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ブルガリが本格的なウォッチメイキングに舵を切り出したのは2000年ごろ。これは、ジェラルド・ジェンタ、ダニエル・ロートが共同で設立した名うての工房を傘下におさめた時期とほぼ同じであり、ブルガリがジュエリーウォッチだけでなくメンズウォッチも含めてより高いクオリティの商品を志向しだした第一歩だ。その後、2010年にウォッチメーカー宣言を行いわずか10余年で現在にいたるわけだが、今回は、ブルガリウォッチメイキングが進化を遂げる過程をリアルタイムで見つめ続けた、アイアイイスズの飯間康行会長に話を伺い、同社の時計がいかに変化し世の男性たちを魅了してきたか探りたいと思う。
飯間会長を魅了したディアゴノという時計
以前、アイアイイスズ社長である飯間賢治氏とともに、ブルガリ アルミニウムについて考察した際、90年代のオリジナルモデルを知る人々によるリバイバル購入が多かったというお話を聞いた。ベゼルにブランドロゴを配したり独特な素材使いをしたりと、時計専業メーカーにはないアプローチで、ブルガリはたしかに90年代から腕時計の分野においてセンセーションを起こしていたのだ。ただ、当時のアルミニウムを触った僕の感想としてはまったくの別物で、現在のものはアルミやラバーの質感も大幅に向上しており、装着感もよい。これは2000年以降に培われたマニュファクチュールとしてのブルガリの製造技術が寄与しているのだと思うが、その変遷について話を移そう。
「アイアイイスズでは2002年からブルガリを取り扱っていますが、実は私はそれ以前からのファン。今日も持ってきていますが、ディアゴノ スクーバ クロノグラフに引かれてしまい、どうしても手に入れたくてスイスで購入したのです。販売したい思いも常々あり、日本でブティック以外での小売展開をスタートする際の最初のパートナーのひとつに指名いただいたことは非常に感激しましたね。時計の専門知識を持った販売店によるお客様への説明が必須、との意図を伺いましたが、現在のような機械式時計ブランドとしてのブルガリを浸透させる構想があったのでしょう」(飯間会長)
愛用のディアゴノ スクーバは、ラグジュアリーな金無垢の1本。マリンスポーツを愛する飯間会長だが、当然海にこの時計はつけていかず、海辺にいるような気分を盛り上げる時計として長年大切にされてきたのだそうだ。そんな会長の熱意は当時の顧客の方々にも伝わったようで、取り扱いはじめて間もなくブルガリ ブルガリが人気を博したという。
1977年に初登場したブルガリ ブルガリ
「ブルガリ ブルガリは1977年に初代モデルが発表され、当初はローマ本店でのみ販売されていた時計。BVLGARIのロゴが刻まれたベゼルはなんとも色気があって、他の機械式時計にはない魅力を備えていました。時計業界において天才デザイナーと言われるジェラルド・ジェンタによるデザインコンセプトであり、我々が扱いはじめたころでも色褪せずにファンを多く獲得してくれたのを覚えています」
冒頭に紹介したブルガリ アルミニウムも、まさにこのブルガリ ブルガリから派生したバリエーションだが、用いる素材を変えてさらなるヒットを生み出した要因は、ベースとなったジェンタによるデザインがあればこそだろう。2000年になって彼の工房が傘下に入り、ジェンタ自身はすでに去っていたものの、そのエッセンスがブルガリのウォッチメイキングに生き続けているのは、オクトシリーズを見て感じるとることができる。
「オクトが登場したのは2012年のことですが、最初に見たときに衝撃を受け、2014年に発表されたオクト フィニッシモで一大コレクションになるという確信を得ました。スポーティな雰囲気と薄さを両立した表現は衝撃的でしたね。八角形のベゼルを備えたジェンタ的なデザインながら、チタンのグレートーンでまとめられておりイタリアブランドとしてのセンスが見事に融合されていました。オクトにはかつてディアゴノ スクーバやブルガリ ブルガリで感じたような勢いがあり、ブルガリメンズウォッチの大きな波の到来を予感させてくれます」
2014年以降、オクト フィニッシモはデザイン的なアイコンになるだけでなく、ブルガリの技術的な金字塔ともなる。それは、「In-Depth ブルガリ オクト フィニッシモ 世界記録を打ち立てた6モデルを一挙レビュー」(記事公開時点では7つめの時計は未発表)で詳細に紹介しているが、今年7つめを数えた機械式時計の最薄ワールドレコードだ。
2014年に手巻きトゥールビヨン(中上)、2016年にミニッツリピーター(右上)、2017年に自動巻き時計(右下)、2018年に自動巻きトゥールビヨン(中下)、2019年にクロノグラフ GMT(左下)、2020年に自動巻きトゥールビヨンのスケルトン(左上)。そして今年、2021年にパーペチュアル カレンダー(中央)が発表された。
「オクト フィニッシモは久しぶりに自分でも欲しいと思わされた時計になりましたが、それはやはりブルガリがジェラルド・ジェンタ、ダニエル・ロートといったファクトリーを傘下に収めたこと、それと機械式時計に精通している現CEOであるジャン-クリストフ・ババン氏の存在が、この時計を素晴らしいコレクションにしている大きな2つの要因だと思います。これまでもそうでしたが、ブルガリは様々な世界初を追求する姿勢を崩すことはないでしょう。今後も何か目が覚めるような時計を作ってくれることを楽しみにしています」
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