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Bring a Loupe 1970年代 ロレックス ターノグラフ Ref. 1625、タグ・ホイヤー チェス チャンピオン、IWC Cal. 83

ネットで購入できるマスト-ハブな時計たち。

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 また金曜日がやってきた。つまり、現在購入できるヴィンテージウォッチ探しという最もエキサイティングな時間がきたというわけだ。今回セレクトした中には、最高の作りのモバード クロノグラフや、シンプルな時間表示だけの控えめな雰囲気のIWCが含まれる。希少価値を求められているのなら、ユニバーサル・ジュネーブのコンピュールやサンダーバードRef. 1625はたまらないだろう。特にサンダーバードは、珍しいディーラーのダブルネームだ。もう既にお持ちの時計に満足しているのなら、ホイヤーの対局時計チェス チャンピオンはいかがだろうか。次のオーナーへと確実に引き継がれる名品だ。


モバード M90 クロノグラフ

 ヴィンテージクロノグラフの逸品に求めるものを挙げるなら、私の場合は次のようになるだろう。まず、ステンレススティールケースであることが絶対条件だ。イエローゴールドなどの貴金属を使った時計にも間違いなく良さはあるが、全く私の趣味ではない。それはもっとスマートな人たちに任せよう。
 二つめはブレゲ数字。当然だろう。その書体にはどこか魅力があるのだ—— どんな時計でもさらに格上げする力があるかもしれない。考えてみれば、これ以上挙げるものはないかもしれないが、もしこれに該当するものに出会う幸運に恵まれるなら、落ち込んで受話器を下ろすことは絶対にないだろう。

 最初の注目すべき時計は、上記のすべてのチェックボックスに該当している。幅はわずか33mmで小さめだが、その価値は言うまでもない。まずこのモバードから始めよう。由緒あるムーブメントでコラムホイール式のキャリバーM90を搭載している。もしこれまで目にしたことがなければ、一度じっくりと見てみることを強くお勧めする。このキャリバーとM95 は、まさに見た目に美しく、それが大きな理由で私のお気に入りのムーブメントのひとつなのだ。
 前述のブレゲ数字と3時側のサブダイヤルの独特な針のデザインが目を楽しませるポイントである。フランソワ・ボーゲル(François Borgel)製作のケースが、すべての相乗効果を生んでいる。馴染みのない読者のために念のため書いておくと、FBマークの刻印入りケースは、その品質の高さと最上級のデザインにより、パテック フィリップでも採用されているものだ。 

 以上のそれぞれの要素が重なって、非常に格好良い時計に仕上がっているだけでなく、パテック1463風のクロノグラフのプッシュボタンがさらに美しさを添えている。33mmというケースサイズを抜きにして、このモバードのパーツは魅力的なのだ。少しの慣れが必要かもしれないが、きっと大丈夫、おすすめだ! 

マイアミに拠点を置くMenta Watchesがこの注目すべきモバードを1万3000ドル(約142万円)で販売している。詳しくはこのサイトで。


ユニバーサル・ジュネーブ コンピュール

 次の時計は、私自身は必ずしも買わないかもしれないが、その希少性と歴史的価値を鑑みれば、事実上、外すわけにはいかなかった。心配ご無用。この心境を認めたうえで詳しく説明するつもりだ。その時計はコンピュール。他でもないユニバーサル・ジュネーブ社製だ。写真でもお分かりのように、かなり経年変化が見られる。かつてはブルースティール針とシルバーの美しい文字盤のクロノグラフだったようだが、長年の時を経て汚れが付着し変色している。だが、この状態であっても、熱心に関心を抱くファンがいることは間違いないだろう。 

 文字盤中央の針の真下には、小さな結び目のマークが確認できる。通常は「コンピュール(COMPUR)」の文字のある部分だ。この結び目は「サボイノット」として知られ、イタリアのサヴォイア家の紋章に使われていたシンボルである。このシンボルがこの時計とイタリア王家のサヴォイア家とを直接結んでいる。イタリアのサヴォイ伯爵・公爵・王は、アルバニア、エチオピア、スペインを短い期間だが統治し、1861年のイタリア統一の一端を担った。この決定的な紋章は間違いなく、この時計が元々はイタリアの市場に出され、サヴォイ家の関係者に贈られたものである事実を告げている。 

 これまで、似た作りの文字盤にサボイノットが載せられた時計を目にしたことがある。ユニバーサル・ジュネーブ コンパックスとゼニス マリーナ ミリターレだ。紋章入りの文字盤がありふれていると言いたいわけではない。私が出会ったすべての正当な個体を数えても、片手で足りる程しかない。むしろ、指が2本余るのだ。必ずしも望むような美しいままの見た目で時を刻んではくれないが、それでもこの時計には際立つ格好良さがあるのだ。

 シラキュースの販売店がこの希少価値の高い珍しいユニバーサル・ジュネーブを取り扱っている 。 本稿公開時点の最高入札額は239.50ドル(約2万6000円)だ。

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1970年代 ロレックス ターノグラフ Ref. 1625

 希少性という観点でいえば、この時計も別格だ。それは文字盤に小指の爪よりも小さなほんの少し変わった印字に理由がある。ヴィンテージウォッチに関しては、サイズに惑わされてはならない。理解しがたく困惑するかもしれないが、その大小は関係なく細部のディテールがすべてなのだ。 前述のユニバーサル・ジュネーブから、今度はこの興味深いウィルスドルフの王冠帝国(つまりロレックス)に話を移そう。注目すべきは、ディーラーのダブルネームであることだ。これが、この時計の格好良さに拍車をかけている。

