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子ども世代のための生まれ年ウォッチたち

これらの時計は、過去18年のあいだに発売されたもの。いずれの時計も時代を超えて愛される理由をご紹介します。

誕生年の時計を見つけることは、多くのコレクターにとって個人的でセンチメンタルなものです。自分が生まれたときに作られたものと時空を超えて再会することは、並大抵のことではありません。伝統的には、シリアルナンバーやアーカイブドキュメントによって選ばれますが、誕生年の時計はその時計がいつ発売されたかではなく、いつ「製造されたか」が重要になります。

 父の日を目前にして、今回は誕生年の時計を少し違った角度から考えてみました。過去18年間に発売された時計のなかで、自分の子どもや次の世代の18歳の誕生日に贈りたいものは何か。つまり、その人が生まれた年に発売された、ただし製造はされていない時計を選びました。そしてこれらの時計について、何を伝えたいのかを考えました。

 編集部が選んだ18本の誕生年ウォッチをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

2021: ロレックス エクスプローラー 36mm Ref. 124270

 誕生年にふさわしい時計は、時代を超えたものでなければなりません。娘さんや息子さんに「その時計、確実に2021年製だよね」と言われてしまうのは、一番避けたいことです。そして、36mmのロレックス エクスプローラーのように、時代を超えて存在する時計はほとんどありません。エクスプローラーは、一時期39mmになったことを除けば1959年以来ほとんど変化しておらず、それには理由があります。子どものスタイルに関わらず、完璧な時計であり山の頂上からバー、オフィスの会議室に至るまで、どこにいても違和感がありません。さらに、彼らが成人するまでのあいだあなたがこの時計を自由に身につけておけば、まだ時を刻んでいることでしょう。- スティーブン・プルビレント

2020: セイコー プロスペックス SBDC101(SPB143)

 2038年の時計シーンがどうなっているかを推測するのは難しいかもしれないが、初めて時計を手にする人たちのあいだでは、ダイバーズウォッチが依然として人気を博していることに賭けてみたい。2020年の1本には、僕はセイコー プロスペックス SBDC101を選んだ。この時計は、僕が卒業したときにもらって嬉しかった時計であり、昨年の今頃、自分のために買った時計でもある。

 この時計については何度も書いているが、その魅力は全く衰えていない。Apple Watchからひと皮むけた新進気鋭の若者にとっては、卒業式や18歳の誕生日にぴったりの時計なのだ。40.5mmのサイズ、十分な防水性、そして控えめながらも存在感のある美しさを備えたセイコーのダイバーズウォッチは、卒業式のための唯一の時計であるだけでなく、多くの人を惹きつけるきっかけにもなるだろう。それがセイコーのよさである。- ジェームズ・ステイシー

2019: ロレックス GMTマスター Ⅱ Ref. 126710 BLNR ジュビリーブレス仕様のバットマン

 ロレックスのGMTマスター II バットマンは2013年に登場した。しかし、青と黒のセラクロムベゼルを備えたトラベルウォッチに、現代のロレックスの特徴であるクロナジー脱進機とロングパワーリザーブを搭載したのは、2019年のことだった。このモデルには、1年前にセラクロムベゼルを備えたSSモデルのペプシの特徴だったジュビリーブレスレットが採用された。ジュビリーブレスレットを装着したGMTマスター IIは、その響きが最高だ。ロレックスのGMTは、道具としての時計であると同時に、かつての空の旅の華やかさの遺物でもある。オイスターブレス仕様もジュビリーブレス仕様も存在する長い歴史もある。さらに今年、ロレックスはSS製のペプシとバットマンの現行モデルを、どちらのブレスレットにも装着できるように改良したため、お気に召すまま選ぶことができる。- ジョン・ビューズ

