trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Bring a Loupe 1960年代のロレックス オイスター パーペチュアル Ref.1002、アバクロンビー&フィッチ ソルナー、オメガ クロノストップ 

オンライン上のヴィンテージ腕時計情報が今週も出揃った。

ADVERTISEMENT

人によって感じ方は違うかもしれないが、私には、オークションシーズンが最も盛り上がりを見せる時期に近付くにつれて、掘り出し物のレベルも上がっているように感じる。私が狙うのは、極めてよく手入れされた、パリッとしたヴィンテージウォッチだ。
 期待に応えてくれるようなスポーツタイプの腕時計が豊作で、バルジュー72を搭載したゾディアック シークロン、アバクロンビー&フィッチからはソルナー(Ref. 2447)、そして、大穴中の大穴の1つであるオメガ クロノストップドライバーだ。今週の収穫にはまた、珍しいホワイトゴールドのオーデマ ピゲやミラーダイヤルの1960年代のオイスターパーペチュアルなど、一定のスマートさを感じさせる特筆すべき腕時計も含まれている。見どころの多い1週間となった。早速見てみよう。


ゾディアック シークロン

 私がゾディアックのクロノグラフの虜になったのはずいぶん昔のことで、初めて「良い腕時計」を手に入れた後のことだった。南部にあるデパートの腕時計売り場で自ら選んだものだったのだが、11歳か12歳だった私は、2つのメーターがついたオレンジ色の文字盤をした、クオーツ製クロノグラフのプレゼントに大喜びした。それ以来、この時計はずっと私の手元にあり、必然的にその頃よりも深く時計にのめり込んでしまった。
 私が11歳だった頃には夢にも思わなかった程の時間とお金を時計に費やすことになってしまったのは、この時計がきっかけだったのかもしれない。でも、その過程において学んだことがいくつかある。そのうちの1つが、あのゾディアックのクロノグラフが天才の名に恥じないものであるということだ。

 ゾディアクロンに加えて、3つのメーターを搭載したクロノグラフというゾディアックの職人技はシークロンでも見られる。ゾディアクロンのように、シークロンもバルジュー72を搭載している。ただしシークロンは38.5mmのステンレススティールケースで、回転式ベゼルが付いている。
 以前にシークロンを取り上げたことは絶対にあると思うのだが、これほど魅力的な一本は紹介したことがないと思う。研磨されていないケースに人気のあるグレーベゼル、非の打ち所のない文字盤といったように、オリジナルのブレスレットを付けたこの一本はとりわけ新品も同然だ。オリジナルの箱と、今年5月にオーバーホールに出されたことを示すサービスレシートが付いてくる。

 この時計はもとのオーナーの親族によって直接オークションに出品された。僕がこの一本に魅力を感じるもう一つの理由だ。これまでにも書いたように、これは、時計が本物であることにある程度の確信を持つほぼ唯一の方法だ。ずっと1人のオーナーが使ってきた時計に比べると、客観的にみて複数の人の手を経てきた時計には何らかの形で手が加えられている可能性がより高い。つまりこれは良い一本であり、その真贋に関して僕には何の疑いもない。

 この時計は9月20日、ドイツのムッターシュタットで開かれる販売会にHenry’s Auktionshausから出品される。ちょうどこの日は私の誕生日だ。


オメガ クロノストップドライバー(Ref. 145.010)

 マーケットが進化し続ける中、狂暴な価格上昇の影響に抗ってきたように見える時計が1つある。これもまた、私がまだ若かった頃に夢中になった時計だ。幸運なことに、そのころも今でも比較的手に入りやすいというところが大きい。ある意味オメガっぽくなく、1960年代のオメガ・クロノグラフで、とても良いリアリティに根付いた一本を探しているならば、クロノストップドライバーで決まりだろう。

 この一本のように私を魅了してくれる時計は少なく、しかも、このシリーズの時計が合理的な範疇の価格であることもさらに好印象だ。馴染みのない方のために説明しよう。オメガ クロノストップは「60秒クロノグラフ」として発売された。つまり、60秒間を測ってくれるのだ。プッシュボタンは1つだけで操作しやすく、短いインターバルでのタイム測定を可能にしてくれた。この機能は自動車マーケットでのクロノストップ人気に火を点けた。その人気は、最終的にスピード狂のためにデザインされたバージョン違いをオメガに発売させた程だ。

 最もアイコニックなクロノストップの「ドライバー」バージョンはRef. 145.010に相当し、運転中でもすぐに時間が確認できる回転した文字盤が特徴だ。最近マーケットに出たものの中では状態の良いうちの1つであるが、ここまでで納得のいかない方はぜひこの一本を見て欲しい。
 文字盤に傷や汚れはなく、正規ブレスレットならびに同じく正規のNo. 27クラスプが揃っていること、そして最近メンテナンスに出されたという点を考慮すれば、愛さずにはいられない一本である。また、完全な透明性という観点から、この時計の修理記録のすべてを公開している売主も評価したい。

 こちらの時計はOmega Forumsの売買セクションで「SuperHero」というニックネームのコレクターが出品している


1962年 ロレックス オイスターパー ペチュアル Ref.1002

 ミラーダイヤルのロレックスに目がないのは皆同じで、私も例外ではない。売りに出ているたくさんのミラーダイヤルのスポーツタイプの1つを掘り出してくることも可能だったが、今週はこのまま、そうお目にかかることのないロレックスのミラーダイヤルを紹介したい。
 また、この一本は他の多くに比べるとずい分と良心的な価格で、このような時計を狙うたくさんの人をワクワクさせるに違いない。一つの段落で「ミラーダイヤル」という言葉を最も多く使ったという世界記録を破ってしまう前に、この時計を細部にわたって見てみよう。

