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Hands-On ロレックス デイトナ Ref. 116500LN(編集部撮りおろし)

2016年依頼、たびたび話題にのぼるこの腕時計について、みなさんの質問に回答してみようと思う。

 2016年のバーゼルワールドからだいぶたったが、当時最も話題になり、購入までにとても長いウェイティングリストができているこの時計、ロレックスのデイトナについて、皆さんの質問に振り返って回答してみようと思う。2016年当時、我々はこの時計のリリースをお知らせし、発売から3週間が過ぎたころ、80以上のコメントがあったが、この時計に対する興味はまだまだ尽きないようだ。デイトナはそれ程魅力的なのである。この記事では、仕様や詳細を紹介し、ロレックスのブースで本機を体験した我々の感想をお伝えしたい。さらに、店頭への最初の入荷がいつ頃だったのか、2016年中にどのくらいの数が認定ディーラーに入荷したか、ウェイティングリストはどれくらいの人数かについても、お伝えする。


基本情報
Rolex Daytona Reference 116500LN Black Dial

Ref. 116500LNはロレックスの自社製自動巻きムーブメントを搭載した、SSクロノグラフ二作のうちの一つである。

 以下に基本的な情報を記す。新型のデイトナは、Ref.116500LNで、116520の後継機だ。116520は、2000年に発売され、ロレックス初の自社製自動巻きクロノグラフムーブメントであるCal.4130を搭載していた。Cal.4130は、ゼニスのエル・プリメロをモディファイしたものだが、以前にもお伝えしているとおり、この改良はかなり広範囲にわたっている。日付表示や3万6000振動/時といった、よく知られるゼニスの特長の多くは見あたらない。自動巻きのデイトナは1988年に市場に登場し、バルジューを搭載した6263や6265の後継機であった。

Only 50 percent of Zeniths' 400 Series El Primero remained after Rolex was done modifying it.

ロレックスがこれを改良した後、ゼニスのエル・プリメロ400は50%程しか原型を留めていなかった。

 Ref.116520や自社製Cal.4130を初めて見たのは、2000年のバーゼルワールドだ。旧型に比べて、116500LNはデザインやテクノロジーの進歩という以上の進化を遂げている。116500LNはロレックスの特許である904Lスティールを使用し、40mmのケースサイズは変更していない。116520は堅牢で、世界中の老若男女にとって格好いい時計である。

Reference 11620 housing the in-house caliber 4130 was launched at Baselworld 2000 and became a sensation.

自社製Cal.4130を内蔵したRef. 11620は、2000年のバーゼルワールドで発売され、センセーションを巻き起こした。

 2013年は、初代のコスモグラフが登場してから50年になる年だ。SSデイトナがヴィンテージな装いになって登場することを全世界が期待していた。たがロレックスはその真逆の方向に走った。代わりに、ブラウンのセラミックベゼルがついたプラチナ製のデイトナを発表したのだ。正直なところ、私はその日バーゼルで不機嫌だった(スティーブンに聞いてもらえれば、教えてくれるだろう)。私はこの件について、バーゼルのディナーでジャック(・フォースター)と話したのを覚えている。

 彼は当時、Revolutionマガジンの編集長で、友人でもありライバルでもあった。彼は分かりやすくこう言った。「800万円もする青文字盤にブラウンベゼルのデイトナは、みんなが欲しがっているデイトナとは言い難い。しかもこれがコスモグラフの50周年記念にふさわしいのかも疑問だ」多くの人にとって2013年は、ロレックスへの不満がピークに達した年だった。まるで、周りに親友と自慢していた頭が良くて格好いい人気者の友達に、彼の誕生会に招待されなかった子供のような気分だった。怒ってもいるし、がっかりもしているが、月曜になってカフェテリアで会った彼が、人気者の集まるテーブルに自分を誘ってくれると、すぐにそれを忘れて許してしまう。彼だから、そうしてしまうのだ。

Rolex Daytona Reference 116500LN White Dial

 新しいデイトナは、人気者の集まるテーブルへの招待としよう。世界で最も有力な時計ブランドから、細かいことにうるさいすべてのヴィンテージやモダンウォッチのコレクターに送られる仲直りの印だ。この時計であれば、ロレックスがしたことを許せてしまう。まさに望んでいたものだからだ。

新型デイトナとは何かって?

