Hands-On IWCとコレクティブによる限定モデル、ツールウォッチの雰囲気漂う質実剛健なクロノグラフ

　今日は、一連のコラボレーションの最新作となるIWCとのコラボレーションをご紹介しよう。パイロット クロノグラフ C.03は、コレクティブの創業者が最も好きだったIWCの時計、1990年代後半の「IW3706」を抽出することを目的としている。

　41mmのステンレススティール製「フリーガー クロノグラフ」は、多くの時計愛好家が黄金期と呼ぶ時代へのラブレターだ。当時、人気を博していたブランドのひとつにIWCがあった。同社は、時計製造やデザインにおいて、ちょっと変わった価値観をもっており、他のスイス時計メーカーとは一線を画す魅力があった。その時代のスイスの時計産業はフランス語圏に集中していたが、IWCはドイツとの国境に近い北の地、スイス・ドイツ語圏にあったのだ。ライン川沿いのシャフハウゼン州にあるIWCは、クルト・クラウス氏によるリューズ操作で調整可能な永久カレンダーや、リチャード・ハブリング氏のバルジュー7750を使用したドッペルクロノグラフなどの革新的な時計製造で知られている。

　この時計は、IWCの自動巻き69385コラムホイール クロノグラフを搭載しており、2万8800振動/時と標準的な振動数で46時間のパワーリザーブを備えている。もう少しパワーリザーブが欲しいと思うかもしれないが、日常的に時計を着用するクロノグラフということを前提にすると、その候補として最適だと思われるため、問題はないだろう。ただ、日付と曜日のリセットには、時針と分針を合わせるだけでは不十分であることに注意が必要だ。時計を裏返すと、きれいに装飾された自動巻きクロノグラフと、黒く塗られたローターが見える。ムーブメントを見せることには意味があり、今の愛好家はそれを望んでいる。しかし90年代には、Ref.3706のような時計では、IWCはムーブメントを保護する方針だった。3706のようなモデルの場合、IWCは軟鉄製のインナーケースでムーブメントを磁気から守り、裏蓋を閉じる必要があったのだ。

　この時計がHODINKEEのオフィスに届いたとき、私はまずあることに気づいた。ドイツ語の曜日表示は、IWCが国際的な大企業ではなく、スイスとドイツという小さな国の時計メーカーとして活躍していた時代を彷彿とさせる素敵なディテールだ。もちろん、これは小さなディテールではあるのだが、IWCの他のパイロットウォッチとは一線を画している。そういうことにこだわってこその腕時計なのではないだろうか。Ref. 3706には、ドイツ語、イタリア語、英語、フランス語、スペイン語の日付ディスクが用意されていた。

　手首に装着すると、C.03はRef. 3706よりも少し大きく感じられる。90年代に発売されたオリジナルのRef. 3706は、直径39mm、ムーブメントにはバルジュー7750を採用していた。C.03は、直径41mm、厚さは14.5mmだ。しかし、C.03の針と数字は3706とは異なるスタイルでありながら、IWCのパイロットウォッチのデザインの純粋さを感じさせる仕上がりだ。

　パイロットクロノグラフは、ひと目でわかる視認性を最優先した、極めてシンプルなデザインだ。それは、真っ黒な文字盤にくっきりとした白で情報が表示され、HODINKEEの長年の時計愛好家がよく知っているフォーマットであることを示している。画期的なものではないかもしれないが、そもそもIWCが多くの愛好家に支持されたのは、このような時計があったからなのだ。私は、このような時計を長くつけたいと思う。

　IWC × Collective Horologyの最新作は、既存および新規のCollectiveメンバーのみが購入可能。詳細はcollectivehorology.comでご確認いただくことができる。

IWC　パイロット ウォッチ クロノグラフ "C.03." Ref. IW388105。41mm x 14.5mmのステンレススティール製ケース。クロノグラフ、時・分・秒表示機能、日付表示、ドイツ式曜日表示。ハック機能付き。白いスーパールミノバを塗布した針とインデックス。Cal. 69385（2万8800振動/時、33石、46時間パワーリザーブ）。10気圧防水。125本の限定生産。価格：7150ドル（約81万円）。