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Introducing 一新されたセイコー5スポーツ

セイコーが5スポーツコレクションを改めてローンチする。

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セイコーは常に明確に定義された原則に基づいて時計を作ってきた。個々の目的に適う時計があるという明確なメッセージを購入者に伝え、多くの場合、時計の名称は使用目的をうかがわせる。セイコー5ラインは1963年に市場投入された。このシリーズは、価値とスタイルを求める若年層向けに作られ、それが奏功して大人気を獲得。どのセイコー5にも、自動巻きムーブメント、デイデイト表示、スポーツ向けの優れた防水性能、4時位置のリューズ、丈夫なケースとブレスレット(ストラップ)という5つの特徴があったのだ。

 これらの規格(4時位置のリューズを除く)の多くがほぼ当たり前の機能のように見えるが、そう見えるのはセイコー5のような時計が当時、理想だったこれらの機能をスタンダードへ押し上げることに貢献したからである。セイコーは、若者に受け入れられる価格で、これらの基準を満たす時計を製造する偉業を成し遂げたのだ。セイコー5ウォッチは明確なターゲット層と入手しやすさを念頭に置いて設計されたもので、すなわち、60年代の若者の心に広告宣伝と戦略を直接訴えかけたといえる。 

1968年に発売された最初のセイコー5スポーツモデル。

 今回、その伝説的なセイコー5スポーツシリーズが現代に復活した。製品の位置付けは、セイコー5が最初に市場投入されたときとよく似ている。従来、このシリーズの製品は、米国というよりは東南アジアなどの成長市場と密接に結び付いていたが、最近のリブランディングとリローンチにより、それが変わろうとしている。米国市場にとってこの動きは朗報だ。なぜなら、セイコー5のモデルはセイコーの伝統的コアデザインを用いてきたが、時計はより広い顧客層が入手可能な価格での提供を念頭に製造されてきたからである。 

 その方針はリローンチされたラインナップでも変わっていない。セイコー5という名前は、以前として手頃な価格と若々しさを象徴している。セイコー5は1つの時計ではなく、コレクション全体を指している。このラインには、価格から想像するよりはるかにエレガントに見えると、かつてジャック・フォースターが書いたRef.SNKL23があり、さらに、モダンな(モダンスタイルの)セイコー5といえばほとんどの人が思い浮かべるSNK800シリーズがある。サブブランドは1963年から登場しているため、原点となるモデルは山ほどあるというわけだ。

 しかし、今回の新しいラインナップでは1つのモデルから派生して多くのバリエーションが生み出されている。正確にいえば27モデルである。 

「センス」シリーズと「スペシャリスト」シリーズのSRPD77(日本未発売)とSBSA028。

 例えば、シリーズの中で最も保守的なデザインである新製品のSBSA005を見てみよう。多くの時計マニアには見覚えがあるであろう、多くの称賛を集めるダイバーウォッチの入門機SKX007とデザイン要素が共通している。自社製品を原点としたデザインはさらに一歩踏み込んでいる。「Automatic」という文字は、これもファンの間で人気があるプロスペックス以前の時代のセイコー「スモー」から借用されたように思える。最高級のセイコーダイバーウォッチのすべての特徴がラインナップの原点となったモデルよりも大幅に低い価格で手に入ることは、実に嬉しい。 

 短所は何だろうか。防水性能が100mしかないこと。セイコー5は「プロフェッショナル」なダイバーウォッチではない。その一方でプロスペックス シリーズは高級なダイバーウォッチである。新たなセイコー5は100mというまずまずの水深に耐える防水性能を備えている。これは、新セイコー5の大半の購入者が遭遇する環境で、十分な水準であることは確信を持って言える。付け加えるべきなのは、セイコー5にはねじ込みリューズが付いていないことぐらいだろう。

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 最初に述べた製品ラインの名称に話を戻そう。セイコー5のラインなップは5つのカテゴリーに分類される。そのカテゴリーとは、「スポーツ」、「スーツ」、「スペシャリスト」、「ストリート」、「センス」である。個々のカテゴリーが一つのモデルをテーマ別に表すというアプローチだ。「スポーツ」シリーズは、ブランドの昔からのファンには馴染み深いモデルだろう。個々のモデルが過去に人気を博したセイコーの時計を下敷きにしており、その由来を紐解くことも楽しみの一つだ。

