trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Hands-On MB&F HM10 ブルドッグ 実機レビュー 2020年新作

マックスブッサー&最高の友。

ADVERTISEMENT

 画像を見ただけでは、今年3月に発表されていたMB&F最新作のオロロジカル・マシンに何を期待すべきか不明だろう。ブルドッグ(Bulldog)と名付けられた新しいオロロジカル・マシン N°10(HM10)は、動物界から引用したものをデザインのベースにするというMB&Fの動物フレンドリーなフォーマットを踏襲している。過去にはクラゲやカエルからもインスピレーションを得ていたが、ブルドッグをより具体的に言うと、小さなにんまり顔のブルドッグに似ている。

 ある時点(例えば今)で、僕が過去に使用していたような無限の形容詞(風変わりな、楽しい、気まぐれな、子供のような、遊び心のある、前衛的な、などと考えていただきたい)で最新のホロロジカル・マシンを飾ることは、もはや正確ではないと感じる。そうはいっても本稿の至る所に散りばめられてはいるが、これらの言葉はMB&Fの同義語として理解するのが一番だ。このブランドは、その言葉に負けない、そしてそれ以上のものをもっているのだ。

 証拠が必要? ブルドッグをよく見ていただきたい。前述のように、MB&Fがある種のバイオデザインをインスピレーションに活用したのはこれが初めてではないが、過去の例ではクラゲのシルエットやカエルの顔をスタイル化した印象があったかもしれない。しかしブルドッグは、そう、TVアニメ宇宙家族ジェットソンに登場するブルドッグのような感じだ。がっしりした骨格の4本足、2つの大きな目、そして幸せそうな歯が並んだ口を持つこのおちびちゃんには、思わず名前をつけたくなる。個人的にはリッキーか、ダレルなんかもいいかもしれない。しかし命名権は、この子犬を身に着けて自宅に持ち帰えることができる人にあることは理解している。

ADVERTISEMENT

ジャックの紹介記事を事前に呼んでおくことをおすすめするが、見逃したかもしれない人のために、簡単に本機のことをご紹介しようと思う。小型犬のような見た目はさておき、HM10のサイズは54mm(鼻から尻尾まで)、肩幅45mm、最厚部24mm。ケースはチタン製とレッドゴールド製があり、防水性は50m、「脚」はカーフレザーストラップに接続するラグの形をしている。多くの従来の時計デザイン同様に、HM10もフロント(文字盤)とリア(ムーブメント)の2つの開口部を備えている。しかし、このケースでは、これらの開口部は、ドーム型サファイアクリスタルの2つの窓によって形成された、時計の頭のようなものに嵌め合わされている。

 2つのアルミ製ドーム上に時と分を表示する部分がブルドッグの目(カエルのようなHM3の目によく似ている)になっている。そして小さな三角形のインジケーターが現在時刻を表示し、ちょうどブルドッグが飼い主を見上げているような印象を受ける。トップサイドビューに愛称が追加され、MB&Fのレガシーマシンがもつ重要な要素と結びつけられている。
 HM10は、"目"の上と後ろ部分に吊り下げ型テンプを搭載している。MB&Fが「ブルドッグ・キャリバー」と呼ぶこのムーブメントは、1万8000振動/時で駆動、45時間のパワーリザーブをつ手巻きムーブメントである。ああ、それにパワーリザーブインジケーターがあるが、今までに見たことのないようなものだ。

 ブルドッグを裏返すと、傷をつけたくないお腹と母親だけが愛せる笑顔が現れるが、すぐにこれと分かるパワーリザーブはない。なぜかといえば、ブルドッグの口がパワーリザーブだからだ。完全にゼンマイが巻かれたブルドッグは口を開いて笑顔になり、巻く必要があるときは口を閉じてしまう。MB&Fの皆さん...他にこんなことをするような人はいるのだろうか?

 ボディのさらに奥、後脚の取り付け位置には、デザイン上の耳の形をしたリューズがあり、巻上げ(左)と計時(右)を行えるようになっている。

 犬の体と形にインスパイアされたデザインの時計を見たのは、私はほぼ間違いなく初めてで、もしかしたら本稿を読んだあなたも同じことを考えているのかもしれない。手首に小さな犬を着けたいか? そして、どうしたら快適に着けられるか? HM10もまた魅力的なデザインの時計なのに、現実世界には通用しないのだろうか? あるいは自分自身の手首の上でも?

