trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

J.B.チャンピオンのユニークな天文クロノメーター 世界で最も高価な時計になり得るもうひとつのパテック

J.B.チャンピオンの時計は、エリック・クラプトンの2499に匹敵するかもしれない。

※本記事は2012年11月に執筆された本国版の翻訳です。 

エリック・クラプトンのプラチナ製パテック フィリップ2499パーペチュアルカレンダー クロノグラフは、今週末のジュネーブで販売される「最もクールな」時計であり、250万ドルから420万ドルの見積もりとなる高価な時計だが、実際は最も高価ではない可能性がある。クラプトンの2499には多くの特徴があるが、同じセールのロットNo.88には2499にはないものが一つある。世界で最も鋭いコレクターによると、このロットNo.88は完全なユニークピースであり、クラプトンの2499をも凌駕する時計であるというのだ。 この時計の何が特別なのか見てみよう。

 戦前の数年間に、パテック フィリップは、ヘンリー・グレイブスとジェームズ・ウォード・パッカードのような特別なクライアントのために特別仕様の芸術的な時計を製作した。 戦後、全てのパテックのクライアントの中で、最も特別な顧客は、おそらくJ.B.チャンピオンだったに違いない。彼は、その時代の最も成功した刑事弁護人の一人であり、パテック フィリップとヴァシュロン・コンスタンタンの明敏なコレクターだった。 しかし、これこそがこのオーダーを特別で貴重なものにしたのだ。

 パテック フィリップは通常、他の時計メーカーと同様に、売ることを目的に時計を作る。 だが時折、単に研究、テスト、またはコンペのためにムーブメントを作ることもある。 同社は、ジュネーブ天文台の天文時計コンクール(Concours de Chromoetrie)のために特別に設計された数機のムーブメントを作った。これらのムーブメントは非常に具体的で詳細な仕様で作られており、カテゴリーDの腕時計で競うためには、ムーブメントの直径が30mmを超えてはならず、総表面積が706.86mmである必要があった。 これらのムーブメントは、商業的に妥当なレベルを超えた、ブランドの最高水準で製造され、仕上げられていた。

 パテックは、このスーパームーブメントを30個製作したといわれているが、これまでにケースに収められたのは2本だけだった。 今回取り上げたムーブメントは唯一のプラチナ製で、J.B.チャンピオンのために特別に製作されたものである。これは1948年の天文時計のコンクールで3位に入賞したもので、ブルースティール製のブレゲ巻き上げヒゲゼンマイが搭載された、大型の真鍮/インバー合金製のギヨームテンプを使用し、ジュネーブ・シールが2つ刻印されている。このことは、パテックがこれまでケースに収めた腕時計の中で、疑う余地のない最高のキャリバームーブメントだということを示している。これらのムーブメントが小さな木箱の中でテストされ競争したことを考えると、ケースを選び、プラチナ製のRef.2458(もちろん、このムーブメントに合うように修正された)を選択したのは、チャンピオン自身の意向だったと推測できる。

 チャンピオンは、6時位置の"Made Especially For J.B. Champion "と(追記:誰かが今日、パテックに同様の文字盤を求めることを敢えて要求したい…)、ダイヤモンドのアワーマーカーを備えた"タキシード"スタイルのインダイヤルという特別な文字盤を注文した。この J.B.チャンピオンのプラチナ製オブザーバトリー・クロノメーターは、個人所有のパテック フィリップの中で最も人気があり価値ある時計の一つと考えられており、その機械的性能を考慮すると(プラチナ製2499の他の強みと比較して)、この時計は公に販売される最も高価な時計の一つになる可能性がある。2499は紛れもなくクールな時計だが、これもそうなのだ。最高レベルの基準で仕上げられたこのユニークなムーブメントを考えれば、技術的にも歴史的な見地からも、真剣なバイヤー達から同様の注目を集めると思う。今週の日曜日にそれも判明するだろう。

 J.B. チャンピオンのユニークな特注品である、プラチナケースのパテック フィリップ天文台クロノメーター・リストウォッチは、1948年のジュネーブ天文台コンペで3位に入賞した「No.861,121」と呼ばれるムーブメントを搭載し、プレセールでの予想価格は約210万ドルから430万ドルとなっている(実際には、377万9000スイス・フランで落札)。 詳細はこちらを。