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Hands-On 繊細かつ洗練された、完璧な性能を誇るジン T50

これはチタンの高機能さと優れた美観を兼ね備えたドイツ時計だ。


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2月下旬に発表されたジンのT50ラインを見てから、僕はずっとワクワクしていた。そのため、Watches & Wondersのためにジュネーブに滞在していたとき、同時期にジュネーブで開催されるパブリックフェア、Time to Watchesでジンのブースに立ち寄る時間を確保したのだ。

Sinn T50

 そして、ゴールドブロンズの限定モデルを含む数種類のT50を数分間触れてみて、僕の期待が的中したことを報告しようと思う。とにかくT50は素晴らしかった。

 さて、ここからが本題だ。最初の発表を見逃してしまった人のために説明すると、T50は基本的にジンの“ミッドサイズ”ダイバーであるU50をグレード5のチタンで表現したものである。幅41mm、厚さ12.3mm、ラグからラグまでの長さが47mmのチタン製T50の重量は、わずか53gだ(ストラップを付ける前の重さ。ゴールドブロンズモデルでは73g)。

Sinn T50

 すべてのバージョンで、幅20mmのドリルドラグ、無反射コーティングを施したサファイアクリスタル、クローズドケースバック、ねじ込み式リューズ、500mの防水性能、そしてジンのArドライテクノロジーを採用している。加えてT50は、船級協会であるDNVから欧州潜水器具規格のテストと認定を受けている。ベゼルは“テギメント”加工の硬化チタン(耐傷性)製で、ベゼルを回す前にユーザーが軽く押し下げる必要がある誤回転防止構造を装備。これはベゼルの目盛りが示す時刻を誤調整してしまうことを防ぐためのものだ。

 ジン UシリーズのダイビングスタイルとUXラインのソード針がミックスされたT50は、僕の腕と目にはオメガ シーマスター Ref.2254のようなものをとことん現代的にアレンジした時計のように感じられた。その印象の一部は針によるもので、もうひとつはT50のプロポーション、特に比較的薄いシェイプとなめらかなベゼルのエッジによるものだ。

Sinn T50
Sinn T50
Sinn T50

 しかし、シーマスターはともかく、T50は非常にジンらしい時計であることは間違いない。モノクロームかつ、シャープでモダン、オーバースペックで、誰かの手首で水中に身を置くことを望んでいるのだ。直径41mmのダイバーズウォッチでありながら、その文字盤は部屋の反対側からでも判読することができる。

 文字盤の文字要素は少なく、3時位置には控えめな日付表示があり、夜光処理は分針とベゼルのゼロ位置にある夜光の三角がブルー、そのほかがグリーンのツートーンで仕上げている。デザイン的に華やかな部分を挙げるとすれば、6時位置に(マットブラックの地の上に)グロスブラックで施された“Made in Germany”の文字や、秒針の中央付近の小さな夜光帯がそれにあたるだろう。発売当初はこの小さなディテールを見逃していたのだが、下の夜光ショット(夜光塗料が発光する様子の撮影)ではっきりと確認することができた。

Sinn T50 lume shot

 今回ジンを訪問し、最新のTシリーズ、その3モデルすべてを見ることができた。オールチタン製のT50、ゴールドブロンズベゼルを備えたT50.GBDR、そしてすべてをゴールドブロンズでしつらえた限定のT50.GOLDBRONZEだ。ツートーンを好まない僕はスタンダードなT50を選んだが、限定のゴールドブロンズモデルは手首に乗せるととても魅力的で、発売と同時に300本がほぼ完売したのも納得できる話だった。温かみがあるカラーリングかつマットな仕上がりで、ゴールドやブロンズのような輝きはないものの、テキスタイルストラップとの相性は抜群だ。

 ゴールドブロンズ(またの名をゴールドブロンズ125、CuSn7Au12.5)は、鉛、カドミウム、ニッケルを一切含まない純度を追求したジン独自のブロンズ合金である。これはブロンズの弱点である皮膚との適合性、耐腐食性の改善を目指したものだ。この合金は暗めのパティーナ(経年変色)を帯びるが、これは簡単に除去することができる。

Sinn T50 goldbronze on wrist
Sinn T50
Sinn T50

 ケースの素材を問わず、T50はスイスのセリタ製ムーブメント、SW300-1を搭載している。これは2万8800振動/時で時を刻み、42時間のパワーリザーブを有する自動巻きムーブメントだ。T50のケースに収められたCal.SW300-1はDIN8309規格(4800A/m)の耐磁性能を誇る。また、ジンは3年間の保証を用意している。

