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A Week On The Wrist ロレックス エクスプローラー Ref.124273、ツートンのエクワンを1週間着用レビュー

1週間で楽しむ2色のトーン。

ツートンのロレックス エクスプローラー。この言葉の組み合わせは、半年前にはまったく予想もしていませんでした。その後、4月に初めて目にしたとき、そう、ロレックスが突然発表したRef. 124273を初めて見たときは、正直言ってびっくりしました。エクスプローラーにゴールド? それはエクスプローラーの質実剛健な精神に背くものですし、ロレックスにおいて最も変わることのないスポーツウォッチという遺産に唾を吐きかけるものではないでしょうか? それは事実かもしれませんが、僕はそれでも自分の腕に巻いてみたい衝動に駆られました。

 最近の時計の世界では、飽きられる周期が早くなっているようです。何かがヒットすると、他社が二匹目のドジョウを狙って“追随”デザインを量産。また、“伝統”や“DNA”という単語が氾濫しているので、時計メーカーはおいそれと実験的な試みをすることができません。ロレックスは、どの産業界と比較しても最も伝統的で保守的なブランドですが、このように思い切って奇をてらったデザインが登場したのを見て、僕はとても刺激を受けました。決して飽きさせず、言葉を失うような時計を見せてくれたことに、とてもわくわくしたのです。

 さて、この時計はどうでしょうか? 僕はロレックス エクスプローラーを長年愛用していて、日常使いのヴィンテージ(フルステンレススティール製)のエクスプローラーを所有していますが、ツートンのエクスプローラー Ref. 124273は、親しみやすさと同時に、驚きのあるものだという期待を裏切らない仕上がりになっていると思いました。

揺るぎないエクスプローラー

 エクスプローラーは、ロレックスのスポーツウォッチのなかでも最もわかりやすい歴史を持つモデルのひとつです。1953年にRef.6350がデビューして以来、そのデザインはほとんど変わっていません。デビュー時点で、既にこの時計ならではの特徴をすべて備えていたのです。直径36mmのステンレススティール製オイスターケースをベースに、3-6-9のアラビア数字を配したブラックダイヤルと、ポリッシュ仕上げのスティール製ベゼルを備えていました。これらの特徴は57年間ほとんど変わらず、製造期間の約半分をRef.1016が占めました。

 2010年には、ケースサイズを初めて39mmに拡大したRef.214270が登場し、メジャーアップデート。エクスプローラー愛好家の間で賛否両論が起こったというのは、まだ控えめな表現でしょう。僕のような熱狂的ファンは、36mm以外を真のエクスプローラーと見なすのは難しいと思っています。なぜなら、より控えめなサイズと控えめな個性が、ロレックスのカタログにおいてこの時計をユニークなものにしているからです。でも、ロレックスにはロレックスの考え方がありますし、サイズアップがエクスプローラーの売り上げを落としたとか、魅力が薄れたということはなかったと思います。Ref.214270を買おうとした人、買った人に聞いてみれば、語り尽くせないほどの魅力が聞けるでしょう。

 エクスプローラーの歴史やリファレンスについてもっと詳しく知りたい方は、ジェームズによるエクスプローラー Ref.214270のレビューをご覧ください。写真付きの素晴らしい解説をしているので、僕がここでそのすべてを改めて書く必要はないでしょう。

ツートンについてひと言

 1980年代をを生きた人なら誰もがでも証言できるように、新しいエクスプローラーは、ツートン仕様のスポーツロレックスの系譜を受け継いでいます(参考記事「コンビ時計はダサい!?ゴールドとスティールは格好良い組み合わせだ」)。それでも、2021年4月にロレックスがこの時計を発表したときには、少なからず怒りの声が上がりました。エクスプローラーのような純粋なツールウォッチが、ツートンの領域に押し込まれることに我慢できなかったのでしょう。けれども、実際多くの前例があるのです。実はまったく新しいことでも、正直なところ驚くことでもありません。

 歴史的に見て、ロレックスは半世紀以上も前からGMTマスターとサブマリーナーのツートンモデルを製造してきました。ツートンモデルは非常にコレクション性が高く、よく見られる仕様でもあります。インキーブルーダイヤルのツートン仕様のサブや、ジュビリーブレスレットの付いた“ルートビア”GMTを腕に巻いた人がいても、目くじらを立てることはないのではないでしょうか?