2018: チューダー ブラックベイ フィフティ-エイト

私はロレックスのサブマリーナーを新品でもヴィンテージでも、実際に所有したことはない。しかし、長いあいだ、自分が生まれた1982年に製造された5512か5513を手に入れようと真剣に考えていた。私が時計に興味を持ち始めた頃に比べて、ヴィンテージの価格が大幅に上昇していて「もう乗り遅れてしまった」という思いから、新品に目を向けるようになった。ビッグクラウンのサブマリーナーを、高い防水性を備えた現代的なツールウォッチとして再構築した、チューダー ブラックベイ フィフティ-エイトが登場したとき私はその魅力に取りつかれ、購入のチャンスにすぐに飛びついた。はっきり言って、オリジナルのブラックベイ フィフティ-エイトは、80年代初期のマットダイヤルのロレックスを連想させるものではないが、ヴィンテージのルックスとモダンな作りとの強力な組み合わせは、一日たりとも私を魅了してやまない。2018年には他にも素晴らしい時計がいくつか登場している。ロレックスはSS製のペプシ GMTマスターを復活させたし、チューダーは独自のペプシ GMTを発表した。しかし、私にとって2018年の時計は、常にブラックベイ フィフティ-エイトなのだ。- ジョン・ビューズ

2017: カルティエ タンク アメリカン(MM、SSケースの自動巻き)

 "アイコニック "という言葉は、時計コレクターのあいだではあまりにも使い古された言葉で、その6つのシンプルな文字にはほとんど意味が残っていません。しかし、時計をそのように表現するのであれば、カルティエのタンク以上のものはないでしょう。タンクは1世紀以上にわたってラウンド型以外の時計を定義してきたし、他のどの時計よりも多くの重要人物の手首を飾ってきました(たぶん、ロレックスのデイデイトを除いて)。子どもの教育に悪い選択ではないでしょう? タンクには数多くの優れたモデルがありますが、SS製のタンク アメリカンは、1930年代のエレガンスと現代的なスタイルの違いを見事に表現しています。お子さんは、Tシャツとジーンズにこの時計を合わせて家族でバーベキューに行ってもいいし、待ちに待った卒業式にフォーマルな服を着て行ってもいいでしょう。悪い意味での注目を集めることなく、よい意味での注目を適度に集めることができるでしょう。- スティーブン・プルビレント

2016: セイコー SRP777(日本未発売)

 2016年に発売されたSRP777は、70年代後半に発売されたダイバーズウォッチであるセイコー6306/9を再解釈したモデルです。2016年に流行したものが2034年には歓迎されないかもしれないわけで、誕生年の時計はデザインにタイムレスな要素があると効果的です。SRP777のデザインは、40年以上にわたって広く愛されてきたし、これからの14年間もそれは変わらないと思います。

 この時計を特徴づけているのは、見た目だけではありません(写真にあるブレスレットタイプのセイコーSRP775も同様です)。子どものために時計を買って隠しておいてもその子がどんな人間に成長するかはわかりませんが、一つだけ確かなことは、彼らが誰であろうとどこへ行こうと、耐えられる時計がこの1本だとということです。- コール・ペニントン

※日本ではSRP777にハック機能のついたSBDY015というモデルが販売されています。

2015: パテック フィリップ カラトラバ・パイロット・トラベルタイム 5524G

紹介するブランドのダイバーシティのために、単純なSS製ダイバーズよりも明らかに家宝仕様と言える、パテック フィリップのカラトラバ・パイロット・トラベルタイム 5524Gを選ぼう。

 本機は2015年に発表されさまざまな反響があったが、私は、2033年までの長い時間を考えると、*少し*物議を醸すものの並外れてクールなパテックが最適だと思う。その頃には、発表当初のインパクトは一部の人にしか記憶されていないだろうし、今から子どもの卒業の日までのどこかで、このモデルが製造中止になっている可能性も十分にある。

 このモデルは偉大な時計ブランドのひとつによる、美しいホワイトゴールド製のパイロットウォッチだ。18歳の若者に、ゴージャスな装いをさせたいなら、このモデルを選ぶのもひとつの方法である。5524Gがスタイリッシュで注目を集める、限りなく個性的なモデルでない未来はありえないので、ご安心を。- ジョン・ビューズ

2014: チューダー ブラックベイ ブルーベゼル

 ワインレッドのベゼルと金色のアクセントが特徴のブラックベイの登場から2年後、チューダーは一転してかなり意外な時計を発表した。ブルーのベゼルに、同じ質感のマットブラックダイヤルで、よりモダンな雰囲気のモ1本だ。ゴールドの挿し色はないよ、皆さん。このモデルは、これまでのブラックベイシリーズで最も現代的なモデルであり、最新のブラックベイ 58(同じくブルー)に至るまでそうだった。ブルーベゼルはコレクションで最も人気があるわけではないが、誕生年の時計ということであれば、それはいいことなのかもしれない。歴史的に見ても、人気がないということは将来的にはコレクション性が高まるということなのだ。このモデルには、今では有名になった「スマイリーフェイス」文字盤がついている。これは“Rotor Self-Winding”の印字があるのが特徴で、そののち、新モデルでは自社製ムーブメントに置き換えられた。

