ADVERTISEMENT
クイック解説
約1年前、ブレゲは同社のパイロットウォッチコレクションの第4世代となるタイプXXを発表しました。それぞれかつての民生用と軍用モデルからインスピレーションを得た新しいタイプXXとタイプ20です。今回、ブレゲは新世代タイプXXの3作目となる18Kローズゴールドケースを採用したRef.2067を発表しました。
新作モデルについて詳しく見る前にタイプXXをご存知ない方のために少し解説をしておきましょう。1950年代、フランス空軍はパイロットのためのクロノグラフウォッチを必要としていました。高負荷がかかる空中ミッション中に、飛行時間や任務の経過時間を計測するだけでなく、残燃料の計算や方位の把握にも欠かせない計時装置として、腕時計はパイロットにとって必須の装備でした。操縦桿を握りながらも手軽に確認できる、手首に装着する形式であることが特に重要だったのです。
フランス国防省は空軍の腕時計のために必要な要件・スペックをまとめて計画書を作りました。それがタイプXXです。その仕様には、夜光塗料が塗布された針と数字インデックスを備えるブラックダイヤル、正確なクロノグラフ、フライバック機能、両方向回転ベゼルなどが含まれていました。フランス空軍が1952年に入札を行った際にブレゲはタイプ20の名称で提出し、1953年に正式採用されることとなります。のちに消費者市場向けの製造も許可され、民生用はタイプXX、空軍向けはアラビア数字の20がそのまま使われて区別されました。
今回ご紹介するのは、18Kローズゴールド製ケースを採用したブレゲの新作、タイプXX クロノグラフ Ref.2067です。昨年発表されたスティールケース仕様の民生用タイプXXをベースに、ケースサイズは42mm×14.1mmと基本スペックは踏襲しつつ、特に美的なアップデートが施されています。
「パイロット向けのツールウォッチにゴールドケース?」と不思議に思う方もいるかもしれませんが、実はブレゲがゴールドケースのタイプXXを発表するのはこれが初めてではありません。シリーズの過去の世代にもゴールドモデルが存在し、1950年代にはわずか3本が製造されました。そのうちの1本である1955年製のタイプXX Ref.1780は、現在パリのブレゲミュージアムに収蔵されています。
上のタイプXX Ref.1780のベゼル部分の数字をよく見てみるとベゼルに刻印されたアワーカウンターの数字がブルーに着色されているのがわかると思いますが、新作のタイプXX クロノグラフ Ref.2067でもブルーが採用されています。18Kローズゴールド製ケースにサンレイ仕上げのブルーダイヤルと同じくゴールド製ベゼルにはブルーのセラミックインサートが装着されています。ブレゲでセラミック製のベゼルが採用されるのはこれが初めてです。
深みのあるブルーのダイヤル上には同心円状に溝が刻まれた3つのサブレジスターがあり、ブレゲのロゴ、アワーマーカーそして針もすべてローズゴールド製です。日付表示窓は4時半位置に控えめに配置されており、ディスクもブルーに統一されているため文字盤のバランスが崩れないように配慮されています。針とインデックスには夜光塗料が塗布されており暗所での視認性も十分です。
内部には、ブレゲが4年の開発期間を経て2023年に初めて発表した自社製自動巻ムーブメントであるCal.728が搭載されています。フライバック機能を備えており、クロノグラフの素早いリセットと再スタートが可能です。また、垂直クラッチを採用しているため、クロノグラフ操作時に針ブレが起こることもありません。パワーリザーブは60時間です。さらに、スネイル仕上げ、面取り、ペルラージュなどの装飾や、飛行機の翼を模したブラックゴールドのローター、ブラックコーティングが施されたコラムホイールなど、機能性だけでなく美しさにもこだわりが見られます。細部にまで配慮された装飾が、ムーブメントを一層際立たせています。
本作には2種類のストラップが付属します。1本はブルーのアリゲーターストラップ、そしてもう1本はNATOストラップです。どちらも18Kローズゴールド製のピンバックルが付属します。スティールモデルでもあった工具を使わずに簡単にストラップを交換できるシステムも採用されています。価格は572万円(税込)です。
ファースト・インプレッション
昨年の新世代のタイプXXならびにタイプ20の発表のタイミングで、新しいサイズや素材を取り入れたモデルを展開していく予定であるということを伺っていましたが、このリリースは個人的にはサプライズでした。それはもちろん18Kローズゴールドケースではなく、セラミックベゼルが採用された部分です。ブレゲといえばクラシックでドレッシーな時計を得意とするブランドです。
ブレゲといえば、クラシックでドレッシーな時計を得意とするブランドとして広く知られています。もちろん、ムーブメントにシリコン素材を採用するなど、機能面での現代的な革新がありながらも、大きなデザイン変更は控えめで外観はあくまで控えめでエレガントなスタイルを維持しているという印象が強いです。今回のセラミックベゼルの採用は、その外観に一気にモダンな雰囲気を加え、時計の印象を大きくアップデートしています。スティールモデルがオリジナルのタイプXXコレクションの伝統を忠実に受け継ぎながら進化したのに対し、この新作はよりモダンなウォッチとしての新たなメッセージを発しているように感じられます。
ブレゲは、10月にオメガで商品開発担当副社長を務めていたグレゴリー・キスリング氏を新たなブランドCEOに迎える予定です。キスリング氏は、以前カルティエにも在籍していた人物です。近年のオメガでの戦略的なコレクション展開に携わった彼の手腕が、今後ブレゲにどのような影響を与えるのか、非常に興味深いところです。
近年、マリーンコレクションやタイプXXコレクションを通じて、よりスポーティな領域へ積極的に進出しているブレゲ。ここ1〜2年で一体化ブレスレットを備えた、いわゆるラグジュアリースポーツウォッチのトレンドがやや落ち着きを見せ、ドレスウォッチが再び注目を集めていると感じます。しかし、現代のライフスタイルにおいて、スポーティでカジュアルなファッションにマッチする時計への需要は依然として高いままです。新たにCEOに就任するグレゴリー・キスリング氏のリーダーシップにより、ブレゲのスポーティな路線がさらに強化され、今後も進化を遂げるのではないかと期待しています。
基本情報
ブランド: ブレゲ(Breguet)
モデル名: タイプXX(Type XX)
型番:2067RK/Y9/9WU
直径: 42mm
厚さ: 14.1mm
ケース素材: 18Kローズゴールド
文字盤色: ブルーのサンバースト
インデックス: アプライド
夜光: あり、針とインデックス
防水性能: 10気圧
ストラップ/ブレスレット: 18Kローズゴールドピンバックル付きのブルーアリゲーターストラップとブルーNATOストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: Cal.728
機構: 時間(時、分、スモールセコンド)、フライバッククロノグラフ、日付表示、スモールセコンド、15分積算計、12時間積算計
パワーリザーブ: 60時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 3万6000振動/時
石数: 39
クロノメーター認定: なし
価格 & 発売時期
価格: 572万円(税込)
発売時期: 今すぐ
限定: なし
詳細は、ブレゲ公式サイトへ。
話題の記事
Introducing ルイ・エラール×ヴィアネイ・ハルターによるレギュレーターIIが登場
Introducing リシャール・ミルからRM 032 アルティメット エディションが新登場
Introducing アエラ M-1、若きブランドによる初のフィールドウォッチ