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Four + One アイスクリーム王の手首には、超絶クールな腕時計が巻かれている

1-900-ICE-CREAMでは、ドイツ製オープンカーのトッピングを筆頭に、4種類の突拍子もないフレーバーの腕時計を並べている。

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ライアン・フィッツジェラルドは、自身が創業したフィラデルフィアの会社「1-900-ICE-CREAM」でアイスクリームを作りながら、ロレックスを、しかもNATOストラップのロレックスを、身につけるとは思ってもいなかったようだ。彼の会社では、Eコマースの店舗と超クールなフレーバーのモデルを使って、フィラデルフィアの人々に突拍子もないタイプのアイスクリームを提供しているが、「ロレックスは保守的すぎて、自分には合わないと思っていたね」と彼は言う。しかしその後、彼は“オレンジ色の稲妻がついたロレックス ”を見つけてしまった。

フィッツジェラルドは冷凍庫で過ごすことが多い。職業病とも言えるだろう。

 彼が語っているのはミルガウスのことだ。この非常に目立つ時計に、時計と同じくらい目立つレインボーモチーフのNATOストラップを装着している。ロレックスの購入によくあるように、このミルガウスは彼の食品・飲料業界でのキャリアにおける個人的なマイルストーンとなっている。

レインボースプリンクルとレインボーNATOストラップ。

 フィッツジェラルドは、20代前半にアパートの一室で手作業でTシャツにスクリーン印刷していたときから長い道のりを歩んできた。スクリーン印刷をきっかけに、世界的な銀行との印刷契約を管理する仕事に就いた。「人々が欲しくないものを売るのは好きではないし、デジタルの世界で印刷サービスを売るのは難しいことだった」という。

 しかし、彼の次の仕事は、前の仕事とはまったく違ったものになった。

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 2015年、印刷ブローカーとしてのキャリアを維持しながら、「Boku Supper Club」を立ち上げたのだ。このアンダーグラウンドなポップアップディナー事業は、フィラデルフィアの豊かな飲食業界で大きな注目を集めた。「最初は、自分の休暇を利用して友人のためにディナーパーティーを開いていたんだ。一日休みをとって、『4つのコースディナーをやろうと思うんだけど、来ない? 少しばかりのお金を出して、ビールを持ってきてね』なんて言っていたね」

 ビジネスは拡大し、Bokuは短期間でセンセーションを巻き起こした。しかし、彼がデザートに提供していたマカロンのアイスクリームサンドを食べた人たちは、特に熱狂的だった。

クラシックなメルセデスで各地を回るフィッツジェラルド。

 彼は、Bokuが軌道に乗ったとき、アイスクリームに自分の将来を見出した。そして現在はフィラデルフィアで「1-900-ICE-CREAM」のビジネスを計画的に構築している。彼は毎日、朝起きてミルガウスを装着し、業務用キッチンに向かい、親しみやすく実験的なフレーバーをミックスしている。彼の目標は  「スニッカーズバーをどうやってアイスクリームとして表現するか、それを根本から作り直すにはどうしたらいいか。チョコレートケーキやピーカンパイ、アップルパイなど、みんなが知っているものをアイスクリームに作り変えてみたいんだ」


彼の4本
ロレックス ミルガウス Ref.116400

 「僕の好みを一言で言えば、“見落とされていたものが好き”ということになるけど、この時計もその一つだと思う。当時は全く注目されてなかったね。特に人気になることもなく、生産中止になった。だからこそ、僕はこの時計が好きなんだ」と、フィッツジェラルドは原子力技術者などのために設計されたロレックスのミルガウスについて語る。

 「ニューヨークで仕事をしていた頃は、ロレックスというのは、ある程度のお金を稼いだらそれをアピールするために買うもののように感じていた。でも、僕はそういうことには興味がなかったんだ」 そこで彼は、最もロレックスらしくないモデル、ホワイトダイヤルのミルガウスを購入することにした。

