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Hands-On セイコー プロスペックス SBEQ001 別名 2019“アーニー”を実機レビュー

「チョッパー(=ヘリ)に行こうか?」と言いたくなるタイムマシン。

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 ちょっと検索するだけで、映画で使われているたくさんのセイコーを発見するが、H558-5009ほど強烈にその時代と存在感をアピールした時計は類を見ない。初期のアナログデジタルダイバーズウォッチの一つであるH558-5009は、ある俳優と彼の最も有名な2つの役柄の代名詞となった。僕はもちろんアーノルド・シュワルツェネッガーと1985年の『コマンドー』、1987年の『プレデター』のことを言っている。アクション満載の期待通りのド派手な役柄で、シュワルツェネッガーはH558-5009を着けていた。そして、傭兵を追い詰めたり、エイリアンに追われたりする中で、その時計は "アーニー "として知られるようになった。2019年にアーニーは、野性味そのままに少しのアップデートを加えて戻って来たのだ。

1987年の『プレデター』(著作権:20世紀フォックス)に登場するアーニー。

 「チョッパ」は周りをなぎ倒して進むが(そのまま読み続けて欲しい)、2019年のアーニーまたはSNJ025として知られ、"現代に蘇った1982年のハイブリッドダイバーズウォッチ"とセイコーが呼ぶこの時計について考察してみようと思う。3通りの色のチョイスがあるSNJ025は、黒い47.8mmのツナ缶スタイルの外胴プロテクターケース、ポリッシュドラグ、黒色が配された経過時間表示をもつ逆回転防止回転ベゼルを備える。文字盤は小さな液晶表示のあるお馴染みのセイコーダイバーズデザインで、元のH558-5009を最も忠実に再現したといえる。それは敵とジャングルで一戦を交え、基地と連絡するのにぴったりなアナログデジタルのコンボだ。

 冗談はさておき、本機は確かに幅47.8mm、厚さ14.4mm、ラグ幅51.3mmと大きいが、(僕のような)あまり目立って太くはない手首にもぴったりとフィットすることに驚くだろう。たしかに大きいのだが、本当によくフィットして軽く、22mm幅の黒いシリコンストラップと装着すると非常にバランスがいい。正直なところ、大きめのツナ缶スタイルのセイコーを着けたことがない人には理解しがたいだろう。しかし、本機は大きく見えても、着用しやすいのだ(袖のない服を着る機会が多ければなおのこと)。

 ソーラークォーツムーブメントH851を搭載したSBEQ001は、デジタル表示と連動するエレクトリックリューズによって設定されるアナログ時刻を表示する。左側のケース側面にある2つのロック式プッシュボタンによって、デジタル、カレンダー、ローカルタイム(第2タイムゾーン)、クロノグラフ、アラームなどの追加機能をスクリーン上に表示することができる。これらは全て非常にベーシックかつ使える機能であり、ユーザーインターフェースは最小限に抑えられている。実際、ユーザーにとって使い方は分かりやすいが、上部のボタンはいくつかの機能のアクションボタンとして、また小さな画面のバックライト用ボタンとしても使用されるため、少し制限があるように感じるかもしれない。つまり、クロノグラフを使うと、暗い中で苦労して読まなければならないということだ。

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 オリジナルのH558-5009と比較すると、SBEQ001はソーラー駆動、バッテリーチェックシステム、移動中に第2タイムゾーンを素早く設定できる機能が追加されている。ホームタイムはアナログ表示のまま、現地時間はデジタル画面で表示される。液晶ディスプレイは確かに小さいが、通常の光の下では(またはバックライトを使用した場合)、判読性は優れており、上の写真を見ても分かるように夜光も十分だ。本機はまるで、80年代の技術をSKX007の文字盤に押し込んだように感じる。僕はたまたまアナデジの時計が好きなので、SBEQ001のレイアウトと機能性の両方がとても気に入っている。

 文字盤は黒というより、非常に明るい光の下ではむしろグレーパープルのように見える。この色は文字盤の太陽電池となにかの関係があるようだ。上の写真のプッシャーと先端の黒いリングを見て欲しい。このリングが出ているのはプッシャーがロックされていないためで、その場合、200mの防水性能を提供できないことを示す。ダイブベゼルを備えたSBEQ001は、リューズとプッシャーをねじ込むことで、ダイビングに十分な防水性能を発揮するのだ。

ジムに行く時間だ。

 フラットなハードレックスクリスタルで仕上げられた本機は、非常にツールウォッチらしい意図的なデザインに仕上がっている。キレイとは言わないが堅牢で、(映画に出演したことはともかく)派手になりすぎることなく特殊部隊に使われそうな魅力が確かに感じられる。手首に装着してみると、SBEQ001は重厚感があり、機能的にも優れていると感じるが、タッチポイントが少し安っぽいような気がする。プッシャーやリューズには重みがなく、ベゼルの動きもやや曖昧だ。だが、期待していたほどしっかりしていないというだけで、悪くはない。

 セイコーは、SBEQ001をSBEQ003(ブルー/レッドベゼル)と共に6万3000円(税抜)で提供する。最近のアナデジウォッチの世界ではほとんど動きがなく、このセイコーの愚直な魅力とIMDBのクレジットに対抗できるものはほとんどないと思われる。競合は少ないだろう。

 よりタイトな予算ならば、カシオのG-SHOCK、Gスティール(4万円・税抜から、しかしセイコーのような古典的なスタイリングは無い)を探すことができる。シチズンはSBEQ001と似たような価格帯で、アナデジの品揃えも豊富だが、僕の目にはセイコーの方が(はるかに少ない機能ならば)ずっと良い外観をしているように見える。価格がさほど問題でないなら、ティソ、ハミルトン、オメガ、ブライトリングから選ぶこともできる。ただ、エアロスペースやスピードマスター X-33を愛する人達を非難する気はないが、それらはこのセイコーとは全く別の時計であり、SBEQ001の提示価格の10倍(またはそれ以上)の値段だということを言っておく。

 結論を言えば、この時計はニッチなものとして成功していると思う。古典的なセイコーダイバーでもないし、フル装備のフライトコンピューターでもない。豪華ではないし、特に複雑でもないが、適したユーザーにとっては多くの楽しみを提供するものなのだ。大きくて、その割に画面が妙に小さいが、そのモニタ上の機能を使っていると、最初のデジタル時計を手にした子供のような気分になる。SBEQ001は、初代アーニーを有名にした映画よりも上手に、ある特異な時間に戻れるタイムマシンなのだろう。 "ニューヴィンテージ "の思想を表現した最も新しい時計であり、セイコーの機械式時計の歴史とクォーツの明るい未来が融合して生まれた時計に違いない。

 映画史上最大のアクションスターが身に着けていた興味深い時計への忠実なオマージュとして、SBEQ001は純粋にアクション映画のように楽しい。それは、セックスが安遠でダイビングが危険だった時代(機械式時計製造がピークに達していた時代)ではなく、筋書きより銃が大事な、アーノルド・シュワルツェネッガーが見事なセイコーを着けていた時代への呼び水だ。今よりもっとシンプルな時代だった。

詳しくはセイコー公式ページを。