 ありがたいことに、違うのだ。一部のスポーツカー、多くの帽子、そして確かに、他のほとんどの人の靴とは異なり、ブルドッグは手首にぴったりとフィットする。実際、オフィスにいた数人のHODINKEEスタッフが試着してみたところ(写真は3月上旬に撮影)、その着け心地の良さと、チタンモデルのかなりの軽さに驚いたようだった。そのかなりのサイズにも関わらず、ブルドッグのラグのデザインは、どんな手首にもしっかりとフィットすることを保証する。うちのカーラに至っては、関節式のラグが大型のドゥベトゥーンのモデルと同様に、大きな時計をはるかに着けやすくしていると話していた。

ADVERTISEMENT

 MB&Fの他の多くの時計同様に、ドーム型のクリスタルは彫刻のように感じられるが、外観も非常に優れている。ドアにぶつけたりしないようには注意したほうが良いだろう。また、デザインの結束力と仕上げがミックスされているのは、過去のいくつかのオロロジカル・マシンの作品でMB&Fのチームが得た知識を物語っていると思う(また、エリック・ジロー氏との共同制作である点もとても良い)。磨き上げられた「脚」、ケースのマット仕上げ、開放的なディスプレイ、歯の生えたパワーリザーブのコントラストの効いた仕上げ、などをじっくりとご覧いただきたい。私は、ドーム型クリスタルが金属の表面から離れて見える様子と、上下ケースがポリッシュ仕上げされたバンドとつながっている様が本当に好きだ。

 文字盤のブランドロゴの向きや時刻表示用のフォントのせいで、ひと目で何時かは分かりにくいのだが、ブルドッグの愛らしさ、個性、特別感には変わりはない。ブルドッグは、その名の通り、手首の上に座って、あなたを見上げ、「楽しく、幸せにするためにここにいるんだよ」というお茶目な輝きを放っている。

 そして、それが何とも楽しい。ブルドッグは、宇宙時代的なデザインと犬の特徴をミックスさせたユニークなデザインで、他のモデル(MB&Fの他のモデルでさえも)と比較するのは難しい。確かに大きなサイズではあるが、言われた通りの位置に座り、従来の時計とは全く別の魅力を提供している。ブルドッグの飼い主にとって、従来の時計は、公園にいる多くのゴールデンレトリバーのように見えるだろう。繰り返しになるが、これはMB&Fが一番得意とすること。 それがMB&Fが成功している理由であり、さらに重要なことは、彼らの顧客の数よりもはるかに多くの人々に注目されている理由なのだ。

 クライアントといえば、僕はMB&Fの時計が市場で他の多くの時計と競合するものではないと考えているため、価格に言及することなくここまでハンズオンを行うことができた。高級時計の領域においても従来の小売製品ではないということは、ブルドッグのような時計を直接競争から隔離するのと同時に、全体的なコンバージョンは限定的で、ニッチな魅力を示すという両刃の剣となる。

 競争を強調することは、僕が時計について書くことの好きな部分の一つではあるが、私はただ、誰かが10万5000ドルのチタン製ブルドッグ(レッドゴールドは12万ドル)と他の何かの間で購入を迷っているのを想像するのは難しい。検討リストには他にどんな時計がある? 犬をテーマにしていない普通の時計?  つまり、これは悪い問題ではなく(私はそのリストを見てみたい)、真空状態で欲しい時計もあるわけで、それがMB&Fのようなブランドに人々がのめり込むだと理由と私は考えている。

 ジャックは彼の紹介記事の中で、MB&Fが時計を作るために必要な想像力、大胆さ、そして信念を強調している。僕も全く同感だし、ブルドッグがMB&Fの時計製造における10回目の挑戦となるのにも関わらず、時計製造の老犬がまだ新しいトリックを学ぶことができることを明確に証明しているのだから、MB&Fを賞賛しなければならないだろう。

MB&F オロロジカル・マシン HM10 "ブルドッグ": 54mm x 45mm x 24mmチタンまたはレッドゴールド製ケース。自社製の手巻きムーブメント(45時間のパワーリザーブ、1万8000振動/時)搭載。価格はチタン製が10万5000ドル、レッドゴールドは12万ドルである。詳細は、MB&F 公式サイトへ。