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スイス時計の文化、知識、技術を広く普及・支援することを目的に、20年前に設立された非営利団体であるファウンデーション・オート・オルロジュリー(FHH)が、次世代の時計師や愛好家の獲得に向けて新たな取り組みを開始する。リシュモン、ソーウインド グループ傘下のジラール・ペルゴ、そして家族経営を貫く独立系のオーデマ ピゲが支援するこの団体は、オンライン形式によるトレーニング、教育、認定講座を新たに開始する。これらの講座は業界関係者以外の一般層に向けて初めて開放されるもので、誰でも有償で受講・認定を受けることができるようになる。
FHHのパスカル・ラヴェス(Pascal Ravessoud)氏、ソーウインドのパトリック・プルニエ(Patrick Pruniaux)氏、オーデマ ピゲのイラリア・レスタ(Ilaria Resta)氏、FHHのオレリー・シュトライト(Aurélie Streit)氏、カルティエのシリル・ヴィニュロン(Cyrille Vigneron)氏がジュネーブで開催された“ウォッチメーカーズ(Watch Makers)”展のオープニングに登壇した。
FHHブティックと名付けられたこのEコマースプラットフォームでは、スイス時計製造の認知度向上を目的とした動画講座、テスト、認定プログラムを提供する。フランス語で制作された動画講座およびコースは英語とドイツ語に吹き替えられており、アラビア語、日本語、広東語、標準中国語、スペイン語、韓国語、イタリア語など、多言語・方言による字幕付きでも利用可能だ。FHHの関係者によれば、これらの講座は、より若年層および性別にとらわれない幅広い層に訴求することを目指して内容が刷新されたという。先週ジュネーブで行われたイベントでは、一般公開される新たな業界展示“ウォッチメーカーズ”の開始も発表された。
「文化というものは、常に育て続け、ときには新しく生み直す必要があります。でもそのためには、まずその世界に触れ、深く学ぶことが大切です。文化は日常生活に欠かせないものではないため、そうしなければ簡単に消えてしまうかもしれません」と、カルティエの前CEOであり、現在はカルチャー・アンド・フィランソロピーの会長を務めるシリル・ヴィニュロン氏はイベントで語った。
“ウォッチメーカーズ”展は、現在ジュネーブにて一般公開中である。
この取り組みは、パンデミック後の好況を経て輸出と販売が落ち込むスイス時計業界の現状を背景に始まったものである。かつてスイス製時計最大の単一市場であった中国では、不動産危機の影響により販売が急減し、スウォッチ グループやリシュモン傘下ブランドの業績に大きな打撃を与えている。一方、ここ10年にわたりスイス時計の成長をけん引してきた最大市場・米国でも、関税の脅威が業界に不透明感をもたらし、消費者心理に陰りが見えている。カルティエの時計部門をクラシックモデル重視の戦略で立て直し、販売を大きく伸ばしたリシュモンのシリル・ヴィニュロン氏は、「スイス時計業界は、次の世代にとっても価値ある存在であり続ける努力が必要です」と語った。今や携帯電話の普及によって、時間を知るために腕時計を使う必要はなくなっている。そのため、業界は常にその存在意義を見直し、伝えていかなければならないという。「私たちは、どんなものでも永遠に続くとは限らないということを、常に心に留めておくべきです」とも述べた。
今回のイベントには、オーデマ ピゲCEOのイラリア・レスタ氏およびソーウインド グループCEOのパトリック・プルニエ氏も出席しており、両者はFHHによる一般向けに発信される新たな計画への支持を表明した。
FHHはこれまでに、FHHアカデミーやFHHフォーラムといった教育プログラムを通じて、のべ4万人以上にトレーニングと知識の提供を行い、1万5000件以上の認定証を授与してきたという。業界振興を目的とする年次イベント“FHHフォーラム”も、今年は初めてスイス国外での開催となり、10月17日(金)にニューヨークで実施される予定である。FHHの講座に関する詳細や20%の受講割引を希望する方は、こちらをクリックして欲しい。
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