Watch Spotting オメガのカスタム・スピードマスターが、宇宙旅行のパイオニアであるウォーリー・ファンクとジェフ・ベゾスの手首に装着されテイクオフ

　午前9時15分、民間宇宙開発企業「ブルー・オリジン」のミッションNS-16が始まった。興味深いデザインの宇宙船「ニュー・シェパード」は、4人の乗客を乗せて軌道から飛び立った。ベゾス氏本人、弟のマーク氏、元NASAの訓練生で希望に満ちたウォーリー・ファンク氏、そしして18歳の有料乗客オリバー・デーメン氏だ。これはNASAのミッションではない - むしろまったく違うものだ。ベゾス氏が長年暖めてきた計画であり、宇宙船は完全に自営で、コンピューター制御されていた（まるで宇宙版テスラのようだ！）。

　ロケットは打ち上げ後どんどん上昇し、地球の大気と宇宙の境界線であるカーマンラインに到達した（リチャード・ブランソン氏が到達した距離よりも86kmも高いが、誰が数えるだろうか？） 一瞬、世界で最も裕福な人が地球から......いなくなったわけだが、その後、彼は戻ってきた。

　お察しの通り、今回のイベントには時計が登場した。ベゾス氏とそのクルーは、技術的には地球の大気圏外に出たわけではないが、 - それは60年以上前にNASA（その前はソビエト）が達成した偉業 - 皆似たような時計をつけていた。搭乗者の手首には、とてもクールなグレーのベルクロストラップがついたオメガのスピードマスター ムーンウォッチが装着されていたのだ。

　具体的にはリファレンス310.30.42.50.01.001、つまり、ヘサライトクリスタル（ヘサライトでよかった）とMETAS認定の新型ムーブメント3861を搭載した「スピーディ」を着用したのだ。しかし、これらは既製品のモデルではなかった。オメガはミッションのために時計を寄贈したが（まるでベゾス氏が買えなかったかのように見える）、今回の機会のために若干の調整が加えられていた。

　ベゾス氏のスピードマスター（そして、おそらく搭乗者すべての時計）の裏蓋には、着用者の名前、フライトナンバー、ブルー・オリジンの羽のマークが刻印されていた。現在、標準的なムーンウォッチの裏蓋に印刷されているよりも文字数が少ないと想像している。思うに、"Flight Qualified for a 10-Minute Space Cruise（10分間の宇宙クルーズの飛行資格を取得） "のような内容ではないか。

　さて、億万長者とその弟（そしてアマゾンのナンバーワン顧客）がロケットを空高く飛ばすという今回の宇宙飛行については、いろいろな感想があるだろう。しかし、宇宙ファンにとっては、ウォリー・ファンク氏の搭乗を評価することができる。彼女が「ベゾス号」に10分ほど乗って無重力状態になることは、実現までに50年もかかったのだ（彼女はマーキュリー計画のために訓練を受けたが、工学の学位を持っていないという理由で搭乗を拒否された）。82歳にして、この旅に参加できたことは驚くべきことだ。そして、昔の同僚たちがそうだったように、アイコンであるムーンウォッチを腕につけて旅をしたことは、さらに素晴らしいことに違いない。

　地上に帰還したとき、ベゾス氏はカウボーイハットを被っており、クリント・イーストウッドの映画『スペース カウボーイ』に新たな意味を与えただろう。 この話をどのように受け止めようとも、これが宇宙旅行の未来と伝統を融合させたオメガ　スピードマスターの不朽の歴史に、新たな1ページを加えたことは確かである。