 T50は特にツーピースからなる新しいテキスタイルストラップ(チタン製のピンバックルを使用)に合わせ、巧妙な調整が全体に施されている。文字盤上のモデル名のテキストも、ブランドロゴに使われている白ではなく、グレーで表現されているのだ。

Sinn T50

 僕はもともとU50の大ファンだったが、T50はそのさらに上を行っているように感じる。U50にもっと本格的な機能を取り入れつつ、装着もしやすい。腕につけたときの重さはまるで小さなドレスウォッチのようで、7インチ(約17.8cm)の手首にフィットしながらも、カフスをつけると薄く感じるほど低めに設定されているところはとても気に入っている。今作はジンのなかでもプレミアムなモデルに仕上がっていて、チタン製のダイバーズウォッチに大枚をはたいたばかりの身としては、T50はその価格帯にふさわしい製品だと思う。

 誤回転防止構造がベゼルの動作に関わる大部分を規定していて、過去に経験したもの(例えば、オリジナルのTシリーズダイバーズ)と比較してもはるかに洗練されている。この機構により、操作時の力加減はライトながらもしっかりと固定されており、指先に受ける感覚は実に機械的だ。これは僕が経験してきたロック式ベゼルのなかでも最高で、自分の腕につけていても気にならない初めての時計だった。

Sinn T50
Sinn T50
Sinn T50

 ジン T50の価格は、ラバーストラップまたはブレスレットモデルの場合は74万8000円(税込)から(ブレスレットを入手したり、テキスタイルを追加したり、NATOに付け替えることもできる)。ツートーンのT50.GBDRは、テキスタイルストラップで82万5000円、ブレスレットとラバーのモデルで90万6400円(ともに税込)となっている。最後に、限定のT50.GOLDBRONZEは110万円(税込)とT50のなかで最高額である。

 最初にその価格設定を見たとき、U50(T50にとってSS製の対抗馬といっていいだろう)がラバーストラップで49万8300円(税込)からであることを踏まえて少々驚かされた。一方、ほとんどの人が最初にT50と比較したであろうチューダーのペラゴス 39は、59万1800円(税込、ブレスレットにラバーストラップも付属)で販売されている。

Sinn T50

 しかしT50を実際に見て、その価格に対する僕の考えは和らいだ。確かにすでに十分素敵に見えるU50よりもだいぶ高い。だがペラゴスと比べてもグレードの高いチタンを使用しており、より優れたスペック(例えば防水性能も500mと200mだ)にドリルドラグ、誤回転防止構造のベゼルまでも実装している。腕につけたときの美観も素晴らしい。一方、ペラゴス 39はより小さく(そのサイズに引かれて購入した人にとっては大きなプラスだろう)、洗練されたベゼルアクション(また、夜光付きのベゼルインサート)や間違いなく優れたムーブメント(保証期間も十分だ)を備えている。

 しかしこの時点で、僕が最近ペラゴス 39を買ったばかりだということを思い出す必要がある。僕がT50に感動した部分(非常に多い)と、ペラゴス 39を買った理由(主にサイズと美的感覚だ)は、比較できるものではない。だが、T50とU50の関係をブラックベイ 58に対するペラゴスと考えるなら(わかっている。僕はいくつかラインを超えてしまっている)、この価格設定はジンの枠組みのなかで成立しており、チタンの時計がどれだけ欲しいかということに集約されると思っている。繰り返すが、僕は上に挙げたすべての時計のファンだ。だが、僕がより小さなペラゴスに傾倒していることを踏まえつつ、39mm径になったU50やT50の魅力についても考えてみて欲しい。

 ペラゴス 39もT50もチタン素材がモダンなスタイリングと共存しており、実用的でつけやすく、ちょっとテクニカルで、僕が所有する多くのSS製ダイバーズウォッチとはまるで異なる存在感を手首の上で放っているのだ。

Sinn T50

 U50の実績をもとにT50を美観的にも物理的にも異なるものとすることで、ジンというブランドを象徴する素晴らしい時計を作り出したと思う。さらに簡潔にいうなら、もしあなたが本当にツールとして使えるチタン製ダイバーズウォッチを求めていて4桁ドル台半ばの出費をいとわないなら、T50をリストに加えるべきだろう。ジンがこれまでに製造したダイバーズウォッチのなかでいちばん好きだと、僕は自信を持って断言する。

T50の詳細については、ジンのウェブサイトをご覧ください。