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Bring a Loupe エニカ シェルパ グラフ、ブライトリング トップタイム、そしてロレックス サブマリーナー Ref. 5513

インターネットで見つけた、最近話題の時計をご紹介。

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 今週のまとめにはちょっとしたテーマがある。 黒文字盤が似合うスポーツウォッチを好きな読者なら、きっとここでご紹介する時計を楽んでいただけるだろう。ミラーダイヤルのサブマリーナーから、傷のない完全な状態のヴァシュロン・コンスタンタン 222まで、ビッグブランドが登場する。リストの後半に挙げられるのは比較的無名なブランドだが、ジェームズ・ボンドゆかりのブライトリングや、F1ドライバーのジム・クラークによって世に知られるようになったエニカも、注目すべき逸品だ。おまけとして、パテック フィリップを愛する人ならきっと感動するに違いない、時計をテーマにした芸術的なオブジェもご紹介する。前置きはこれくらいにして、さっそく始めよう。


1965年製 ロレックス サブマリーナー Ref. 5513

 この記事の冒頭を飾るため、どんなシーンでも活躍できる機能が詰まった一点を見つけてきた。私はしばしば、ロレックスのノンデイト サブマリーナーを、初期型も最近の型も含め、無地の白Tシャツに例えることがある。自宅まわりで電球を取り換えるときでも、もっと格式ある会合に出席するときでも、この時計はしっくりくる。とはいえどんなものにもレベルの高低はあるわけで、サブマリーナーも例外ではない。これを頭に入れたうえで、この最高の白Tシャツを見てみよう。

 今ご覧いただいたのは、サブマリーナーの中でも最も評価の高いRef. 5513だ。30年以上の歴史があるこの型は、これまでに繰り返しアレンジされて時計愛好家を魅了してきたが、初期のミラーダイヤルほどに魅力ある美しさをたたえたものはほとんどない。はしゃぎすぎだと思われるかもしれないが、このマットな文字盤の暖かみのある形は、後継機ではとても太刀打ちできないものだといえよう。

 オイスターのスポーツウォッチ版ともいうべきサブマリーナーのミラーダイヤルには、普段は非の打ち所のない完璧な輝きを求めているのだが、時々思いもよらない形で惹きつけられることがある。このひと品もそうしたものの1つで、かつては鏡のようになめらかであったであろう文字盤のひび割れが、まるでこちらに語り掛けてくるようだ。そこに年季の入った夜光塗料の完璧な色調が寄り添い、パッケージも非常に魅力的である。非の打ち所のない時計には無論、誰もが振り返るものだが、こうした豊かな特色のある一本の価値も過小評価すべきではない。

 本品はディーラーRob Cooperのインスタグラムフィードにて、希望価格約1万7500ドル(約192万円)で掲載されている。彼が出品した時計はこちら

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ヴァシュロン・コンスタンタン 222 Ref. 44018

 紙の上ではほとんど、あるいは全く伝わってこないが、実物を見ると驚かされる美しさというものがある。ラグジュアリースポーツウォッチという矛盾した用語はこのような美を体現するもので、その誕生の背景には実に想像力をかき立てられる。馴染みのない読者のために説明させていただくと、こうした腕時計はクォーツショックが始まった時期に登場したもので、当時は市場の状況が大きく変化する中、生き残るために製品の根本的な再設計が不可欠だった。
 薄いステンレススティールのケースに最高グレードのムーブメントを搭載し、精密に接合したブレスレットでしっかりと腕に留めるというデザインが開発されたことで、新しく、今では腕時計市場で最も人気のある分野が誕生したのだ。

 この分野を代表的するモデルは2つあり、世界中のベテランコレクターに愛されている。いずれも象徴的というレベルを超えた人気を博しているので、ここで名前を挙げる必要があるとさえ思わない。この2機種があまりにも絶大な人気を誇っているので、ヴァシュロン・コンスタンタン 222はそれらに引けを取らない造形の時計といわれながらも、しばしば見過ごされがちだ。

 1977年、同メーカーの222周年を記念して発売されたこの時計はヨルグ・イゼックの設計によるもの。いわゆる御三家の他のメーカー同様、一体型のブレスレットとジャガー・ルクルト社製 Cal. 920ムーブメントを備えている。他のモデルとは異なり、222は華やかな波型のベゼルと、浮き出るように取り付けられたマルタ十字が特徴だ。1970年代でもっとも格好いい腕時計のデザインディテールの一つだと、私は常々思っている。まだ磨かれていないらしいケースは別としても、めったに見られないオリジナルの箱と保証書類が揃っている点で、このアイテムは他のヴィンテージ品と一線を画している。

 この素晴らしいヴァシュロン・コンスタンタンを取り扱っているのはビバリーヒルズのThe Keystone。公式サイトに掲載されており、希望価格は約4万5000ドル(約493万円)。  詳細についてはこちらへ。


