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Found パテック フィリップ 双子のような2本のミニッツリピーター 共有するのは外観(の美しさ)だけではない

この2つの時計は兄弟のようだ。確かに似ているし、全く同じではないまでも、共通の血統と歴史を持っていると言えよう。

※この記事は、2016年11月に本国版HODINKEEで掲載されたものの翻訳です。 

 この2つの時計は兄弟のようだ。確かに似ているし、全く同じではないまでも、共通の血統と歴史を持っていると言えよう。同じ家に二度所有されたことがある、この2つの非常に珍しいパテック フィリップのミニッツリピーター、Ref.2419とRef.2524/1は、来週開催されるフィリップスの香港ウォッチオークション スリーで再び離れ離れになる予定だ。だが、それぞれがオークションの目玉になることは間違いないだろう。 

Patek Philippe Ref. 2419 Minute Repeater

パテック フィリップ Ref.2419ミニッツリピーター。

Patek Philippe Ref. 2524/1 Minute Repeater

パテック フィリップ Ref.2524/1ミニッツリピーター。

 この2つの時計の製造年は8年しか開いていないし、表面上はほとんど同じに見える。どちらもエミール・ヴィシェ(その時代の最高のケースメーカー)のサインが入った34mmのイエローゴールドのケースだ。珍しい特大のリピータートリガーをもち、黒い針とインデックスも共通している(パテックは時折、文字盤の視認性を高めるために要求に応じてこの仕様を用い、この2本の時計もそのように作られた)。これらの時計が2つとも同一の人物のために作られたと知っても驚かないかもしれないが、Ref.2419とRef.2524/1は、それぞれに特出した個性を備える時計である。

patek philippe 2419 minute repeater phillips

このパテック フィリップ Ref. 2419は、1950年にアメリカのコレクターがニューヨークで購入したユニークなミニッツリピーターだ。

 これらの時計は、アンリ・スターンがビジネス展開のためにアメリカを訪れている間、ニューヨーク在住の紳士によって個々に購入された。このような特別注文の場合、アンリ・スターン ウォッチエージェンシー(HSWA)がジュネーブに連絡するのが一般的で、実際彼は、コレクターが地元の小売店を通じて注文する前に会うこともあった(この場合はそういった記録はないが)。しかし、Ref. 2524/1がHSWA経由で注文されたことは分かっている。テンプのブリッジには「HOX」と刻印されており、このムーブメントがHSWAによって米国に輸入されたことを示している。

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 さて、両方の時計を見てみよう。持ち主が誰であろうと、このコレクターは本当に趣味がいい。

unique patek philippe reference 2419 phillips hong kong

ユニークなRef.2419は、特大のリピーター用レバーと7mmの巨大なリューズが特徴的だ。

 Ref.2419は、2つのうちの古い方で、より珍しいものだ。1950年にカルティエがニューヨークで、パテック フィリップ・コンプリケーションの特別展示会を開催した直後に購入され、その後、パテック フィリップでは二度と使用されなかった(我々が知る限り)ユニークなブリッジ構成を備えたムーブメントを搭載していた。この時計はまた、リピーター用レバーとリューズの両方が、34mmの腕時計にしては大きいという点でも珍しく、おそらく機能的な目的のためだろうが、審美的にも美しい。リューズ自体は7mm径で、相応の厚みもある。

Ref.2419には2011年2月23日付けのカルティエによる鑑定書が付いている。

ケースバックにはリペア痕は無い。

リューズサイズは7mmと、34mmのケースと比較して非常に大きい。ひと目で分かる特徴となっている。

 コレクターは、最初のミニッツリピーターをメンテナンスのために送り返さねばならなかったため、2つめのミニッツリピーターを、今度はティファニーを通して注文したと考えられている。パテックは1955年から1960年代後半までの間に、3色のゴールドとプラチナでかなりの数のRef.2524/1モデルを作ったが、この特別な品は、より細いラグとティファニーの刻印がされた文字盤をもつ唯一のものである。ミニッツリピーターに目がない人には素晴らしい品となるだろう。

 構造が似ているにも関わらず、2524/1の方が音色のトーンは高い。それはほぼ確実に、それぞれのキャリバーのデザインに起因するものだろう。2524/1は、12リーニュのミニッツリピーターキャリバーを搭載しているが、それは上向きではなく下向きにスライドするミニッツリピーターレバーを備えており、スモールセコンドを搭載していないという特徴がある。スモールセコンドは2524/1のほとんどに搭載されているが、無いものも少数あったのだ。

Ref.2419の内部にはユニークなミニッツリピーターキャリバーが搭載されている。

Ref.2524/1の内部に搭載されたミニッツリピーターキャリバー。

 2つのミニッツリピーターは最終的に元の所有者の家族によって別々に売却されたが、同じような時計の趣味をもつ鋭敏なアジアのコレクターによって再会を果たす。彼は2011年にアンティコルムを通じてRef. 2419を71万500ドルで購入し、1年後にはサザビーズを通じて57万1328ドルでRef. 2524/1をコレクションに加えた。4年後の今、この2つの時計が再び販売されることになった。

Ref.2524/1の元の所有者は1961年にこの時計を購入した。おそらく最初のミニッツリピーターをリプレイスしたと思われる。

 残念なことにこの2つの時計は、誰かがセットで購入するために約200万ドルを用意していない限り、ほぼ確実に離れ離れになるだろう。これらの2つの時計に共通する歴史と外観も全て含めて一つ屋根の下に持つなんて夢のようだが、そういう男性(または女性)がいれば、我々はきっと応援するだろう。もしそうならなかったとしても、少なくとも将来また一緒になる可能性はあると思う。この二つは以前にも復縁の道を見つけているから。

Ref. 2419 dial patek philippe

スターン・フレール社によるRef. 2419の文字盤には、手彫りでリファレンスナンバーが刻印されている。

Tiffany-stamped Ref. 2524/1 dial patek philippe

文字盤にティファニーの刻印が施された唯一のRef. 2524/1。同じくスターン・フレール社製。

Ref.2524/1はロット1134で、予想価格40万ドルから83万ドル(約4214〜8745万円)。Ref.2419はロット1135で、予想価格62万5000ドルから125万ドル(約6585〜1億3170万円)。

詳細はこちらのオークションのフルカタログを。