Hands-On タグ・ホイヤー　コネクテッドウォッチをリアル・トライアスリートがレビュー

　タグ・ホイヤー コネクテッドは、この夏、水泳と屋内でのランニングに対応した。これは、スイスの老舗ブランドがスマートウォッチ（およびマルチスポーツウォッチ）の世界に参入したものである。もしパトリック・ベイトマンがマラソン選手だったら、これは彼のトレーニングパートナーになるだろう。

　私は時計の専門家ではないが、それなりの経験があればそう認められるのであれば、フィットネスの専門家のようなものだ。マラソンを10回、ハーフアイアンマンのトライアスロンを3回、そしてアイアンマンのフルマラソン（2.4マイルのスイム、112マイルのバイクライド、26.2マイルのラン、アディロンダックを13時間45分かけて走り、座っていられることに感謝した）を1回経験している。

　長年にわたり、前述の大手メーカーをはじめ、スント、ポラール、フィットビット、コロスなど、私は数え切れないほど手首に装着する多くのフィットネス機器をテストしてきた。しかし、タグ・ホイヤーを手にするまでは、きちんとした機械式時計のブランドを身につけたことはなかった。

　スマートウォッチとしては、コネクテッドはとてもハンサムだ。個人的には、シンプルな黒のベゼルとストラップが気に入っているが、他の選択肢も豊富に用意されている。クラシックなSSケースとブレスレット、ライムグリーンのストラップ。奇妙なことに、スーパーマリオの限定モデルにいたるまで豊富なラインナップだ。私はブラックチタンケースとラバーストラップを試してみたが、チタン製とは思えないほどの重厚感だった。Apple Watchよりも若干重いものの、極端に重いわけではない。10マイルのランニングやラップスイムでも違和感はなかった。

　今まで身につけたスマートウォッチのなかで、この時計は最も素敵なデザインだ。ただのスポーツウォッチのようには見えないし、れっきとしたタグ・ホイヤーの時計のように感じられる。ランニングや水泳、バイクに乗るためだけのギアではないのだ（さらに、音楽をストリーミングしながらテキストメッセージを受信したり！）。伝統的なタグ・ホイヤーの本質とシルエットを持ちながら、Apple Watchのような頭脳を備えている。これは事実上、そうなのだ。Google Wear OSを搭載したスイス製のApple Watchというわけだ。

　この時計は、ランニング、プール、バイク、そしてゴルフコースでも大活躍だった。18ホールをともにプレイしたところ、各ホールのグリーンまでの距離を教えてくれた。タッチスクリーンでピンをウォッチフェイス上で移動させることもでき、その位置に応じて具体的なヤード数を設定することも可能だ。さらにいいニュースもある。自分がどのくらいの距離を走ったのか、どのくらいの時間がかかったのかを知りたいだけの一般の人にとっても、コネクテッドはそのすべてを記録してくれる。悪いニュースとしては、私のように、ネジの緩んだ生涯のアスリートであれば、思い通りにはならない。理由を説明しよう。

　私は2010年に、タイメックスのアイアンマンからガーミンのGPSウォッチに移行した。それまでは、距離を記録する時計を使ったことはなかった。いつも同じルートを走り、その距離を把握していただけで、距離がわからないときは、オンラインの地図ソフトにルートを入力して計算していた（単純な時代だった）。最初に購入したガーミンは、啓示であり（自分がどのくらいの距離を走っているのか、突然リアルタイムで知ることができた）、呪いでもあった（ペースに不健康なまでに固執していた）。

　しかし、スマートウォッチやGPSウォッチで楽しかったのは、運動中に時計に表示される内容をカスタマイズできること。アスリートであるあなたは、自分のトレーニングに時計を合わせることができるのだ。ガーミン Forerunner 945は、私がトライアスロンのトレーニングで毎日使っている時計で、この時計を自分の仕様に合わせている。例えば、走っているときには、4つの指標を表示してくれる。現在のペース、直近1kmのペース、総距離、経過時間。私が知りたいのはそれだけ。もし心拍数を追加したければ（私は追加していないが、自分の呼吸が荒いことはわかる）、それも可能だ。また、経過時間だけを知りたい場合も。例えば、アイアンマンに向けてトレーニングをしている場合、非常に具体的な目標を持ってワークアウトを行う場合には、表示される内容を調整することが不可欠である。

　タグ・ホイヤー コネクテッドではこれができない。ウォッチフェイスはそのようにカスタマイズできないのだ。ランニング用には2つの表示がある。1つは走行時間、カロリー、心拍数を表示。もう1つは、心拍数ゾーンに焦点を当てている。もしそれが気になるのであれば素晴らしいことだが、それ以上を望む人には物足りないと思う。

　この時計の真価が発揮されるのは、ワークアウトのあとに出力されるデータだ。タグ・ホイヤーのアプリでは、ウォッチフェイスを選んだり（私は当然クラシックにした）、すべての統計データを確認したりするのが楽しい。最近アップデートされたスイミング機能（以前のバージョンにはなかった）は、アスリートがスントやガーミンのような、最高級のマルチスポーツウォッチから得られるすべてのデータと同等のものだ。消費カロリー、ストローク数、インターバルの内訳、そして非常にマニアックなSWOLFスコアが表示されます。SWOLFスコアとは、1周泳ぐのにかかる時間とストローク数を足して、プールでの効率を測るものです（あなたがよく使うプールの大きさに合わせて計算される）。

　これは貴重なデータである。週末の半分をカーボンファイバー製の自転車に乗って過ごすのが好きではない普通の人でも、自分の体がどれだけ頑張ったかを知ることができるのは嬉しいはずだ。また、運動量が増えれば増えるほど、自分の成長を簡単に把握することができる。

　最終的にコネクテッドがいいかどうかは、見た目の美しさをどれだけ気に入っているか、そしてワークアウト用ウォッチにどれだけお金をかけたいかにかかっている。価格は21万4500円（税込）からと、よりパワフルで直感的なスマートウォッチの相場を超えるものだ。しかし、それらはしばしば同じようにも見える。おばかなマルチスポーツ・デバイスのようなものである。

　あなたが何者で、何を必要としているか？　筋金入りのトライアスリートで、運動に時間をかけすぎて、自分のパフォーマンスの表示を完全にコントロールしたい？　他を探した方がいい。タグ・ホイヤーは美しいが、すぐに耐久レースのスタートラインで見ることはないだろう。一方で、ランニングにもビジネスミーティングにも身につけられる本格的な時計を求めている筋金入りの時計愛好家の方。そんなあなたには、タグ・ホイヤーがお勧めである。

ビル・ブラッドリーは、長年の雑誌ジャーナリストであり、長年の耐久アスリートであり、Three Point Four Mediaの共同設立者でもあります。

その他、時計の詳細はタグ・ホイヤー公式サイトへ。