 チューダー ヘリテージ ブラックベイ コレクションは、同社やロレックスのヴィンテージダイバーズの美学を喚起するようデザインされているが、本機はなかでも最も時代を超越していると言えるだろう。- ダニー・ミルトン

2013: A.ランゲ&ゾーネ 1815 ラトラパント・パーペチュアルカレンダー

先日、A.ランゲ&ゾーネのスプリットセコンド・クロノグラフの限定モデルである1815 ラトラパント・ハニーゴールドをA Week On The Wristでご紹介した。ネタバレはしないのでぜひ読んでいただきたいのだが、この時計との時間を十二分に楽しめたことは事実だ。唯一の問題は? ランゲは100本しか作っていないこと。ジャーマンウォッチとラトラパント・クロノグラフの愛好家はどうすればいいのか? 2013年にタイムスリップして、昨年発売されたハニーゴールドの前身となる、より複雑な1815 ラトラパント・パーペチュアルカレンダー(私はプラチナを選んだ)を手に入れよう。

 Cal.L101.1のようなムーブメントがあれば、私の子どもたちに時計製造の素晴らしさを伝え、18歳の誕生日に究極のプレゼントを贈ることができると確信している。将来の彼らの最初の言葉が "ラトラパント"だとしたら、どれだけ大変だろうと考えてしまった。- ローガン・ベイカー

2012: オメガ スピードマスター ファースト オメガ イン スペース

2012年がもう10年近く前のことのようだが、時は人を待ってくれない。この年は時計にとって非常に素晴らしい年であり、今後の10年間の流れを決定づける一年となった。チューダはペラゴスと第一世代のブラックベイを発表。パテック フィリップとオーデマ ピゲは、ノーチラス 5711と、ロイヤル オーク "ジャンボ "の新モデルでSS製スポーツウォッチのバトルを勃発させた。ロレックスは、過去数十年で最大の複雑機構を備えたスカイドウェラーを発表して皆を驚かせた。また、インディーズに関心のある人なら、Habring² Doppel 2.0の登場を懐かしく思い出すことだろう。

 このように素晴らしい選択肢があるものの私の感傷的な側面から、2012年からは1つの選択肢を選んだ。この40mmより小さなスピードマスターは、宇宙飛行士が着用した伝説的なRef.CK2988を再現したもので、CK2988は1962年のマーキュリー・アトラス8ミッションで宇宙飛行士ウォルター・シラー氏が宇宙で着用した伝説的な時計である。オメガは、スピードマスターの宇宙飛行開始から50年を記念して、この年にファースト オメガ イン スペースを発表。これは1960年代以降のスピードマスター ムーンウォッチとしては初めて「プレ・プロフェッショナル」シリーズ(1969年、Ref.105.003の製造中止により終了)の直線的なラグとシンメトリーなケースにて製造されたものだった。ナンバードエディションの非限定品として発売されたこのモデルは、ここ1年半の間にひっそりと製造中止となったが、多くの人に愛されているこのモダンなスピーディは時代を超えて愛される1本である。- ローガン・ベイカー

2011: MB&F レガシー・マシン1

2011年に発表されたMB&F レガシー・マシン1は、この種のモデルとしては初めての時計で、どれほどの成功を収めることになるのか誰も予想できなかった。マックス (・ブッサー)の作品は、比較的おとなしいレガシー・マシンシリーズであっても、予測可能なものではないのだ。

 時計の初号機というものは常にコレクション性が高いものだが、それはたいていの場合、アイデアの洗練されていない生の状態を表しているからだ。MB&Fの場合、画期的だったのは時計だけではなく、時計業界の有力者を集めて1つの時計を共同開発するというマックス・ブッサー氏のビジョンだった。

 MB&Fが成熟するにつれ、この時計はマックス・ブッサーがインディーズの時計シーンを揺るがした、現代の時計製造における重要な瞬間を象徴するようになるだろう。繰り返しになるが、複雑さやクラフツマンシップだけではなく、哲学や実例が重要なのだ。時計の見ため以上の価値を把握するには、確かに18年以上の歳月が必要だろう。次世代の時計愛好家にインスピレーションを与えるには、これ以上の時計はない。- コール・ペニントン

