本当の意味で素晴らしいことに出会うというのは、そういつでも起こることではない。今回ここで私たちがお話するのは、この時計がどれだけ素晴らしいものなのか、あるいはいかにこの時計が運命を示唆しているのかという話である。
言い方を変えれば、彼のコレクションを見られること自体が“一生に一度”だということを強調しておきたい。しかしながら、結局のところ、また時計の話をするのは確かである。ただ、今日お話することは、ひと言たりとも逃さず聞いて頂きたいと思う。
なぜなら、今回は生ける伝説と言われる方にまつわる時計のお話だからだ。フロリダのパームビーチで数週間前に、とあることで世界一だと言われる方と座ってお話を伺う栄誉を頂いた。――数十年前にあるスポーツの頂点を極め、その後は後進にその地位を譲ったお方。私がこれからお話するのは、ジャック・ニクラス。そう、あのジャック・ニクラスだ。
ジャック・ニクラスは、歴史上最高のゴルファーである。彼は、ご存じの通り、常にプロスポーツ界最高の選手の一人として名前が挙がる方であり、メジャー大会で18回優勝し、PGAツアーでは73勝、プロトーナメントの総勝利数は113勝を数える。メジャー大会18勝は、どんなプロゴルファーも未だに破ることができない記録となっており、彼がゴルファーとして別格と言われる所以だ。付け加えると、彼は、25年間でメジャー大会において優勝以外に、19回も2位になっている。単純に、ジャックは常に最高のプレイヤーだったということになる。そんな方の時計にまつわる話を堪能あれ。
ジャックもある意味で時計コレクターだったといえる。1995以来、彼はロレックスの正規ファミリーとして活動していたにもかかわらず、ロレックスをたった1つしか持っていない。その時計(ロレックス イエローゴールド デイデイト 1803)は、1967年に手にして以来、毎日彼の腕に着けられたもの。つまり、メジャー18勝のうち12勝は、この時計は常に彼と一緒にコースに出かけおり、プレイ中大切にゴルフバックにしまわれ、18番グリーンを終了するともう一度彼の腕に戻されるということを繰り返していた。
この時計は、片時も彼のそばから離れたことはなく、ライダーカップのために国境を越えるときも、海でのじっくりと釣りを楽しむときも(大きなカジキを釣った記録も持っており、彼の娯楽室の壁にはその記録が飾られてる)、バラクーダと泳いでいるときも(もちろん、彼はスキューバダイビングのライセンスも保持)、そして彼の5人の子供と22人の孫と過ごすときも常に彼と一緒だったのだ。このゴールドのロレックス デイデイトは、ジャック・ニクラス物語の大切な一部となっていた。
ジャックについてもっと知りたい方は、ぜひこちらのウェブサイトをご覧ください。
video/photos: ウィル・ホロウェイ&グレイソン・コルホネン
Additional images and vide : Jim Mandeville/The Nicklaus Companies
話題の記事
Hands-On MB&F LM シーケンシャル フライバック。複雑機構が増えるほど時計はよくなるのか?
Found ランゲの傑作、史上最高のトゥールビヨンウォッチ3本が今週一挙に登場
Auctions フィリップス TOKI -刻- ウォッチオークション:エディターのお気に入りの時計を紹介