 そして、もっとハードコアなものになると、例えばディープシースペシャルはどうだったでしょうか? 1960年、トリエステ号の外壁に取り付けられてマリアナ海溝を探検するために作られた、ロレックスではツールウォッチのなかのツールウォッチです。重厚でゴツゴツしていて、腕時計とは形容できないようなダイバーズウォッチなのです。しかし、これもツートン仕様でした。「TalkingWatches レザ・アリ・ラシディアン氏と腕時計を語る」に掲載されているスティールとイエローゴールドの2色使いのディープシースペシャル №1を見れば、その輝きがわかります。さて、バイメタル構造のせいで、この時計の頑丈さやタフさが損なわれていると仰るのであれば、冗談抜きで教えてください。お待ちしております。

 歴史的な前例だけでは物足りないという方は、ここ数年のロレックスのプロフェッショナルモデルの動向を振り返ってみてください。そうすればエクスプローラーがプレシャスメタルの領域に進出したことは、驚くことではないことがわかるでしょう。デイトナはゴールドモデルが急増し、サブマリーナーにはツートン、イエローゴールド、ホワイトゴールドのモデルが登場し、GMTマスターはホワイトゴールドにメテオライトダイヤルエバーローズ×スティールのツートンモデルなどが登場しました。ロレックスは、スポーツウォッチを単なるスティール製のツールウォッチではないと考えているようで、エクスプローラーはその思想を受けたモデルなのです。どうしても我慢できないという方には、フルステンレススティールモデルも用意されているのでご安心を。

新(旧)エクスプローラー

 エクスプローラーツートン仕様とは、具体的には、ベゼル、リューズ、針、アプライドダイヤルマーカー、そして中央のブレスレットリンクに18Kイエローゴールドを使用しています。ケースと外側のブレスレットリンクはスティール製です。オイスターロッククラスプはほとんどがスティール製で、中央にイエローゴールドの "ストライプ "があり、ブレスレットのリンクと視覚的にマッチしています。これは、サブからデイトジャストに至るまで、ロレックスがツートンモデルを製作する際の典型的な手法と言えるでしょう。何ら不自然な点はありません。

 もうひとつの大きなデザイン上の微調整で、僕の考えでは、より重要なこのは、ここに掲載されているRef.124273とフルステンレススティール製のRef.124270の両方で、ケースサイズが36mmに戻ったこと。新しいプロポーションはまさに絶妙です。僕が愛用しているRef.1016のようなヴィンテージエクスプローラーと並べてみると、その系譜は明らかで、完全に同類に見えますよね。ケースの形状は、初期の36mmのエクスプローラーモデルから微調整されています。正確な変更点とその効果を特定するのは難しいですが、全体的な印象としては、腕によく馴染むすっきりとした形状になっています。

 ケースの変更に合わせて、ロレックスが昨年サブマリーナーのブレスレットを変更したのと同様にこの時計のブレスレットのデザインも一新されました。エンドリンクはケースのデザインとより緊密に統合され、より視覚的に一体感が増しました(ブレスレットがケースのなかでつながっているに見えるほど)。また、ブレスレット自体はクラスプに向かってより大きくテーパードがかかっています。その結果、バランスがよく、余分な重さがなく、手首に軽くフィットする時計に仕上がりました。

 ダイヤルはクラシックな3-6-9のエクスプローラーダイヤルで、光沢のあるブラックラッカー仕上げとなっていますが、小径化を果たしたことで、あちこちの小さな要素に影響を与えています。“Explorer"の表記は6時位置から12時位置に戻り、"Superlative Chronometer /Officially Certified "の表記は、下半分を埋めるように少し間隔を空けて配置されています。目の錯覚かもしれませんが、僕の目には、同じ情報量をより少ないスペースに詰め込んでいるにもかかわらず、Ref.214270よりも新しいダイヤルの方がすっきりとしていて、窮屈さを感じさせない気がします。ツートン仕様では、ゴールド無垢の針とマーカーが視覚的な暖かさを与えており、1960年代初頭のミラーダイヤルを彷彿とさせます。

 最後のメジャーアップデートは、ムーブメント。最新世代のロレックスの技術を備えたCal.3230が、エクスプローラーに導入されています(この文の一文のどこかに“やっと”と付け加えたい人もいるかもしれませんね)。パラクロムヒゲゼンマイを搭載したクロナジー脱進機、秒針停止(ハック)機能、日差+2/-2秒の精度、COSC認定、そして70時間のパワーリザーブを備えています。あらゆる過酷な環境にあっても頑丈なムーブメントという点において、Cal.3230は他の追随を許さず、現代のエクスプローラーに相応しいエンジンと言えるでしょう。

