trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

ブライトリングのもとでギャレットが再始動。マルチブランド展開への野心を確固たるもの

堅牢かつスポーティなクロノグラフで知られたかつてのギャレットが、2026年にミドルプライス帯で復活すると、ブライトリングCEOのジョージ・カーン氏が発表した。

ブライトリングは、さまざまな価格帯の復活したブランドを買収することで、販売数と取扱量を拡大する企業戦略を進めている。この戦略の一環として、同社は来年、成長を続けるブランドのラインナップにギャレットを加える。最高経営責任者(CEO)のジョージ・カーン(Georges Kern)氏によると、新しいギャレットウォッチはブライトリングブティックで親ブランドと並んで販売され、製造施設も活用して組み立て・生産が行われるという。ギャレットの新作は2026年半ばに発表される予定で、価格は3000スイスフラン未満から5000フラン(日本円で約50万~85万円)程度に設定される見込みだ。

gallet watches

1939年のギャレット マルチクロン クラムシェルのヴィンテージ広告

 ギャレットは、過去5年間で平均販売価格が大幅に上昇したブライトリングに、新たな顧客を獲得するためのバリュー志向の姉妹ブランドをもたらすことになる。“多くの人が当社のブティックに足を運んでも、価格が高すぎるために何も買わずに帰ってしまう”と、ギャレット買収の正式発表を控えた3月18日のインタビューでカーン氏は語っていた。“これからは、そうした人々に提供できるものがある。我々はこのブランドを非常に意義のある形で活用できるだろう”。

 セリタ製ムーブメントやそのほかのサードパーティ製ムーブメントを搭載した新モデルは、1838年に創業したスイスのギャレットブランドの歴史を受け継ぐものとなる。同ブランドの代表的なモデルには、初期の防水クロノグラフのひとつとされる時計や、アメリカ合衆国大統領ハリー・S・トルーマン(Harry S. Truman)氏が着用したことで知られる“フライング・オフィサー”などがある。さらにギャレットは、1903年にノースカロライナ州キティホークで人類初の動力飛行を成功させたライト兄弟が、その時間を計測するために使用した懐中時計も製造しており、航空時代の幕開けに貢献した。

gallet watches truman

1949年、マイアミでのハリー・S・トルーマン。

 ブライトリングは、2年以上保持していた買収オプションを活用し、約8カ月前にギャレットの名称および関連する知的財産資産の取得を完了した。これは、2017年からカーン氏指揮のもとで運営されているプライベート・エクイティ支援のブライトリングにとって、かつての名門ながら現在は休眠状態にあるブランドを買収する2例目の合意となる。

 2023年、カーン氏はかつて名声を誇ったスイスのブランド、ユニバーサル・ジュネーブの買収を主導した。詳細は明かしていないが、ギャレットの買収コストはそれよりもはるかに低かったという。香港での売り手であるステルクス・ホールディングス・インターナショナルの企業申請によれば、ブライトリングはポールルーターやトリコンパックスクロノグラフで知られるユニバーサル・ジュネーブのブランド取得に、6000万スイスフラン(日本円で約100億円)以上を支払った。

 ギャレットと同様、ユニバーサル・ジュネーブも2026年半ばに再始動する予定だ。ただし、同ブランドははるかに高価格帯に位置づけられ、価格は1万5000スイスフラン(日本円で約250万円)以上からスタートし、一部のモデルでは貴金属製ケースや新たに開発されたムーブメントを採用する。なお新しいUGウォッチは、ブライトリングブティックでは販売されない。

gallet watches

 2024年のブライトリングの平均販売価格は約7400スイスフラン(日本円で約120万円)だったと、モルガン・スタンレーとリュクスコンサルト(LuxeConsult)の推計が示している。ナビタイマーやクロノマットクロノグラフなど、高品質なツールウォッチで知られるブライトリングは、スイスの時計ブランドのなかでトップ10に入る規模を誇る。2024年の売上高は約8億5000万スイスフラン(日本円で約1400億円)と推定されており、前年からわずかに減少した。

 ギャレットの再始動が正式に発表される3月18日は、時計業界にとって厳しい時期にあたり、スイス時計輸出データによると高価格帯の時計と比較して成長が遅れている価格帯での展開となる。それでもカーン氏は、ギャレットがかつてアメリカ市場で非常に人気があったことこそ、現在のスイスウォッチの最大輸出市場である同国での販売促進につながると考えている。新生ギャレットは世界に約300店舗あるブライトリングのブティックのうち、およそ3分の2で販売される見込みだ。

gallet watches

 登場する際にはギャレット マルチクロンの新バージョンが登場すると期待されている。1938年に発表されたクラムシェルバージョンは、市場で最初に防塵・防湿・耐雨性をうたったクロノグラフのひとつであった。またフライング・オフィサーの新モデルも登場する予定だ。この時計は、クリスマスプレゼントとしてトルーマン大統領に贈られ、彼が頻繁に着用していたものだ。ブライトリングを支配するスイスのプライベート・エクイティ企業パートナーズグループのもとで、カーン氏は同社が同様の手ごろな価格帯の時計を製造する既存ブランドを買収することを検討していたと語る。

gallet watches

 “あらゆる選択肢を検討した”とカーン氏は語る。だがほとんどのブランドには問題が多すぎた。既存の在庫を抱えていたり、小売業者との関係が悪化していたり、ブライトリングにとって不要な自社工場を持っていたりした。

 “多くのブランドを検討したが、最終的に『やめておこう』となった。 いっそゼロから始めたほうがいいと判断したのだ。素晴らしいストーリーと歴史、そして優れたデザインを持ちつつ、過去のネガティブな遺産を引きずっていないブランドを選びたかった”のだと。

 詳しくは、ブライトリング公式サイトにて。