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Hands-On ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイスが登場

ヴァシュロンは、オープンフェイスウォッチのなかでひと際目立つ存在となるために必要なことを教えてくれた。

今の時計業界はオープンダイヤルの真っ只なかにいると感じる。

 A.ランゲ&ゾーネ ルーメンコレクションの成功に始まり、サファイアクリスタル文字盤を備えたパテックの新作、5316/50Pの登場に至るまで、再び流行したともいえるものに皆飛びついているようだ。

ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイスのイメージ

 しかしヴァシュロン・コンスタンタンにとって、この素晴らしいオープンダイヤルやオープンワークのムーブメントをつくることは、以前と変わらない体制であるようだ。盛り上がりを見せるWatches&Wondersのなか、新作のトラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイス(なんと口数の多いことか)のリリースは、あまり注目を集めることはなかった。今こそそれを訂正するときだ。

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 時計の世界で本格的な活動を始める前から、ヴァシュロン・コンスタンタン最大の強みのひとつは、ブランドの歴史を踏まえつつも、それにとらわれずに1歩先を行く優れたテクニカルウォッチを作ることだと、私は信じて疑わない。ただ昨年発表された222やオーヴァーシーズの需要(ほかの高級ステンレススティール時計のように)に対して、人々はヴァシュロンが得意とするものを見失っているのではないだろうか。

ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイスのイメージ

 今回のWatches & Wondersで、ヴァシュロンがもう1型、SSでできた別の222を発表すると確信(というより希望を抱く)していた人は、マーケティングの観点に立つと、それが信じられないほどのミスだったということを理解していないだろう。もちろんすぐに売り切れてしまうが、イエローゴールドの222のウェイティングリストはおそらく孫の代まで引き継がれそうなほどの状態だし、世界3大ブランドの生産数はすでに驚くほど限られている。ではどうすればいいというのだろう? 代わりにヴァシュロンは基本に立ち返った。少なくともその基本とは、独自のやり方で、複雑なものをつくるということである。

ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイスの文字盤

 新しいトラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイス(略してTTRDO)は、この複雑機構が成功したというだけでなく、このブランドが得意とするもうひとつの分野である視認性においても成功したと思う。優れた視認性という点において、既存のオーヴァーシーズ・エクストラフラット・パーペチュアルカレンダー・スケルトンは、オープンフェイスダイヤルを採用した私のお気に入りの時計だ。新しいTTRDOは完全なるスケルトンダイヤルではないにせよ、その流れを汲んでいる。本来であれば技術的なことから始めるべきなのだろうが、搭載されたすべてを見ることができるオープンダイヤルを無視してしまうのはおかしいためここから始めよう。

ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイスの文字盤
ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイスの12時位置寄り
ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイスの6時位置寄り

 オープンフェイスのサファイア文字盤には、文字盤全体を囲むレイルウェイミニッツトラックと、文字盤の8時36分から3時24分まで扇形に広がったギヨシェ装飾があり、それに沿うようにレトログラード式の日付表示をセットしている。またゴールド製のバーインデックスを、文字盤の空いたスペースに覆いかぶせるようにレイルウェイ上に配置。レイルウェイをはじめ、フルーテッドの刻みが設けられた裏蓋、スリムなベゼル、ファセットされたドフィーヌ針が、伝統的な、いやトラディショナル(コレクション)を構成している。レトログラード式のデイト表示は、18Kの黒塗りのゴールドでつくられた針と白い矢印の先端で指す。そして文字盤のオープンフェイスデザインに合わせるべく、文字盤上部のデイト表示には、手作業によるスレートグレーの表面処理が施されているのを確認できる。最も配慮が行き届いていると思うのは、手彫りのギヨシェで装飾した地板の下部からわずかに見える文字盤と、見事にマッチしている点だ。完全なる文字盤は存在しないのに、そうあるかのように見せる錯覚はさすがだ。さらに光の加減によってはグレーからブラウンに変化する仕上げなど、見る人を飽きさせないのもポイントだ(もちろん手伝いも必要ない)。

ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイスの裏蓋

 さらに近くで見ると時計の核心に触れることができる。ジュネーブ・シールが刻印された自社製ムーブメント、2162 R31は、242点の部品を用いて自動巻きのためのペリフェラルローターを実現。ムーブメントの厚さは6.25mmで、ヴァシュロンを代表するふたつの複雑機構、レトログラードデイトとトゥールビヨンを搭載し、トゥールビヨンのキャリッジにはスモールセコンドを配している。文字盤側と裏側には、NAC処理でスレートグレーに仕上げたジュネーブストライプを、地板には面取りを施した見ごたえのあるディテールを備えているほか、ムーブメントは1万8000振動/時で動作し、約72時間のパワーリザーブを誇る。

ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイスの裏蓋
ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイスのマルタ十字をかたどったクラスプ

 直径41mm、厚さはわずか11.07mmだ。18Kピンクゴールドのラウンドケースとラグのあいだに段差を設けることで、驚くほどよくなじんでいる。Watches & Wonders中の数あるアポイントメントのなかで、私はこの時計を腕に巻いたまま、ほかのヴァシュロンの時計の撮影に移ってしまうほどに。

ヴァシュロン・コンスタンタン トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイスのリストショット

 もう2度と犯さない失敗だ。とはいえ、最終的にどんな値段になるかは別として、すぐに手に入れることはできないと確信しているため、予定より少し長く待つことには何の抵抗もない。

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HODINKEE Shopでは、ヴァシュロン・コンスタンタンの中古、ヴィンテージウォッチを取り揃えています。詳しくはこちらからご覧ください。ヴァシュロン・コンスタンタンについては、公式ウェブサイトから詳しく知ることができます。