Auctions Only Watch 2021　9つのハイライト

　オーデマ ピゲのオリジナルロイヤル オークの現行モデル、15202は2021年にその役目を終える。ブランドにとって、新素材の組み合わせを特徴とするユニークな作品よりも、この時計を送り出すのが一番ではないだろうか？

　ここで紹介する時計は、1972年のロイヤル オークに搭載された超薄型自動巻きムーブメントCal.2121を搭載した15202の最後のユニークエディションとなる。ケースはサンドブラスト加工を施したチタン製で、ベゼルにはAP初となるバルクメタリックガラスを採用している。ブレスレットはサンドブラスト加工を施したTI製で、ポリッシュ仕上げのバルクメタリックガラス製のコマと、バルクメタリックガラス製プレート付きのチタン製フォールディングクラスプを備える。パラジウムベースの合金であるバルクメタリックガラスは、急速な冷却プロセスによって製造され、高い強度と耐摩耗性、耐腐食性を実現する。

予想落札価格: 16万〜32万スイスフラン（約1930万〜3855万円）

　Only Watchのためにワンオフのブラックベイモデルを製作するという伝統を引き継ぐチューダーは、今年のチャリティオークションのために、ユニークなスティール製のブラックベイ GMTを発表した。41mmのケースとブレスレットは、特別なエイジング技術を用いたSSで作られており、2018年のデビュー以来、伝統的にこのモデルの一部となっているペプシベゼルは、エイジング加工されたSS製のものに交換されている。ダークトーンは、相当なパティーナを備えた古いGMTマスターのブラックベゼルモデルをどことなく思い起こさせる。

　チューダーはこの時計に美しいマットブラックのダイヤルを組み合わせており、ケースバックから見えるケニッシ製のGMTムーブメントにもエイジング/ディストレスト加工が施した。しかし、おそらく最も興味深いのは、この時計が、今年初めに取り上げたセラミックモデルに続いて、METASの認証を受けた2つめのチューダーであるということだ。これは、1万5000ガウスまでの磁場に耐えられる高精度な機械式時計であることを意味する。

　このブラックベイ GMT ワンは、ロレックス/チューダーファミリーのユニークモデルとして、今年11月にジュネーブのクリスティーズで開催されるOnly Watchの競り台に上がれば、高額な落札価格になることは間違いない。そのため、Only Watchのサイトに掲載されている予想落札価格を見て思わず笑ってしまった。

予想落札価格: 4000〜8000スイスフラン（約49万〜97万円）

　Only Watchのもう一つの常連であるF.P.ジュルヌは、今回、存命する最も偉大な映画監督であるフランシス・フォード・コッポラ氏とパートナーシップを結んだ。今回のタンタルケースのプロトタイプは、2012年にナパ・ヴァレーにあるコッポラ氏の自宅で食事をしながらアイデアが練られたものだ。彼はジュルヌ氏に、時計の針を用いて時間というものを表現できないかと尋ねた。

　その結果、オクタのCal.1300をベースにしたオートマトンウォッチが誕生した。この時計では、手の指がさまざまな位置に瞬時に現れたり消えたりして時間を表示し、その唯一の動力源となるが時計の主ゼンマイだ。ジュルヌ氏によると、この指は、近代外科学の父であるアンブロワーズ・パレ（1509-1590）が製作した機械式の手からインスピレーションを得たものだという。

予想落札価格: 30万〜40万スイスフラン（約3615万〜4820万円）

　Only Watchで常に大きな関心を集めるのは、やはりパテック フィリップだろう。最近のレアハンドクラフトのリリースに見られるように、パテック フィリップにとって腕時計はほんの一部に過ぎない。

