trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Introducing ティソ、1970年代のアーカイブをベースとした手巻き式のPR516 クロノグラフを発売

新作PR516 クロノグラフ メカニカルは懐古的なデザインだけでなく、“特別なものを手の届くように”というティソのブランド哲学も踏襲している。


クイック解説

PR516はモータースポーツへのオマージュを込め、ティソが1965年に発表した時計に端を発するコレクションだ。オリジナルモデルは秒、分、時の表示にデイデイト、流線型のトノーケース、そしてレーシングカーのステアリングを思わせるパンチングブレスを備えた、いかにもなデザインのレーシングウォッチだった。1950年代〜1960年代は戦後の好景気を受けてレースシーンが白熱していた時期でもあり、タグ・ホイヤーのカレラやオメガのスピードマスターなどを皮切りに、各時計ブランドはこぞってモータースポーツの現場を意識した時計を研究、開発していた。ティソ PR516も、そのような当時の時代背景を受けて生まれたモデルだったのだろうと思う。

 そんなPR516にクロノグラフモデルが加わったのは70年代のことだ。レマニア製の手巻きムーブメント(Cal.872、873)を搭載したPR516 クロノグラフにはいくつか種類があったが、今回ティソはそのなかでもブラックダイヤルの3レジスタークロノをベースとした新作のリリースを発表した。それが本日2月22日(木)に発売となる、ティソ PR516 クロノグラフ メカニカルである。

1970年代に発表されたオリジナルのPR516 クロノグラフ。

 PR516の“PR”はParticularly Robustの略であり、直訳すると“特に頑丈”という意味になる。当時としては防水性能を含め高い耐久性を有していたことから名付けられたものだ。今作においては、10気圧防水を備えたSSケースにサファイアガラスを合わせた、日常生活において実用的なスペックに落とし込まれている。ケース径は41mmで、厚さは13.7mm。昨今のスポーツウォッチとしては平均的なサイズだが、70年代当時のPR516 クロノグラフと比べてもらうとわかるように、顔立ち自体はオリジナルを思わせるものとなっている。タキメーターベゼルの表記にサブダイヤルと針の配色、プッシャーの形状に至るまで、70年代のモデルに寄せられている。もちろん、バーインデックスの太さや針のトーンなど現代的な調整が施されている箇所も見られるが、2023年のシデラル Sの復刻のときにも感じられたアーカイブへのリスペクトが垣間見えるデザインとなっている。また、ムーブメントも当時に倣ってか手巻き式のものが採用された。今回ティソとして初めて搭載されたCal.A05.291は最長68時間のロングパワーリザーブを誇っており、その姿は裏蓋のサファイアクリスタルから眺めることができる。

 ティソ PR516 クロノグラフ メカニカルの価格は27万3900円(税込)で、本日2月22日から全国のティソ取扱店、およびオンラインショップにて販売が開始される。なお、同タイミングで直径40mmのSSケースにクォーツムーブメントを搭載したティソ PR516 クロノグラフ クォーツ3型が販売される。こちらは配色などの面でよりモダンなデザインを採用しており、価格も8万2500円〜8万9100円(税込)とPR516 クロノグラフ メカニカルと比べてよりリーズナブルだ。手軽にPR516 クロノグラフのエッセンスを味わいたいなら、こんな選択肢も用意されている。


ファースト・インプレッション

ティソ PR516はこれまでにも、何度かアーカイブをベースとしたモデルをリリースしている。特に個人的には2012年のもの(湾曲したブレスレットのようなメタルのパンチングブレスに、ステアリングホイールを模したローターを搭載していた!)がお気に入りなのだが、レーシングカーのゲージを3分割された秒表示で表現した2016年のモデルのようにPR516のデザインを参照しつつ、より先進的な試みが行われたモデルもあった。しかしそのどれもに共通しているのが、オリジナルモデルへの敬意を前提としたオマージュだ。そして新作PR516 クロノグラフ メカニカルは、過去のどのモデルよりもその傾向が強いように見える。顔立ちはオリジナルの要素を踏襲しており、巻き上げ方式も手巻きを採用した。だがその一方、中身の機能性についてはモダンなアップデートが図られている。この点においては、パワーマティック 80を搭載したティソ PRXほか、昨今のティソのリバイバルモデルに見られる流れを汲んでいるように見える。

 上でも触れたCal.A05.291だが、特筆すべきはそのパワーリザーブだけではない。すでにパワーマティック 80にも装備されているニヴァクロン製ヒゲゼンマイの搭載にとどまらず、ゼンマイがほどけ切る前に落ちがちな精度の向上、効果的な衝撃吸収構造を実現するNIVACHOC Aシステムの採用など、あらゆる面で高いパフォーマンスを発揮してくれる。そしてそれらを覆うように、今作のために新たにデザインされたブリッジが配置された。これ自体には特に目立った機能はないが、表面にあしらわれた“TISSOT 1853”の刻印には上記のスペックを踏まえたブランドの誇りのようなものが感じられる。シースルーバックからは、このブリッジが堂々と主張しているさまが見受けられる。

 クロノグラフのなかでも、手巻きは審美性や趣味性という観点から自動巻きのそれとは立ち位置が大きく異なる。ティソは裏蓋をシースルーにし、オリジナルのブリッジも設けることでそれらの需要を満たしつつ、スペック自体は今ティソが持ちうるものを生かしつつ先進的に仕上げてみせた。わかりやすく機械式時計を持つ喜びを表現しながら実用性も損なっていない。このバランス感は、優れた時計を手の届く価格帯で実現しようとするティソならではのもののように感じられる。

 ここまで誉めてばかりいるが、気になる点がないわけではない。ひとつは、そのサイズ感だ。オリジナルのPR516 クロノグラフのサイズは直径36mmだったとのことで、新作ではそこから5mmのサイズアップがなされたことになる。直径30mmのムーブメントを内蔵し、かつこのプライスで相応の防水性や耐久性を有した小径モデルを求めるのは難しいことも理解できる。だが少し、40mmを切るサイズ感で見てみたいと思った自分も否定できない。そしてこれはポジティブな話だが、ブレスとケースの仕上げのレベルがいかほどかは素直に気になる。幸いなことに、2月末に実機を手に取るタイミングがあるようだ。昨今のティソのリリースを見ていると自然と期待が高まるところだが、それが正しかったかどうか、SNSにて報告をさせてもらおうと思う。


基本情報

ブランド: ティソ(Tissot)
モデル名: ティソ PR516 クロノグラフ メカニカル(Tissot PT516 Chronograph Mcanical)
型番: T149.459.21.051.00

直径: 41mm
厚さ: 13.7mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: ブラックサンバースト
インデックス: アプライド
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 10気圧
ストラップ/ブレスレット: 3連ステンレススティールブレス(インターチェンジャブル)


ムーブメント情報

キャリバー: A05.291
機能: 時・分・秒表示、クロノグラフ
直径: 30mm
厚さ: 7.285mm
パワーリザーブ:最長 68時間
巻き上げ方式:手巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 25
追加情報: NIVACHOC Aシステム搭載、耐磁性能


価格 & 発売時期

価格: 27万3900円(税込)
発売時期: 2月22日(木)
限定: なし

詳細はティソの公式Webサイトをチェック。