1-900-ICE-CREAMの突拍子もないフレーバーは、「ミックスを重ねることで生まれる」とフィッツジェラルドは言う。

 彼は、オンラインで購入した7ドルのさまざまなNATOストラップをつけ変える。毎日、約100本のコレクションのなかから新しいNATOストラップを選び、それをミルガウスにつけて仕事をするのだ。食器用洗剤に手を浸して、時計をメトロのラックにぶつけることもある。そして、これこそまさに彼が時計を購入したときに念頭に置いていたものだ。「Boku Supper Club」を閉鎖し、1-900-ICE-CREAMに軸足を移したとき、彼はビジネスの成長と構築に費やしたすべての時間の思い出として、ついにこの時計を購入した。今では、アイスクリームのビジネスが小さな事業からムーブメントへと変化していく過程に、この時計が寄り添っている。

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スウォッチ SCM 401 "ATZ ECO"

 彼の母親は海外軍事学校の副部長をしていたため、仕事で出張が多く、免税店に立ち寄っては息子のためにプラスチック製のスウォッチをよく購入していたという。「これがすべての始まり、僕の根っこになった時計だね」と彼は語る。複雑なダイヤルが読めなくて、小さい頃はつけていなかった。代わりにスウォッチのスキューバをつけていたが、あまりにもつけすぎて、文字通り壊してしまった。SCM 401は、年齢を重ねるごとに楽しいものとなり、Bokuでディナーパーティを開くときにつけていたという。「毎晩エンターテインメントを催していると、人前に出てパフォーマンスをするとき、自分の手の動きを見られているようなものだからね。特にシェフズカウンターでは人の目の前で料理をしているから、クールで楽しい時計をつけることは僕のショーの一部だったんだ」

ヴィンテージのオメガ デ・ヴィル

一番上がオメガ デ・ヴィル。

 「何年も前に、母が父に買ったオメガだよ」と彼は言うが、ありふれた経緯で彼に受け継がれたわけではない。「父がビデオを店に返しにいったとき、地面に落ちていたカルティエを見つけたんだ。父は地元の新聞に広告を出し、カルティエと連絡を取り合ってシリアルナンバーから所有者を探ろうとしたけど、所有者は見つからなかった。そこで父は母に揃いのレディースモデルを買い、父の古いオメガが僕のところにやってきたんだ」

セイコー プロスペックス “ベビーツナ”限定モデル

 この時計が彼の腕に巻かれているのを見ることはほとんどないが、多くの人が経験するコレクションの段階を象徴している。「Instagramでこの時計を見て、探して買ったんけど、サイズが大きすぎた」と彼は言う。しかしその後、ドーム型でARコーティングされたアフターマーケットの風防を注文した。セイコーを改造するというアイデアが気に入り、今では手放せなくなってしまったそうだ。「正直なところ、いつもは引き出しの中に入っているけれど、間違いなく僕が追い求めていたものだ」 その思い出と、自分で改造したときのワクワク感から、まだ手放せないでいるのだ。

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一番のもの
ヨーロッパ仕様の1979年式メルセデス・ベンツ 280SL

フィッツジェラルドが言うには、兵士がこのヨーロッパ仕様のメルセデスを輸入したという。

 「僕は今、メルセデスが気に入っているんだ。とても豪華で、路面を傷つけず、スタイルも個性もある」と、フィッツジェラルドは自身の新しいドイツ製マシンについて語る。「Bring a Trailer(ヴィンテージカーやクラッシックカーのWEBサイト)のニュースレターを読んで、サムネイルを見つけたんだ。とても状態が良さそうだったからクリックすると、まだ誰も手をつけていない。みんなが話題にしている車なのに! 皆が気づかないうちに契約できると思ったね」

 しかし、「Bring A Trailer」でそんなことは起こらない。デザイン的に目立ちすぎるし、毎日、何万人もの人が車を見ているのだ。

 「そして、残り40分というところで、6人の人が入札してきた。これを手に入れないわけにはいかないと思い待っていると火曜には落札でき、僕は水曜の朝、テネシー州に向かう飛行機に乗っていたんだ。その車を受け取り、運転して戻ってきて、木曜日にはそれに乗って出社していたね」と彼は語る。

このスタイルのキャップを覚えているだろうか? フィッツジェラルドがいくつか作ったものだ。

 「車は最近買ったものだから、レジャーにどう組み込むかはまだ考えていないね。今は街中を走ったり、あちこち回るのに乗っているけれど、いずれはレジャーのためだけに使いたいと思っているよ」と語る。夏にヴィンテージのオープンカーのメルセデスと合わせるものは何がいいだろう? 楽しい時計と、大きなアイスクリームで決まりだ。

Photography: Gab Bonghi