2010: チューダー ヘリテージ クロノ

2010年は、あまり評価されていない素敵なスポーツクロノグラフである、チューダー ヘリテージ クロノを再訪するよいチャンスだ。同社の過去10年間は、ブラックベイコレクションの成功が大きな特徴となっているが、ヘリテージ クロノはクラシックな形で多くのものを提供している。

 グレー/オレンジの配色と両方向回転の12時間ベゼルが目を引く本機は、クラシックな42mmSSケースと150m防水を備えた絶対的な1本だ。SS製ブレスレットやチューダーの優れたファブリック製ストラップと組み合わせることで、ヘリテージ クロノは日常的に着用できる柔軟性を持ちながら、「モナコでのレースの日々」を醸し続ける。

 最近はブラックベイが人気だが、本機は卒業の記念品や人生の大冒険に最適な時計だと思う。- ジョン・ビューズ

2009: ブライトリング クロノマット B01

2009年は、2000年代の終わりと、ブライトリング自社製ムーブメントの始まりの年でした。時計のムーブメントはクルマのエンジンのようなもので、時計を動かすためのすべての可動部品が含まれており、想像通り、イチから作るのはかなり困難です。だからこそ、多くの時計メーカーは、自分で作ることを避け、ムーブメントメーカーから調達し、自社の時計に合わせて改造しています。それが翻って、自社製ムーブメントを設計することに大きな意味を持たせますが、ブライトリングは2009年にそれを実現しました。独自のムーブメントCal.01を搭載したこのクロノマットは、クロノグラフのなかでも最もクラシックなモデルです。カジュアルでクールなSS製で、3つの黒いサブレジスターが配されており、異なる間隔の時間を計測することができます。クロノグラフとは、時計用語で言うところのストップウォッチのことで、2つのプッシャーと伝統的な時刻合わせ用のリューズで操作します。つまり、この時計は見ための美しさと、完璧な紅茶を淹れるのに役立つという二重の魅力を備えているのです。- ケイト・バジモア

2008: ロレックス シードゥエラー ディープシー

誕生年の時計の醍醐味は、生まれ年と製造年が一致している場合、その時計が時代のタイムカプセルになることだと思う。このケースでは、ロレックスがビッグウォッチブームに乗るきっかけとなった。シードゥエラー ディープシーは、教科書的ツールウォッチだ。その性能を発揮することはできないが、少なくとも友人に語ることはできる。44mmという大きさは、ロレックス史上最大のサイズである。また、クリスタル下の文字数の多さでも群を抜いている。文字盤のそれに加えて、フランジには「Original Gas Escape Valve, and Ring Lock System」と書かれている。

 ロレックスはあまり大きな変更をしないので、このように自分の生まれ年の時計には意味があります。これを結婚式のタキシードに合わせることはないだろうが、あえてそうしてみるのはどうだろうか。- ダニー・ミルトン

2007: ロンジン レジェンドダイバー

2007年は、史上初のiPhoneが発売され、プリンスがスーパーボウルでパフォーマンスを行い、そしてロンジンがこのレジェンドダイバーを発表した大きな年でした。レジェンドダイバーは、1960年代、ダイビングの全盛期に作られたモデルを現代風にアレンジしたもの。当時と現在のモデルの違いは、ツインクラウンとスーパーコンプレッサーケースです。この時計は2つのリューズがあることに気づくでしょう。1つは、ほとんどの時計に搭載されているような標準的な時刻合わせのためのもの。もう1つは、文字盤を覆うサファイアガラスの下に収納されているインナーベゼルを操作するためのものです。多くのダイバーズウォッチでは、このベゼルはクリスタルの外側にあるためとてもユニークで、使っていて楽しさを覚えます。ダイバーズウォッチとしては、全体的にカジュアルでスポーティなスタイルですが、黒一色のデザインなのでデートにも使えそうです。- ケイト・バジモア