 こちらはオイスター パーペチュアル Ref.1002で、ラグの間にあるシリアルナンバーとケース裏面に刻印された日付からは、この時計が1962年のものであることが分かる。さらに厳密に言うならば、1962年の第2四半期のもので、確かに、光沢のあるミラーダイヤルだ。これは当該のオイスター パーペチュアルのような比較的ベーシックなリファレンスには滅多に見られない特徴であり、この一本がいかに貴重な存在で珍しいかを物語る。写真を見る限り、発売当時の艶のある輝きをキープしているようにも見える。

 この一本をさらに魅力的にしているのが、正規のリベットブレスレットの存在だ。今のところ、このブレスレットにはNo. 57のエンドリンクが付いている。私は常々、このディテールは、ヴィンテージ・ロレックスの全体的な素晴らしい見た目や完成度を高めてくれると感じていた。購入時点で既にこれが付いているというのは嬉しい。オンライン上で出品されている最も美味しいオイスターパーペチュアルがどのようなものなのか不思議に思っていた方、その答えはここにある。

 ロレックスによるヴィンテージのミラーダイヤルの本品は、比較的手の届きやすい5500スイスフラン(約60万円)で、ジュネーブのロイ&サーシャ・デイヴィッドオフによって出品されている。出品者のサイトに詳細の記載あり。

ADVERTISEMENT

オーデマ ピゲ Ref. 5093

 これまでにも書いたことがあるように、状態の良いヴィンテージのオーデマ ピゲを見つけ出すのは、ヴィンテージ腕時計収集の世界で最もやりがいを感じられる瞬間の1つかもしれない。これらの腕時計がそもそもどれほど希少であるか、そしてその繊細な作りを考慮すれば、時の経過という過酷なテストに耐え、本当の意味で素晴らしいコンディションで残っているものはわずかしかない。
 こういったことはすべて、オーデマ ピゲのコレクターにとっては当たり前のことだ。ちなみに、そういったコレクターの多くには、彼らに代わって常にマーケットをモニタリングしているお抱えのディーラーや業者がいる。

 ヴィンテージのオーデマ ピゲコレクターの大部分にとって、複雑なリファレンスを見つけるのが当然ながら重要なゴールとなっているが、良い3針時計にもいつだって何らかの魅力がある。時計そのものに価値があるように。上の写真が示す通り、Ref. 5093のこの一本が素晴らしい3針の時計であること、「抜群に良い」という記述にふさわしいコンディションであることに疑いの余地はない。その記述はまた、ケース同様18KWGが使われた「ディスコボランテ(空飛ぶ円盤)」スタイルのベゼルに見られるホブネイルとエンジンターニングが施されたディテールを表すのにもぴったりだ。

 この時計のシンプルさをさらに高めるものとして、Ref. 5093はラグがはみ出ていない。代わりに、ケース内部のくぼみの中でストラップへと繋がっている。それに加えてこの時計は信じられないほど薄く、極めて快適な着け心地を実現している。最近私は44mmの大きな角型のカーボン製腕時計を着けているのだが、そろそろこういったタイプの時計に乗り換えたいのが正直なところだ。

 この滅多にお目にかかることのないオーデマ ピゲを出品しているのはマイアミをベースとするディーラー、マシュー・ベインだ。売却希望価格は、1万1500ドル(約125万円)。写真、詳細、連絡先はこちらから。


アバクロンビー&フィッチ ソルナーRef.2447

 最後は見るからに楽しい時計で締めくくりたい。ご紹介するのは、アバクロンビー&フィッチのためにホイヤーが作った一本だ。店舗に入るやいなや、ドスンドスンと鳴り響くベースの音に加えて安っぽい香りが襲いかかってこなかった頃のアバクロンビー&フィッチだ。
 ホイヤーのマーケットの下落をよそに、アバクロンビーの名を冠したこちらのホイヤーには依然として大きな魅力があり、その魅力は価格にしっかりと反映されている。

 これがホイヤー ソルナーだ。潮位計が搭載された初めての腕時計としてご存知の方もいるだろう。伝えられているところによれば、この新たなコンプリケーションウォッチの発売に際し、ホイヤーは初版としてわずか1000本だけを作った。しかし発売後すぐの人気を受けて、アバクロンビー&フィッチのためのソルナーのラインと共に生産が続けられた。生産されたさまざまなバージョンのうち、これが私の個人的なお気に入りだ。

 耐えられない程長ったらしい散文を書いて、その中で海への愛やこの時計がどういった風に偉大な母なる海との繋がりを感じさせてくれるのか語ることもできるが、ここは極力シンプルに、率直にいきたい。私がこの時計を愛する理由は、潮の干満を知らせる回転するディスクだ。
 もっと厳密に言うと、そのタイダイ風の見た目だ。クローゼットの中に「グレイトフル・デッド」の古いタイダイTシャツをたくさん忍ばせている私にとっては、この時計の奇妙さがたまらないのだ。また、その当時に作られた時計のほとんどがもっと控えめなデザインをしていたことを考えれば、この時計が1950年代に誕生したというのも面白い。

 こちらの時計はオンラインセールにSotheby’sから出品される。売却予想価格は4000ドルから6000ドル(約40万円~65万円)だが、最終的にどんな値がつくのかは誰にも分からない