On The Wrist: 実際に着用してみて

 エクスプローラーの長年のファンであり、ヴィンテージエクスプローラーを所有している僕は、4月に太平洋時間の午前2時頃、ツートン仕様のエクスプローラーの写真が受信箱に届いたとき、正直言って少し困惑しました。カフェインの効いた紅茶を飲んでいなかったので、寝ぼけていたのかもしれません。僕が抱いた大きな疑問は、「なぜ?」でした。この時計は、何のために存在しているのか? フルステンレスのエクスプローラーや、GMTやサブのようながっしりとしたツートンのスポーツウォッチ以上に、この時計を着けたいと思う人はいるのだろうか? その気になれば、日常的に使える時計になるのか? 疑問は尽きませんでした。

 この質問に答えるには、この時計と真剣に向き合う必要がありますが、最近のロレックスのスポーツウォッチは圧倒的な人気を誇っているため、それは難しいことでした。ロレックスには貸し出し用のサンプルがなく、小売店を差し置いて僕に貸し出してもらうのも困難。幸いなことに、僕の友人がカラバサス(米カリフォルニア州)のポラチェックス宝飾店からちょうど1本納品され、親切にも1週間ほど貸してくれたのです。

 オイスターロッククラスプを閉じたときの第一印象は、ほとんどクエスチョンマークだらけでした。本当にこれを好きなのか? これをつけている自分はバカに見えないか? 熱狂的人気にさらに燃料を注ぐことにならないか? けれども、そうした疑問は思ったよりも早く消え、すぐにこの時計を身につけることに慣れてきました。慣れてくると、僕のボロボロのRef.1016と同じように快適になっていったのです。

 本機は、ツートンの時計のなかでは、かなり控えめな印象を受けます。このツートンは、強い主張を押し付けてくることもありません。でも、80年代のギャング映画に出てくるチンピラのようには見えません。誤解しないで欲しいのですが、確かにゴールドではありますが、今の時代に合った柔らかいイエローゴールドなのです。僕は、ロレックスがエバーローズゴールドの誘惑に負けなかったことに満足しています。もしこの時計がエバーローズゴールド仕様だったら、ツートンのエクスプローラーのパロディのように見えたと思いますが、実際のモデルはリアルで尊敬に値するものです。

 この時計の一番の特徴は、なんといってもその快適さ。エクスプローラーやオイスターパーペチュアルなど、36mmのスポーティウォッチを身につけたことがない人は、すぐに試してみてください。手首のサイズが18cm以下の人にとっては、基本的に完璧な時計です。新しいプロポーションとブレスレットがとても輝いていて、「あれ? 僕は今、時計をつけていたっけ?」と感じることがありました。この時計は相当量の金無垢を素材として使用しているのに、珍しいことです。また、僕のようにツートンが苦手な人にとっては、サイズが小さいことが中和剤になると思います。ゴールドの量がブラックダイヤルほどは多くないため、あまりリスクを負うことなくツートンの世界に足を踏み入れることができるのです。

 個人的な話になりますが、僕は昨年の秋にニューヨークからロサンゼルスに引っ越しました。この時計は、僕の人生の転換期にぴったりの時計だと思いました。過度に派手ではなく、本質的には少し渋いツールウォッチであり、マリブの日差しに映えます。基本的によい時計のすべての条件を満たしているのです。また、最近の出来事はさておき、1年以上孤立していた世界が再び開き始めているように見える今、僕はこのような時計を身につけたいと思っています。楽しくて、会話が弾み、シリアスにならずに済む。注目されて嬉しい時計ではありますが、他人に強く主張する時計ではありません。そんな気分や瞬間にぴったりの時計は、他にはないと思うのです。

競合モデル

 この時計の代わりに購入したい他の時計を紹介する前に、ツートン仕様のRef.124273がどれほど価格以上の価値を提供するか声を大にして言いたいと思います。この時計の小売価格は税込で120万1200円です。確かに100万円のハードルを超えており、これでも十分に高価ですが、この金額で他に何が得られるかを考えると、かなり価値があると言える思います。ゴールドのサブマリーナーが400万円を超えるような世界で、100万円ちょっとでゴールドロレックスの世界に入るチケットが得られるのです。もちろん、紹介する時計は一対一の比較ではありませんが、僕の考えの趣旨はご理解いただけたと思います。

