかのアップデートを施した。クロノグラフカウンターを裏蓋から文字盤へと移し、アニュアルカレンダーのモジュールにも手を加えてアップデートさせ、メカニク2が誕生したのである。

 3時位置に整然と1列に並んでいるアニュアルカレンダーの機能を見れば、なぜほかのブランドは複雑すぎるサブダイヤルや針にわざわざこだわるのだろうと、不思議に思うに違いない。このブルータリズムの美学は、オックス・ウント・ユニオールの次に見られる、エクスリン氏の今後の作品であると想定させるものだ。しかしエクスリン氏(それと彼の共同研究者)は、ただ単にブルータリズムやミニマリズムに取りつかれていたわけではなかった。時計製造に貢献するべく、バチカンの天文時計の修復で身を立てていた人物であるのだ。ケースやダイヤル、さらにはストラップやバックルといったデザインの細部に至るまで、あらゆる点でシンメトリーでバランスのとれたデザインを意識している。秒針がないことには疑問を感じるかもしれないが、ほかのことは一切気にしない時計として考えるとそれがなぜ外されたのか理解はできる。それが気をそらしてしまうからだと。

メカニク2

 2005年にMIHのオリジナルウォッチが発表されたとき、価格は当時6000スイスフラン(日本円で約91万円)だった。メカニク2がこの価格をほぼ維持していることは称賛に値する。今年発売された多くの製品と比べると、オリジナルデザインに富んだアニュアルカレンダーモノプシャークロノグラフが約7000ドル(日本円で約94万6000円)で手に入るのは、決して悪い条件ではない。

 オリジナルのMIHウォッチは、3人の伝説的な時計職人とデザイナーによってデザインされ、限定生産の、しかも売り上げは国際時計博物館へと寄付されるという、まさにインサイダーズウォッチだった。新型のメカニク2はこのレガシーを継承しつつ、熱狂的な時計愛好家が求める復刻版ではない本当の意味での再臨として十分な進化を遂げているのだ。

メカニク2の夜光
メカニク2

基本情報

ブランド: クリスチャン・ガフナー(Christian Gafner)
モデル名: メカニク2(Mechanik2)

直径: 42mm
厚さ: 13.7mm
ケース素材: グレード5チタン
文字盤: フラットなマットブラック
インデックス: スーパールミノバ、ホワイトプリントのミニッツトラック
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: ブラックラバーストラップ(ラグ幅は22mm)


ムーブメント情報

キャリバー: ETA Valjoux 7750
機能: 時・分、3時位置に水平に並んだアニュアルカレンダー(午前/午後インジケーター付き)、クロノグラフ(12時位置に30分積算計)
直径: 30mm
パワーリザーブ: 約44時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 25


価格 & 発売時期

価格: 6,420スイスフラン
発売時期: 予約受付中、年内納品開始予定

詳しくは、Mechanik2.comをご覧ください。