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Introducing パテック フィリップ スカイムーン・トゥールビヨン Rare Handcrafts 2021でお披露目される新作

卓越した複雑さとクラフツマンシップによって出でて、カフリンクスとして残る。

スカイムーン・トゥールビヨンは、パテック フィリップの時計においてグランドマスター・チャイムに次いで2番めに複雑な時計である。グランドマスター・チャイムは、チャイム機構に必要な部品点数が多いため、パテック フィリップで最も複雑な時計として、おそらく当面の間、他の追随を許さないであろう。しかし、スカイムーン・トゥールビヨンが技術的に劣っているというわけではない。2001年に発売され、今年20周年を迎えたこの時計は、カセドラルゴングでチャイムを鳴らすリピーター、恒星時の表示、永久カレンダーなど、合計12の複雑機構を備える。この新たなRef. 6002R-001は、パテックのカタログに掲載されているブラックエナメルダイヤルを備えた6002G-010に代わるものである。

 スカイムーン・トゥールビヨンの新バージョンは、技術的には現行モデルと同様だ。このモデルは表と裏の両方にディスプレイを備える(つまり、ムーブメントを鑑賞する楽しみはないが、情報の面では確かに見返りがあるといえる)。最上部には、曜日、日付、レトログラードの月表示、平均太陽時表示、ムーンフェイズなどからなる永久カレンダー表示があり、さらにうるう年のサイクルでどの位置にいるかも示す。

 裏蓋には天文コンプリケーションが備えられる(ただし、グレゴリオ暦と実際の1年の長さとを調整する永久カレンダーは、厳密には天文コンプリケーションと考えてもよいだろう)。

 裏面には、北半球から見た夜空、つまり星座表が配される(赤道以南の裕福な顧客のために、南半球版を注文することはできないのかといつも思うが、意志があれば可能だ)。地平線上に見える空の部分は、楕円の内側部分にコンパスのポイントも表示されており、方位を確認することもできる。また、月の軌道と位相も表示され、2本の針は恒星時(スタータイム)を表わす。

 恒星時の表示は、天文学者でもない限り実用的ではないためかなり珍しいものだが、時計職人にとっては、列車の運行時刻を平均太陽時と恒星時で別々に計算しなければならないという、興味深い課題がある。1日とは、通常、太陽が空のある地点に戻ってくるまでの時間と定義される。時期によっては、真の太陽日の長さは、時計に表示される時間から最大15分ほど異なることがあり(これがいわゆる「イクエーション・オブ・タイム」だ)、慣習的に1日の長さを平均的に24時間としている。この平均太陽時を基にして、あるタイムゾーンのすべての場所で使われている時間である市民時間が作られる。

 一方、恒星時は、ある星が天空の同じ場所に戻ってくるまでの時間を基準にする。太陽時と同じだと思われるかもしれないが、地球は自転すると同時に軌道上を移動している。太陽を(例えば)天頂に戻すためには、実際の距離は近いために地球は実際には1回転よりも少し多く回転しなければならない。しかし、星の場合はその影響を無視できるほどに離れており、そのため、恒星時の1日は太陽時の1日よりも約4分、わずかに短い。

 さらに、ミニッツリピーターは、ケースサイドのスライドレバーによって作動するという伝統的な方法を採用している。

右下にあるのがリピーターを起動するためのスライドレバー。

 スカイムーン・トゥールビヨンの旧モデルはホワイトゴールド製で新作はローズゴールドだが、製造中止となったモデルに施されたエングレービングのモチーフをほぼそのまま再現している。それに加えて、数種類のエナメル技法も用いられている。文字盤の外周とムーンフェイズの開口部とディスクには、シャンルベと呼ばれる技法が採用された(シャンルベとは、金属に精密に彫刻し焼成する前にエナメルを充填する技法)。文字盤の内側はクロワゾネ本七宝(エナメル)で装飾。この技法では、平らな金のワイヤーをさまざまな形に成形し、縁取られたなかにエナメルを詰めていくものだ。

 新しいスカイムーン・トゥールビヨンのエングレービングは、現行モデルと同様に精巧なバロック調で、針にまで施されている(パテックによると、エングレービングには約100時間かかるとのことだが、これは疑う余地がない)。レッドゴールドがホワイトゴールドに比べてケースのディテールや形状を強調していることもあって、各面の複雑な抑揚はさらに際立って見える。

 スカイムーン・トゥールビヨン 6002R-001は、Rare Handcrafts 2021(ジュネーブのパテック本社で6月16日から26日まで開催)でデビューするが、これはユニークピースではなく通常生産モデルである。他のパテックのハイコンプリケーションやハイクラフト作品と同様にこれは受注生産品であり、価格はリクエストに応じて決定される。しかし、100万スイスフランからお釣りを期待するのは、極端に非現実的であることを強調しておきたい。

 ただし、おまけとしてシャレたカフスボタンがもらえることもあるだろう。

 スカイムーン・トゥールビヨンは、20年経った今でも、世界で最も臆すことなく作られた時計の一つだ。その複雑さと技巧は、それ自体が驚くべきものであると同時に、ジュネーブの超高級時計の機能的な博物館でもある。確かに(控えめに言っても)安くはないが、ほとんどのブランドがカタログ全体に掲載している以上の時計学的内容を1つの時計で得ることが可能だ。本機の外観は当然、すべての人のためのものではなく、このような時計と暮らすことは、ファルネーゼ宮のテーブルをダイニングに置くようなものだろう。しかし、もしあなたにそのような興味と関心があれば、これは時計における偉大な1本となるに違いない。

パテック フィリップ スカイムーン・トゥールビヨン Ref. 6002R-001:寸分の狂いもないエングレーブが施された18Kレッドゴールドケース、44mm x 17.35mm、"非防水、湿度と塵の保護のみ"。ムーブメント パテック フィリップ社製Cal.R TO 27 QR SID LU CL。

機能:フロント側 レトログラード日付針付きパーペチュアルカレンダー。平均太陽時の時と分表示。曜日、月、うるう年を小窓に表示。ムーンフェイズ。裏面:恒星時、天球図、月の満ち欠けと軌道。ミニッツリピーター付き1分間トゥールビヨン。ムーブメントサイズ 38mm×12.61mm、20年経った今でも驚くほどの薄さ。24のブリッジの下に705個のパーツがあり、55石、2万1600振動/時。

その他、詳細はパテック フィリップ公式サイトへ。