 このレビューを読んで、どの正規代理店の待ち時間が一番短いか知りたいと考えている方向けにお勧めの時計として、以下のようなものがあります。

ロレックス エクスプローラー Ref. 124270 

 これは、Ref.124273のフルステンレスバージョンで、非常に魅力的です。Ref.124273のツートンの部分が気になっていた方は、このバージョンを購入して、悩みを解消してみてはいかがでしょうか。

 このモデルは、ここ数年市場に出回っている旧型のRef.1016に最も近いモデルで、現行ロレックスのコレクションのなかでは、71万円(39mmの旧モデルよりも少し手頃)という、総合的に最も価値の高いモデルです。これぞエクスプローラー。36mmですし。実に素晴らしいと思います。

71万1700円(税込)、rolex.com

チューダー ブラックベイ36 S&G

 ブラックベイ36 S&Gは、同時にref. 124273の前身であり、数年前に発売された弟分でもありますが、価格は数分の一です。ジュビリースタイルのブレスレット、同じダイヤル、ベゼル、リューズ、リンクを備えたスティールとゴールドのツートン仕様で、似たような36mmのケース(エクスプローラーよりも少し太めですが)を備えています。

 ツートンモデルは好きだけど、エクスプローラーに100万円以上を投じるのは躊躇してしまうという人にお勧めです。


46万6400円(税込)、tudorwatch.com

オリス ダイバーズ シックスティファイブ ブロンズ&ステンレススティール

 もっと手頃な価格で、全体的に同じような雰囲気のものを探しているなら、オリスのダイバーズ シックスティファイブのスティール×ブロンズのモデルを見てみましょう。僕はこのサンセットブラウンダイヤルのバージョンが最もハンサムだと思いますが、他にもいくつかのバリエーションがあります。

 残念なのは、オリスがこのモデルの36mmサイズを作っていないことです。このサイズでは、ブロンズのベゼルしか手に入りません(ブロンズのブレスレット仕様は用意されていません)。ツートン仕様でありながら、非常にリーズナブルな価格帯なので、新しいスタイルを求めている人には楽しい夏時計となるでしょう。


27万600円(税込); shop.hodinkee.com

 お気付きでしょうが、ツートンカラーの新型エクスプローラーには、一対一で比較対象となるモデルがありません。同じような価格帯で、同じような外観、構造、品質を提供するモデルがないのです。ロレックスが時計業界でどれほどの影響力をもっているかを考えると、この状態が長く続くとは思えません。今後1~2年のあいだに、40mm以下のツートン仕様のスポーツウォッチが80~120万円の価格帯で登場することを期待しています。そうなると、この記事も早々に更新しなければならないような気がしていますが…。

最終的な考え

 半信半疑でこの時計を手にしたにもかかわらず、僕はこのRef.124273をとても気に入ってしまいました。一日かそこらで僕は虜になってしまったのです。太陽の下でこの時計を見つめたり、ブランチで袖を捲くっていたりすると、友人に尋ねられたりするのではないかと期待してしまいます。飽きっぽい時計評論家でさえも興奮し、その興奮を他の人と共有したくなるような、そんな本当に楽しい時計なのです。

 僕はここ4、5年のあいだ、他のどの時計よりもヴィンテージのエクスプローラーを身に着けてきました。この時計は、僕が過去も現在も、ムーブメントも外観も精通している時計です。けれども、Ref.124273は僕に新しい見方を与えてくれました。エクスプローラーを特別なものにしているのは何か、比較的シンプルなデザインが3分の2世紀にもわたって、ほとんど変わらずに存続しているのはなぜかということを。そして、現在の "Explorer"の意味についても考えずにはいられません。

 ほとんど室内に閉じこもり、友人に会うこともなく、新しい人に会うこともなく、新たな経験をすることもなかった1年を経て、探検や冒険という考えが新たな意味を持つようになりました。海岸沿いをドライブしてランチをしたり、1年半ぶりに会った人とお茶をしたりといった単純なことでも、元気が湧いてきます。それと同じように、旧友のように知り尽くしていると思っていた時計を、まったく新しい形で体験するのはとてもエキサイティングなことなのだと感じています。