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Photos by TanTan Wang
先月、私は飛行機に乗って(次に列車、そして最後はクルマで)ドイツのグラスヒュッテへ向かい、ノモスのチームと数日間をともにしながら2024年のノモス フォーラムに参加する機会を得た。このフォーラムでは賛否両論あるタンジェント 2デイトからオリオンとタンジェントのネオマティック ドレといったといった新作、さらに今後リリース予定のモデルなどが発表された。しかし私が最も期待していたのは、製造現場の裏側を垣間見るチャンスだった。
以下、Photo Reportの本題に入る前に要点をいくつか記しておく。
1)チームの規模は意外にも小さかった。これは驚くべきことではないかもしれないが、ノモスは常に“ドイツ国内で生産される機械式腕時計のなかで最大の製造数を誇る”と主張している。そのため製造および組立作業が各個の時計職人に委ねられている点は意外であった。複数の職人が分担して作業するものと想像していたが、これは同ブランドの効率的な製造体制を証明するものだ。
2)ノモスが比較的手ごろな価格で時計をほぼ完全に自社製造で生産している手法について、チームは非常にオープンな姿勢を見せていた。地板へのルビーの配置や、その後の注油といった細かな工程では機械を用い、手作業を効率化している。こうした手順を取り入れることで、少人数からなる職人チームがより重要な工程に専念できるようになっているのである。
3)ノモスの製造施設はふたつの建物に分かれている。ひとつは“クロノメトリー”と呼ばれる建物で、ここには研究開発チームや独自のスウィングシステムと呼ばれる脱進機の組み立てチームなどが配置されている。もうひとつはクルマで10分ほど離れたシュロットヴィッツに位置し(公式ではこの町にあるとされているが、行政区分上はグラスヒュッテに属している)、ここがノモスの自社製造の基盤であり、そこで自社製キャリバーに使用される部品の製造が行われている。
4)ノモスに属する時計職人たちは、皆がノモスの時計を身につけている。ノモスの従業員は入社時にクラシックなタンジェント Ref.101を貸与され、6カ月後にはそれが個人の所有物となる。しかし私が見かけた職人たちは明らかにぞれぞれが個人のノモスコレクションを所有しており、なかにはあまり知られていない過去の限定モデルを着用している人もいた。すべてを撮影することはできなかったが、いくつかのリストショットは収めることができた。
お約束の(セルフ)リストショット。私も自分のノモス×HODINKEE コラボのクラブ キャンパス “レセダ”限定モデルをつけて参加した。
ノモスの時計が生まれる場所
曲がりくねった長い道を登ると、グラスヒュッテの頂きにクロノメトリーの建物が見えてくる。
カレンダーディスク(基本的にダイヤルに合わせた色に調整されている)の検査を行っている様子。
話題の“2デイト”に搭載される新しいCal.DUW 4601が組み立てられている。
ノモスの職人がヴェンペ限定版のタンジェント “ピクニック”を着用。
ノモスによる自社製脱進機開発チーム。
この時計職人たちが着ているコートの素晴らしさについて語らずにはいられない。
シェラック(天然樹脂の一種)を細い糸状に溶かし、アンクルフォークにパレットジュエルを取り付けるために使用する機械。
ベルジョン製のホットプレートを使う(もちろんベルジョンはこの機器も手がけている)。
糸状のシェラックは極めて細い。
細い!
アンクルフォークがどれほど小さいかを改めてお伝えしよう。
クラブスポーツ ネオマティック“ペトロール”
クラシックなタンジェントだ。
組み立てラインのコンベアは時計職人の作業台に組み込まれており、職人が作業する際にムーブメントが表に現れる仕組みだ。作業が終わるとムーブメントは再びラインに戻され、次の職人のもとへとコンベアが運んでいく。
ルビーへの注油は機械が担当しており、ムーブメントを反転させて両面を1度に処理できる仕組みになっている。
メトロ デイト パワーリザーブのケーシング作業。
時計職人がつけていたテトラ。
ケーシングが済み、最後の仕上げを待つラドウィッグ ネオマティック 41 デイトが並んだトレー。
メトロ ネオマティック 41 アップデイトのデイト機能をテストしている様子。
クラブ 38 キャンパス ナイトの特徴的なオレンジ色の秒針。
精度の検査はケーシングが済んだ状態で行う。
ノモスの部品が作られる場所
この建物は、クロノメトリーからクルマで10分のところにあるシュロットヴィッツに位置している。
原材料となる金棒が、上の機械で小さな部品に切断されるのを待っている。
上記の機械で製造された丸穴車のコア。
歯車加工機が稼働中。
下の写真にあるトレーからルビーを取り出し、地板に挿入するための機械。
角穴車にスネイル仕上げが施されている。
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