まあ、旧型デイトナと同じだけど

ベゼルが黒いんだ。

ちなみに、世界でも最も

人気の高い時計だ。

 新しいデイトナが素晴らしいのは、マニアが論議を繰り広げるネタに全部答えたところにある。904Lスティールで40mmのケース、中央がポリッシュ仕上げのブレスレット、スーパールミノバのアクセント、搭載するムーブメントCal.4130に至るまで、すべてが同じだ。セラクロムのベゼルとダイヤルの細かなマイナーチェンジ以外は、旧型と全く同じであるが、それでもなお、この時計が発売されたことに我々はハッピーなのである。

The Oyster bracelet feets center polished links

オイスターブレスレットは中央部が鏡面仕上げになっている。

Notice the black bezel against steel case

スティールケースとブラックのベゼルのコントラストに注目してみよう。

 このほとんどが、シンプルにロレックスのパワーと真に並外れたブランドマネジメントのおかげだ。実際、レピュテーション・インスティチュートによると、ロレックスは世界でも最も評判の良いブランドらしい。微妙な変更を製品化してしまう専門家レベルのマネジメントは、途方もなく重要だ。それはなぜか。それは、ロレックスがアイコンを製品化しており、デイトナはほぼ間違いなく、この象徴以外の何ものでもないコレクションにおける象徴だからだ。

Each Daytona clasp features an "Easylink" rapid extension system, allowing the bracelet to expand 5 mm quickly.

デイトナのクラスプは、伸長が可能な「イージーリンク」を採用していて、ブレスレットを手軽に5mm伸ばすことができる。

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手首への収まりはどうだろうか。最高だ。
The black dial Daytona on HODINKEE European Editor Arthur Touchot's wrist.

HODINKEEのヨーロピアンエディターであるアーサー・トゥーショット(Arthur Touchot)が着けたブラックダイヤルのデイトナ。

 1963年の発表から今日まで、デイトナが大切にしてきたことは、腕に乗せたときの圧倒的な存在感だ。デイトナはこれまで作られてきた中でも最高の腕時計のうちのひとつで、ヴィンテージのモデルであっても、近年のモデルであっても変わらないのだと言わせてもらいたい。(ヴィンテージウォッチの世界でも、多くの人がデイトナの存在感を望ましいとしており、6263や6265はこれまでで最も完璧に均整のとれている例として君臨している)ここ28年間は40mm径を採用しているが、惚れ惚れするようなサイズ感で、ブラックのセラクロムベゼルは、ケースにスタイリッシュさと威厳を与えている。

Here is the new Daytona of our Head of Business Development Frank Roda.

小誌の事業開発部長、フランク・ロダのリストショット。

Here is the new Daytona of our Head of Business Development Frank Roda.

カーラ・バレットの手首に巻かれた新型デイトナ。

 40mmはとても良いサイズだ。ダイバーズウォッチではないため、手首に乗せるとサブマリーナーよりも薄く、もう少しエレガントだ。さらに言うと、サブマリーナーとGMTマスターはサイズアップされていて、ケースの寸法は紙面上では変わらないが、ケースはよりゴツく感じられ、ラグもより肉厚になっている。新型デイトナもそうなると誰もが思っていたと思うが、そうはならなかった。私個人としてはものすごく嬉しかった。フラテッロ・ウォッチの友人、ロバート-ジャン(Robert-Jan)は、デイトナのサイズが少し大きくなることを期待していたが。

新型デイトナ(ブラックダイヤル)のリストショット。

新型デイトナ(ホワイトダイヤル)のリストショット。

 上記の5つの写真から分かるように、この時計は4人の手首の上で同じように素晴らしく見える。アーサーは身長190cm以上であり、一方カーラは若い女性だ。SNSと彼女のバーゼル記事の両方で、ブラックダイヤルのデイトナに対する読者の反応は、満場一致で肯定的だった(時計好きな男がデイトナを着けている相手を夢見ないなんてことは、あり得ない)。新しいクラスプもいいが、なんにせよ、実績のあるこのケースサイズと新しいベゼルというのが、新型デイトナを旧型よりもさらに強力な人気商品にしている。


その他の詳細

ダイヤルはラッカーのようだが、ラッカーではない。

 理想的とは言いない照明の下で新型デイトナを撮影すると、すべてが明らかになる。実際、展示会のブースのひどく黄色い光の下だと、他のどこよりもはるかに多くのものが見える。これらの写真では、おかしな光りや、指紋、傷をすべて見ることができるが、最も興味深いのは、ダイヤル上の光沢だ。エナメルやラッカーのように見えるのだ。実際はそうではないのだが、写真ではそう見えている。

