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我々が知っていること
ここ数年、パテック フィリップはちょっと面白いことになっている。同社は空前の成長を遂げたわけだが、同時に、貴金属を使った複雑時計やシンプルなドレスウォッチではなく、スティール製のスポーツウォッチで有名になってしまったのだ。今日の同社の発表は、パテック フィリップの複雑時計製造におけるリーダーシップの再確認であり、また、コンプリケーションを博物館の展示品(少なくとも、博物館の展示品になりうるもの)としてだけでなく、コンテンポラリーな高級時計のデザインを取り入れたものとして位置づけようとしているのである。
グランド・コンプリケーション 5204R: まず最初に、スプリットセコンド(ラトラパンテ)のクロノグラフ永久カレンダーである5204Rをご紹介する。5204はここ6年ほど、オパーリンとエボニーブラックのダイヤルを備えた2種類のローズゴールドバージョンが発売されていた。新バージョンの5204R-011は、ローズゴールドのケースに、スレートグレーの文字盤とストラップを組み合わせている。本モデルには、無垢またはサファイアのケースバックが用意されており、パテックは既存のローズゴールドのモデルも引き続き提供する。発売時の価格は3559万6000円(税込)だ。
年次カレンダー・クロノグラフ 5905/1A: このRef. 5905は、2015年にプラチナで、そして2019年にローズゴールドで発売された。パテックがスティール製ケースにフライバッククロノグラフを搭載した年次カレンダーをブレスレットで発売するのは、これが初めてではない。2014年に5960/1Aがリリースされている。しかし、このリファレンスがスティール製で登場するのは今回が初めてであり、このモデルが3つの新作のなかで最も話題になっても不思議ではない。5905/1Aの発売時の価格は、679万8000円だ(税込)。
新型のワールドタイム 5930P: 本機は、自動巻きのワールドタイム・フライバッククロノグラフで、センターにクロノグラフ秒針、6時位置に30分積算計を備えている。ワールドタイムはパテックの代表的な複雑機構であり、現行コレクションのホワイトゴールドモデル(ブルーダイヤル)に加えて、プラチナモデルが登場する。発売時の価格は1155万円(税込)だ。
我々が思うこと
ここ数年の奇妙な出来事のひとつとして、スティール製スポーツウォッチの需要が突然爆発的に伸びたことが挙げられる。パテック フィリップのボス、ティエリー・スターン氏は、現在のそれらの圧倒的な需要とパテック、特にノーチラスへの過熱ぶりについて、同社の顧客の好み全体が恒久的に変化している兆候ではなく、トレンドであると感じているため、特に大量に生産したいとは思っていないと公言している。
しかし、スティールケースの時計がコレクションに加わることで、パテックの顧客はより幅広い選択肢を得ることができ、高級時計の需要が生産量を上回っていることを考えれば、決して悪いことではない。
5905/1Aは、パテックのコアを大きく変えるものではないが、歓迎すべきものである。世界でも3、4本の指に入る高級時計ブランドが、2つの実用的な複雑機構をハイエンドに解釈して提供しているのだ。このモデルでパテックが失敗するとは考えられないだろう。だが、私はこの時計について、いくつかの小さな疑問がある。まず、42mm × 14.13mmというサイズだ。これはターゲットとする人々が同じように感じることはないかもしれないが、かなり大きくて厚いサイズである。もしあなたがパテックの新しいホットなスティールモデルを手に入れたのであれば、目立つことは悪いことではなく特徴だと思うかもしれないが。また、スポーツウォッチではないにしても、少なくともスポーツウォッチに近い時計としては、100m防水があってもよかったのではないかと個人的に思う(この時計でダイビングをする人はいないと思うが、もし防水性能が担保されていれば軽く泳ぐくらいは問題ないと思う)。また、アワーマーカーに夜光があるといいなと思ったが、これは些細なことだろう。
そうは言っても新モデルの5930と5204は、歴史的に見て、パテック フィリップの愛好家がどのような時計作りをしてきたかを思い出させてくれる素晴らしい製品だと思う。この2つの時計に含まれている内容は、非常に素晴らしいものだが、予想通り息を呑むような価格でもある。
この記事の範囲外においては、時計学のレベルでの議論は不満と疑念に支配されている(それらが議論する価値がないというわけではない)。しかし、パテックが今日あるのにはいくつかの理由があり、それらはすべてブランドの名声(これは非常に現実的である)によるものだけではないことを振り返るのは常によいことであると思う。パテックの評判は、実際の時計製造の内容とは別に、独り歩きしている部分があるかもしれないが、時計製造の内容は、見る場所さえ知っていればまだしっかりとそこにあるのだ。
パテック フィリップ Ref. 5905/1A-001 679万8000円(税込) ステンレススティールケース、42mm × 14.13mm、30m防水、サファイアケースバック。オリーブグリーンのサンバーストダイヤル、ゴールドのアワーマーカー。ホワイトゴールドの針にスーパールミノバ。ムーブメント、Cal.CH 28-520 QA 24H、33mm x 7.68mm、自動巻きフライバッククロノグラフ、センターセコンド針、60分積算計、アニュアルカレンダー。パワーリザーブ、45〜55時間。
パテック フィリップ Ref. 5930P-001 1155万円(税込) プラチナケース、39.5mm × 12.86mm、30m防水、サファイアケースバック。スレートグレーのサンバースト文字盤、ゴールドのアプライドマーカーとゴールドの針、ともにスーパールミノバを使用。ムーブメント、Cal.CH 28-520 HU、33mm × 7.97mm、21Kゴールド製センターローター、自動巻きフライバッククロノグラフ、センターにクロノグラフセコンドと30分積算計、ワールドタイム、24時間表示、24タイムゾーンのデイ/ナイト表示。50~55時間のパワーリザーブ(クロノグラフの使用状況によって変動するものと思われる)。
パテック フィリップ Ref. 5204R-011 3559万6000円(税込)ローズゴールドケース、40mm x 14.5mm、30m防水、サファイアとソリッドケースバックを交換可能。ムーブメント、Cal.CHR 29-535、手巻きスプリットセコンドクロノグラフ、30分積算計、ムーンフェイズ付き永久カレンダー、32mm x 8.7mm、ブレゲ式オーバーコイルヒゲゼンマイ。パワーリザーブは55~65時間。
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詳細は、パテック フィリップ公式サイトへ。
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