 SBSA007は、プロスペックスSRP775の登場で最近スタイルが復活したゴールドとブラックのモチーフを特徴とし、1968年に発売されたセイコーの300mダイバーウォッチ6215へのオマージュだ。6215は、「MM300」の愛称を持つマリンマスター(SBDX017)として生まれ変わったものだ。以前、マリンマスターはフォレストグリーンの文字盤を特徴とする限定版のSBDX021として製造されたが、それと同じ色合いのグリーンを現在のセイコー5 SBSA011に見ることができる。このように、すべての点と点を結ぶのはとても楽しい作業で、ラインナップのページを長い時間眺めていると既視感を覚えてくるだろう。それは、2000年代中盤からセイコーダイバーウォッチの流れを追っているファンなら、大半のデザインを既に見ているからだ。それらのモデルの多くは生産が中止され、少し高級なプロスペックスシリーズに統合されているので、セイコー5のデザインを見ることは、もはや新品では買えなくなった、かつて人気を博したあらゆるダイバーウォッチと再会する素晴らしい手段となっている。 

「ストリート」シリーズのSBSA025と、それとマッチするNATOベルト。

 新しいセイコー5には見慣れないモデルもラインナップされている。しかし、これらもセイコー5の基本理念に依然として従っている。一見すると、「センス」コレクションはセイコーの標準からはみ出しているように見えるが、それは若い顧客層を明確なターゲットとして設計されたが故である。文字盤に岩肌のようなテクスチャーが採用され、セイコー5としては異質な感じがするが、背景には何らかのデザイン上の理屈があるのかもしれない。例えばグランドセイコーSBGK005の文字盤は岩手山を模したデザインだが、背景のストーリーを聞くまでピンとこないだろう。私は「センス」サブコレクションの背景にある考え方が明かされることを期待している。

「スポーツ」シリーズのSBSA001。

 「ストリートスタイル」のコレクションは、一見何の情報も読み取れないようなオールブラックのモデルを看板としている。個人的には、セイコーのルミブライトはこのデザインでも問題なく視認性を確保してくれるだろうと思う。本機には、本体とマッチする黒のNATOベルトが付属しているが、これは、熱狂的なファンがどんなストラップに付け替えるのかをセイコーが注目している明確な証拠でもあるだろう。 

 27種類の新しい時計を一度に発売したことはセイコーにしては驚くほど大胆な決断であり、セイコー5ブランドの復活は別の意味でも注目すべきことだ。セイコーは、近年徐々に高級志向の動きを見せており、それに伴って価格を少しずつ上げ、最高級モデルの生産スケジュールを変更してきた。アメリカでのグランドセイコーのローンチ以降、セイコーは全体的に商品のプライスゾーンの引き上げを開始したようで、山腹の上にいるリードクライマーの後からロープを伝って崖をよじ上る他のチームメンバーと同様に、GS以外のセグメントも高価格帯の製品に引っ張られてその価格を上昇させ始めた。そして今回ついに、既存製品の値上げによって生じた隙間に、合計27機種の時計が投入されたというわけだ。 

編集者注:上記の27機種は海外限定モデルも含めたものであり、本記事公開時日本で発売された5スポーツは計24機種である。


基本情報

ブランド:セイコー(SEIKO)
モデル名:セイコー 5スポーツ(Seiko 5 Sports)
直径:42.5mm
厚さ:13.4mm
ケース素材:ステンレススティール、ローズゴールド調PVD、ブラックPVD
防水性能:100m
ストラップ/ブレスレット:ステンレスブレスレット、カーフレザーストラップ、ラバーストラップ


ムーブメント情報

キャリバー:セイコー自社製Cal.4R36
パワーリザーブ:41時間
巻き上げ方式:自動巻き
振動数:3Hz(2万1600振動/時)
追加情報:ディスプレイケースバック

セイコー 5スポーツ コレクション専用ローンチサイトはこちら。全シリーズがここで見られる