 このダイヤルデザインだけは、新型デイトナで難癖をつけられる部分だと思う。12時の位置に5行の印字がある。5行もだ。そんなに必要だろうか。特に「コスモグラフ」と書かれている最後の行はいるだろうか。恐らくいらないだろうが、この腕時計を作り始めて53年経った今も、ロレックスがこれをコスモグラフと呼んでいるのはシャレている。私のように少数の生真面目な人間以外は、なぜそう呼ぶのか分からないだろうが。この時計は、ほとんどの人にとってはデイトナであり、ロレックスはそうしておくこともできたのに、そうはしないところを私はとても気に入っている。とはいえ、12時位置の文字は多すぎないかというと、確かに多い。それにもちろん、6時位置には赤字で「Daytona」とあり、これにはみんなは喜ぶだろうが、私はそうでもない。

 プラチナPVD処理を施したセラクロムの新しいブラックベゼルは、美しく豊かな見た目で、洗練された上品さを放つ。ポリッシュのスティールベゼルを備えた6265よりも、ブラックのアルミベゼルを備えた6263をコレクターが好むように、このブラックベゼルの時計は、そのうちにスティールベゼルの旧型よりも売れるようになるのではないだろうか。

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デイトナの入手難易度は?

 これが、とてつもなく重要な質問だ。デイトナは今、世界で最も人気のある時計であり、時代を超越したデザイン、優れた品質、男性・女性向けのかっこよさ、そして何に対して支払っているのか分かっていれば驚きはしない価格(小売価格は税抜126万1000円)だ。私が時計の世界に入ってから、他のどの時計よりも多くの友人、友人の友人、読者、読者の友人、飲み仲間から、この新しいデイトナを手に入れるための助言を求められてきた。
 誰もがするであろうことと同じことを私は助言する。近くの認定ディーラーに電話して、リストに自分の名前を載せることだ。簡単なことである。真面目な買い手なのであれば、競争するためのゲームや、インスタグラムのフォロワー数が多い人用の特別待遇などは存在しない。ロレックスはそういうことはしないブランドだ。欲しいのであれば、ただ待つことだ。

自分の状況について、HODINKEE読者が残してくれたコメント。

「大好きなデイトナだが、地元の正規代理店に電話したら、今年の入荷予定は2本しかなく、ちなみに私はウェイティングリストの92番だって」 

 どれくらい待たなければならないのだろうか。2016年当時、HODINKEEで最新ニュースを目にし、すぐにディーラーに電話をかけたのであれば、良いポジションにいるだろう。そうした人に何人か会ったが、この場合は大丈夫だろう。しかし、まだディーラーに電話していない場合は、かなり待つかもしれない。これが具体的な数でどういう意味なのか知りたい人がいるのは分かっていたので、親切な認定ディーラーに聞いてみた。コネチカットにある小さめの店では、各ダイヤルカラーを4個ずつ、計8個の入荷を予定しており、現在20名がウェイティングリスト扱いになっている。ということは、他の12人はおそらく2017年中のどこかの時点まで待つことになる。ベイエリアにある他の認定ディーラーは、今年10個を受け取る可能性が高いそうで、およそ50名がウェイティングリスト扱いになっている。それと、読者が残してくれたコメントを上に転記した。彼の場合、ディーラーには、2個が入荷予定で、リストは92名の長さだそうだ。

 つまり、答えは簡単だ。新型デイトナのウェイティングリストにまだ載っていないのであれば、おそらくとても長く待つことになる。長くというのは、2017年になるということだ。最初のロットは夏の終わりにアメリカに入ってくるはずで、そこから秋、冬と出荷が続く。だから、カリフォルニアに拠点を置くディーラーが10個を入手するというのは、2016年のある時点で10個を入手するということであり、全部が夏に届くわけではない。前回のことを考えてみると、新しいスティールのデイトナは、ウェイティングリストが何年も尽きなかった。その数を考えると、同じことになる可能性もあると思う。最低だ、と思うだろう。
 この時計はこれほど素晴らしいのに価格は手ごろだ。だが、ロレックスは意識的に動いている。市場にあふれさせることは避けたいのだ。


念のため――初代デイトナと最新のデイトナについて
The 2016 reference 116500LN next to the 1963 referencec 6239

1963年のRef. 6239の隣に2016年のRef. 116500LN。

 これは私物だが、1963年の初代ロレックス デイトナ(旧コスモグラフ)の隣に、最新のスティール製コスモグラフ Ref. 116500LNがある写真だ。どれほど進化したかを目にするのは驚きで、このふたつを並べて見るのはとてもすごいことだと、私は思う。

 新型デイトナの紹介を楽しんでいただけただろうか。詳細についてはロレックス公式サイトでご確認を。