　今年のOnly Watchで、この偉大なジュネーブのマニュファクチュールは、最も有名な顧客であるアメリカの実業家、ジェームズ・ウォード・パッカードに納められた時計にインスピレーションを得たユニークなデスククロック（Ref.27001M-001）を発表する。搭載されるムーブメントは新型のCal.86-135 PEND IRM Q SEで、時刻のほかにムーンフェイズ、ウィークナンバー、曜日、月、パワーリザーブ、うるう年の表示を備えた永久カレンダーだ。このモデルは、スターリングシルバーのケースに、ヴェルメイユ装飾エレメントとアメリカンウォールナットのインレイが施されている。

予想落札価格: 40万〜50万スイスフラン（約4820万〜6025万円）

　ホイヤーの最も象徴的な時計の一つであるブラックモナコ“ダークロード”が、カーボンファイバー製のユニークモデルとしてOnly Watchのために再構築された。70年代半ばに製造されたオリジナルの“ダークロード”は、ケースにブラックPVDを採用した最初の時計の1つで、プレーンなスティールやイエローゴールドのクロノグラフが多いなか、自動巻きクロノグラフに別世界のような雰囲気を与えていた。タグ・ホイヤーは、このモデルでカーボンをふんだんに使用している。カーボンはケースとダイヤルだけでなく、独自に開発されたCal.ホイヤー02の内部にも使用されている。そう、この時計はヒゲゼンマイもカーボン製なのだ。

予想落札価格: 5万〜10万スイスフラン（約605万〜1205万円）

　1970年代は、時計にとって非常にファンキーな時代だったと言えるだろう。ここで紹介するデジタルデザインは、ジラール・ペルゴのキャスケットをバンフォードがアレンジしたものだ。上のホイヤー モナコと同様、このモデルもフォージドカーボンケースを採用するが、本作ではディスプレイにチューブ状のLEDが使用されている。

予想落札価格: 1万〜2万スイスフラン（約125万〜245万円）

　昨年取材したクレヨンのエニウェアは、世界中のどこでも日の出と日の入りの時刻を知ることができる時計だ。Only Watch 2021のために、クレヨンはクロード・モネの絵にインスパイアされた美しいユニークなダイヤルを特徴とするサンセット/サンライズコンプリケーションバージョンを提供した。非常に美しい仕上がりの手巻きムーブメントは、この時計の開発時のオリジナルプロトタイプムーブメントである。

予想落札価格: 9万5000〜12万スイスフラン（約1145万〜1445万円）

　2年前、ブレゲは歴史的な軍用のブレゲ タイプ20に敬意を表し、フェイクパティーナブラウン/ブロンズカラーのダイヤルと手巻きのバルジュー235ムーブメントを搭載したユニークバージョンを発表した。これは、2019年のOnly Watchのリリースにおける私のお気に入りで、所有して身につけたいと最も思った時計だ。次のOnly Watchでは、コレクターは同じようなものをもう一度手に入れることができる。今回、ブレゲは50年代と60年代の民生版の時計に敬意を表した。ダイヤルのデザインやリューズの形状は若干異なるが、私はこの時計に劣らぬ魅力を感じている。このモデルには、ブレゲが当時使用していたバルジュー222から派生したバルジュー235が搭載されている。

予想落札価格: 3万5000〜5万スイスフラン（約425万〜605万円）

　そして最後に、今回初めてOnly Watchに参加したバルチックは、その門出を見事に飾った。このプロトタイプは、ユニークなケースに収められたモノプッシャー クロノグラフで、1940年代のオリジナルのヴィーナス 150クロノグラフムーブメントを搭載する。手巻きのモノプッシャー式で、36mmのスティール製クロノグラフは、アプライドのブレゲ数字とリーフ針を備えている。ブラックのダイヤルにはゴールドカラーのパルスメータースケールが配され、ミッドセンチュリーの気品が漂う。また、手縫いのカーフストラップとSS製バックルが付属する。

予想落札価格: 1万2000〜1万8000スイスフラン（約145万〜220万円）

詳細はOnly Watchのウェブサイトをご覧ください。