 ロレックスは、他の時計メーカーと違って、どんな認定業社に話をもちかけられても、ダブルネームの文字盤にはそれほど意欲的ではなかった。そのため、ディーラーのサイン入り文字盤の時計の生産数は他のブランドに比べて極端に少ない。そういったバリエーションの中でも、最も人気が高いのは、"Joyeria Riviera"のサインが入ったものだ。これは、この時計を最初に販売したのがハバナの一流の高級ディーラーだったことを示している。この販売店は、1943年にドン・フリオ・アビスレイマン(Don Julio Abislaiman)がガリアーノ通りに開業し、ハバナでの営業は1960年に革命が終わるまで続いた。島国キューバの新政権による困難な状況を潜り抜け、Joyeria Rivieraは店をたたみ、事業をプエルトリコ島サン・フアンに移した。 

 特別な処理を施していない個体は無数にあるのに対して、ディーラーのサイン入りロレックスの時計自体がそもそも貴重だが、"Joyeria Riviera"のサイン入りのものは、例えば、ティファニーのサイン入りのものより、はるかに貴重である。従って、これを所有することは特権であり、 型番1625 サンダーバード を所有できることもまた然りだ。サンダーバードが熱心なファンを従えた既に型破りな時計であることを考えれば、Joyeria Rivieraのダブルネームは、まさに所有欲を掻き立てるものである。

Joyeria Rivieraのサイン入りロレックスを手に入れたければ、ドイツ ハンブルグのオークションCotrie Spezial Auktionen of Hamburgを訪れよう。予想落札額は、3500ユーロから6500ユーロ(約42万5000円~79万円)だ


ホイヤー チェス チャンピオン

 ホイヤーの全盛期に彼らが得意としたもの、それはタイミングに関するノウハウをあらゆるものに取り入れていたことだ。モータースポーツ? 問題なし。ヨット? もちろん。馬術用の時計? それも当てはまる。実に枚挙にいとまがない。そしてつい先日、そのリストにもう一つのアクティビティがあることを知って私は嬉しくなった。この時計の名前からお分かりの通り、チェスのための時計だ。既にオタッキーなヴィンテージウォッチの記事がさらにオタク色を濃くしてしまうかもしれないが、私自身が自称オタク(おそらく「考える人」を魅力的にした言い方であり改良版だと解釈している)としてこの発見を読者の皆さんと共有できることにワクワクしている。

 この時計はチェス チャンピオンとして知られており、実際に製造していたのはルーピングという時計製造業者だ。この事実を知っていれば、少し掘り下げて調べたときに、一見して同じ時計であるにも関わらず、ホイヤーではなくルーピングというブランド名のものが存在する理由が分かる。名称はさておき、交互に計時できる面白い仕組みで、チェスの対局時に持ち時間を正確に計測できる。元々は競技で実際に使われていたものだと推測するが、当時のことを考えると、家庭での日常使いのために買っていてもおかしくはないだろう。結局のところ、何でもありだ。 

 商品内容として計時装置本体は本来保証されているものだが、独特の機能性があるため、取扱説明書はチェス チャンピオンならではのものがある。販売者はその他に、同梱の箱は現物だとも説明しており、これは正真正銘の事実だ。箱にホイヤー のマークが無くても心配しないでいただきたい。さらに調べたところ、他の同製品の箱や紙と同じであることが判明した。たとえチェスをするとしても、容易に想像がつくのは、熱心なホイヤー収集家にとって、コレクションに加えるのに最高のアイテムだということだ。あるいは、単に棚の隙間に何か面白いものを飾りたいと思っている人にとってもまた然りである。 

 このホイヤー チェス チャンピオンはオーストラリアの販売者がeBayで出品している。開始価格は430ドル(約4万7000円)で、本稿公開時点で入札者なし。


IWC Cal. 83

 1940年代の洗練された時間表示のみの時計については、常に何か言及すべきことがある。それが、今週を締めくくる前に私がまさにやろうとしていることだ。
 こうした洗練されたテイストの時計でいえば、ロンジン、オメガ、ユニバーサル・ジュネーブ、ゼニス、パテック フィリップといった面々がおなじみだ。そしてIWCも時間表示のみ時計を提供していたことを忘れてはならない。まさにゆるぎない最高傑作のひとつだからだ。最高級ムーブメントを搭載しながら控えめで、それでいて攻めを感じさせる美しさまで、まさに夢中にさせる理由が多くある。

 自分で言うのも何だが、今日のこの1本はとびきりだ。まずは時計の内部に関して話を始めよう。IWCのキャリバー83は、本稿の冒頭でとりあげたM90によく似ており、このクラスでは見た目が楽しいムーブメントの1つだ。ムーブメントが、アルファ型の2本の針を動かしている。これが35mmの厚みのあるケースですっぽりと覆われ、ラグの形状はパテック フィリップ Ref.1518と似ている。少し大げさかもしれないが、これがまさしく私の目に映ったままの言葉である。

 状態が良く、良好だが、文字盤にいくつかのスレがあるように見える。とはいっても、依然として間違いなく魅力的な個体であり、手入れは行き届いている。日曜日におしゃれをして出かけるために、それに合う腕時計を探しているなら、その品物探しはここに始まり、ここに終わるとお勧めしたい。 

 このIWCは、Instagramで@watch_nutの名のコレクターにより、5000ドル(約54万6000)で出品されている。