エニカ シェルパ グラフ Ref. 072-02-01

 私も他の多くの愛好家同様、歴史上重要な腕時計については、かなりの部分を古い写真の調査を通じて学んできた。黎明期のハリウッドの大物や、モータースポーツの大スターの写真をめくっていれば、人気が高い稀少な時計が袖の下から覗いていることは珍しくない。運が良ければはっきり写っていることもある。ヴィンテージ時計の発掘をもっと手軽にしたいなら「ジム・クラーク」でGoogle画像検索をかけてみよう。彼の並外れた趣味の良さを好きなだけ堪能したら、私に感謝して欲しい。

 ブライトリング ナビタイマーとギャレット マルチクロンに加えて、このスコットランド生まれのF1ドライバーはエニカ シェルパ グラフを身に着けていたことでも知られる。今ではクラークの名と共に語られることが多い時計だ。文字盤には4種類の書体が使われ、冥王星のロゴが刻まれている。これもまた、紙の上では魅力が伝わりにくいが、実物になると非常に優れていることが分かる時計のひとつだ。

 新品同様の古いストックがもちろん理想的だが、その次に私が好むのは、長い間身に着けられていたものの余計な手入れがされていないひと品だ。今回取り上げる時計もこうしたもので、ケースとクリスタルには傷があるものの、下手な研磨の跡は見られない。針にわずかな錆びが見られることからも、手が加えられていないことは間違いなく、これから入札を考えている人は安心してよいだろう。

 セルボーンのHannam’s Auctioneersがこのエニカをオークションに出品する。 オンライン入札はすでに始まっている。 


ブライトリング トップタイム Ref. 2002

 有名人とのつながりがある時計ということで、私が最も気に入っているアイテムの一つをここで紹介したいと思う。信じない人もいるかもしれないが、これはジェームズ・ボンドが身に着けた腕時計だ。だが『007 サンダーボール作戦』に登場したものはわずかに形状が異なっているので、疑問に思うのも無理はない。銀幕に登場した時計は、映画のために特別に制作されたガイガーカウンター付きのバージョンだ。

 今回取り上げているのはごく普通のクロノグラフだが、たとえ放射線量が測れなくとも非常に素晴らしいルックスである。文字盤の構成は、白と黒を逆にしたパンダのようだと言う人もいるだろうが、この2つの銀のインダイアルのおかげで一段と洗練されたデザインになっている。シルバーのアクセントが入った他のクロノグラフとは異なり、トップタイムの文字盤に使用されているペイントには非常に強力な金属粉状の視覚効果があり、自然光の下でもきらめきを放つ。まだ実際に手に取ったことがないなら、ぜひこの一本に狙いを定めることをお勧めしたい。
 状態としてはほとんど申し分ないもので、夜光塗料のプロットもすべて揃っており、ステンレススティールのケースはシャープな形状を保っている。文字盤には全く傷がない。

 似たような性質のクロノグラフに比べると、トップタイムはかなり手に取りやすい価格になっている。私には全く理解しがたいことだが。ブライトリングが近いうちにこの型を復刻することはまずないので、良い品があるうちに1つは手に入れておくといいだろう。

 ロンドンのCorr Vintage Watchesが約3250ポンド(約47万3000円)で販売されていた。 全体像の確認は同社のサイトから。


パテック フィリップ アクリル ムーブメントディスプレイ

 締めくくりに、今週の私のお気に入りを紹介しよう。完全な時計ではない。最後の「ピックアップ」は、ほかならぬパテック フィリップ製ムーブメントを分解したオブジェだ。くしゃくしゃのビニール袋に部品が無造作に詰められているわけではなく、アクリルブロックの中に美しく配置されている。読者の皆さんはそうでもないかもしれないが、私はこんなオブジェをこれまで目にしたことがなかった。そして自分でもはっきりと分かっているとは言えないいくつかの理由から、ぜひとも1つ手元に欲しいのだ。

 このディスプレイには、9’’'90、12’’'120、 7’’'70の腕時計のキャリバー、さらに懐中時計の17’''のキャリバーが納められている。各部品はおおよそ40年のパテック フィリップの歴史にまたがるもので、伝説的なムーブメント製造で知られた同メーカーの過去を魅力的な外観と共にたどることができる。私は左右対称のデザインを好むタイプなので、1個のバランスホイールに向かって半分巻かれた4本の主ゼンマイが伸びるところも含め、全体の配置をいくら眺めても見飽きることがない。

 明記されているわけではないが、時計を用いたこの芸術作品はおそらくパテック フィリップが直々に制作したものだろう。4つのムーブメントは未使用品と表記されており、シリアルナンバーも入っていないからだ。パテック フィリップの熱烈なコレクターも、あるいは時計制作の道に進み始めたばかりの人も、きっと欲しくなるはずだ。

 この独特のアクリル製ディスプレイは、ニューヨークで行われる時計販売会でBonham'sから出品される。製品の詳細とカタログはすべてここから見ることができる。 

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