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本稿は2025年10月に執筆された本国版の翻訳です。
1953年、現代的なダイバーズウォッチが3つの時計ブランドによって初めて発表された。この功績で非常によく知られているふたつのブランドがある。ひとつはブランパンのフィフティ ファゾムズ、もうひとつはロレックスのサブマリーナーである。しかし、現代的なダイバーズウォッチと認識されるものをデビューさせた3番目のブランドがある。それがゾディアックだ。ほかのブランドと同じ年にシーウルフを発売した。オリジナルのシーウルフは、優れた視認性や回転式のタイミングベゼルなど、本格的なダイバー用計器としてのすべての特徴を備えていた。ロレックスのような巨大企業ではなかったものの、数十年にわたり、この会社は常に競争相手でありながら、耐久性があり比較的手頃な価格の時計を製造し続け、その製品は軍人を含む多くの人々に熱心に採用されていた。そのなかにはネイビーシールズチームも含まれており、実際ゾディアックはその事実を広告で積極的にアピールしていたのだった。
しかし、ジェイソン・ヒートンが以前にスーパーシーウルフ 53の記事で指摘していたように、歴史は勝者によって書かれるものであり、ダイバーズウォッチ時代の幕開けにデビューしたシーウルフは、多くの企業と同様に、クォーツ時計技術の導入後の生き残りを模索するなかでほとんど忘れ去られてしまったのである。2001年にフォッシルに買収されたあと、徐々に1950年代と60年代のダイバーズウォッチのデザインを復活させ始めている。特に今日の“古きよきものが新しく見える”ような時計の世界では、シーウルフは以前よりもさらにクールな姿を見せている。
シーウルフシリーズは、2015年にゾディアック社によって正式に再スタートし、200m防水のスリムなモデルから1000m防水のスーパーシーウルフ 68までラインナップされている。
ゾディアックの全盛期には、シーウルフウォッチは幅広いスタイルと深度基準で提供されていた。それには、比較的スリムで防水性がそこそこのものから、アグレッシブな形状のソートゥース(ノコギリの刃のような)ベゼルを備えた巨大な海中計器ウォッチまであり、防水性は最大3000フィート(約900m)に達していた。2015年、ゾディアックによってシーウルフコレクションは正式に再発売され、水深200mまで耐えられるスリムなモデルと、水深1000mの防水性能を誇る新しいスーパーシーウルフ 68が含まれている。そして、その見た目はそれ相応の迫力があるのだ。
HODINKEEで取り扱っていたスーパーシーウルフ 68は、特別なパッケージが付いた82個限定のエディションで、ラバーストラップとメッシュブレスレットの両方が付属している。クッション型のケースは50mm×44mmで、非常に頑丈なステンレススティールの大きな塊だ。これは、分厚いガラスの窓を貫通してもその軌道がmm単位で変わらないと想像できるようながっしりとした時計のひとつだ。その巨大さは、戦車の予備のキャタピラとしても使えそうな感じのリンクブレスレットによってさらに強調されている(例えば、もしタンクを持っていて予備が必要だと感じたなら)。この時計を手に取るか腕につけると、何か問題が起こったときにも信頼できるものを持っているということに何の疑いもない。それが、ダイビング中であろうと地上であろうとだ。
スーパーシーウルフ 68の文字盤は、それに影響を与えたヴィンテージモデルからほとんど変わっていない。実際、オリジナルへの忠実さはほぼ完全である。唯一の顕著な違いはスーパーシーウルフという言葉が新モデルの6時の位置から12時の位置に移動したことであり、それは“Automatic Chronometer”という言葉を収めるためである(ここに写真で示された限定版はCOSC認定されている)。ベゼルは鋭く、カチカチと回転し、ガタつくような遊びはなく、設定後はしっかりとその位置に固定される(解除するには押し下げる必要がある)。分針はもちろん、ダイバーにとって最も重要であり、オレンジ色で際立って輪郭が引かれている。ダイヤルマーカーも同様である。
前述のブレスレットは、この時計で最も素晴らしいもののひとつだ。重いが、しなやかでつけ心地がよく、その重さと大きさにもかかわらず、時計をかなり身につけやすいものにしている。また、クラスプにはウェットスーツ用のエクステンションシステムが装備されている。
内部には自動巻きムーブメントSTP-11が搭載されているが、これには興味深い余談がある。STP-11は、スイス・テクノロジー・プロダクション社(Swiss Technology Production)という会社によって製造されており、この会社はゾディアックの親会社であるフォッシルグループが所有するムーブメントメーカーである。STPは2006年に設立され、セリタなどの企業とともに、ETAのような広く使われている自動巻きキャリバーに対する数少ない選択肢のひとつを表している。ここで興味深いのは、スイス製の時計でありながら、スイスのムーブメントメーカーからのムーブメントを使用しているが、実際にはアメリカの企業(フォッシルグループはテキサス州リチャードソンに本社を置いている)が所有しているという状況だ。STPは2015年、最大25万個のムーブメントを生産する予定であり、STP-11の非COSCバージョンは、フォッシルのスイス製とされるオートマチックウォッチのラインでも使用されている。
先代モデルと同様、スーパーシーウルフ 68は素晴らしい価値を備えている。COSC認定クロノメーターでありながら、申し分のない品質と素晴らしいスタイリングを備えている。COSC認定を受けていない限定ではないスーパーシーウルフは、ラバーストラップ付きで1395ドル(当時のレートで約16万8865円)、メッシュストラップ付きで1595ドル(約19万3075円)である。 これをバーゲンと表現するのは、まるでお買い得であるという事実がこの時計の最も興味深い点であるかのように思わせてしまうため、いささか恥ずべきことのように思えるが、それは決して損にはならない。
ゾディアック スーパーシーウルフ 68 リミテッドエディション、写真のモデルは1995ドル(当時のレートで約24万1495)。ステンレススティール製クッションケース、50mm×44mm、100気圧/1000m防水。ステンレススティール製メッシュブレスレットまたは(付属)ストラップ。ブラックサンレイダイヤル、逆回転防止60分計ベゼル。COSC認定クロノメーター。
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