2006: パテック フィリップ ノーチラス Ref.5711

2006年、パテック フィリップは、最も有名で重要な時計のひとつであるジェラルド・ジェンタ設計のノーチラス30周年を記念して、当時の新作としてRef.5711を発表した。5711 ノーチラスは、オートオルロジュリー全体でも最も象徴的なデザインをもつ時計である。今年になって5711の生産が終了することが判明したが、5711の人気が高まり、コレクターが熱狂的にこのリファレンスを欲しがったことは、人間の行動学的な観点からも興味深いものだ。特に生産終了間際に、この時計を所有するために人々が行ったことは魅力的であり、高級時計業界全体に与えた影響は計り知れないものがある。しかし結局のところ、この時計のデザインはひたすら美しく、クラシックであることを証明している。ほとんどの高級時計メーカーがSS製スポーツウォッチを作っている現代においても、ノーチラスはオリジナルなのだ。- ジョン・ビューズ

2005: パテック フィリップ Ref. 5959P

Image courtesy Phillips.

2005年は科学と天文学ファンにとってビッグ・イヤーだ。冥王星よりも巨大な矮小惑星エリスが発見され、ホイヘンス着陸機が別の遠い世界に着陸した。環状の巨大ガス惑星である土星の最上位衛星であるタイタンである。また、より平凡だが日常生活に即して言えば、YouTubeに最初の動画がアップロードされた年でもある。

 この年にジャックやジルが生まれて気分が高揚していたら、パテック フィリップの控えめな逸品、Ref.5959P以上の記念すべきバースデーウォッチはないだろう。スプリットセコンド・クロノグラフキャリバーCHR27-525PSを搭載した5959Pは、ダブルスプリットと同様、パテック フィリップ初の自社製クロノグラフムーブメントを搭載したドラマチックなモデルであった。5959Pは、パテックの意図的な挑発とも思えるほど小さなケースで発表された。直径わずか33mmのこのモデルは、多くのコレクターにとって一般の人々(非常に裕福な一般の人々ではあるが)のためにデザインされたというよりも、むしろ女性用の時計のように感じられた。5959Pは、1923年に完成・販売されたパテック初のスプリットセコンドクロノグラフウォッチであるNo.124824をベースにしている。この時計はヴィクトラン・ピゲ製のムーブメントを使用していたが、5959Pはサイズが小さいため、別のケースではそこまで凶暴にならずに済んだ(パテックはその後、2014年に5950Aに搭載したムーブメントを発表する)。純粋に投資の観点から言えば、ジャックやジルは、1年待って5711を買わなかったことを嘆くかもしれないが、私は「それは2005年に生まれたからだよ、君、それにYouTubeの株も買わなかったじゃないか」と言うだろう。それに、5959Pの方がずっと面白い時計だからね。- ジャック・フォースター

2004: A.ランゲ&ゾーネ ダブルスプリット

Image courtesy Phillips.

 ダブルスプリットが発売されたのは、時計メーカーにとって発明の多い年だった。バーゼルワールドとSIHHはまだ隆盛を極めており、ThePuristS.comやTimezone.comのようなフォーラムが多くの時計愛好家の日常生活を浸透し始めていたが、物理的な展示会が過去のものになるかもしれないという考えは、誰かが思いついたとしても全く馬鹿げたことに思えた時代だ。この年の新製品としては、ジャガー・ルクルトのジャイロトゥールビヨン、オメガのスケルトン・センタートゥールビヨン、そしてSIHHではカルティエのタンク シノワーズの新バージョンなどが発表されたが、これらはほんの一例である。しかし、今回の思い出の旅で私が最も注目したのは、A.ランゲ&ゾーネのダブルスプリットだ。1994年、ウォルター・ランゲとギュンター・ブルームラインが同社を再興してから10周年を記念して発表されたモデルだが、単に特別な時計というだけでなく、特別なアニバーサリーウォッチであると思う理由はいくつかある。

 それからの10年、ランゲはパテック フィリップ、ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ ピゲと並び称される世界有数の高級時計ブランドとなり、1999年にデビューしたダトグラフは、信じられないほど美しい自社製手巻きクロノグラフムーブメントを搭載し、瞬く間に名作となった。ダブルスプリットはダトグラフの成功をベースに、時計史上初のフライバックセコンドとフライバックミニッツカウンターを備えたダブルラトラパンテ・クロノグラフという技術的なブレークスルーを果たしたのである。節目となる記念として、技術的な初の試みをし、そして即座に名作入りしたことから私にはこれ以上のバースデーウォッチは考えられない。- ジャック・フォースター