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Hands-On ショパール L.U.C 1860 ルーセントスティール™を実機レビュー

1997年に発売されたオリジナルのL.U.C 1860を、サーモンダイヤルとルーセントスティール™でアップデートしたものであり、私が望んでいたすべてを実現している。

Photos by Tiffany Wade

復刻モデルで厄介なのは、古いものと新しいもの、両者のバランスを取ることである。ショパールは、ルーセントスティール™製の新しいL.U.C 1860でこのバランスを完璧にコントロールしており、1997年に誕生したオリジナルのL.U.C 1860以来、最高の3針時計を作り出した。

 1997年、ショパールは自社製Cal.1.96(現L.U.C 96.01-L)を搭載したL.U.C 1860を皮切りに、L.U.Cコレクションを発表。独立系の自社ブランドながら最高水準の認定を受けたL.U.Cコレクションは、90年代に起こった伝統的な時計製造の復興が進むなかで、ブランドが時計メーカーとしての地位を確立するために取り組んだコレクションである。初代L.U.C 1860はその後、ありとあらゆる“ウォッチ・オブ・ザ・イヤー”を受賞している。それほどまでに素晴らしいものだったのだ。

ショパール ルーセントスティール™製L.U.C 1860の正面イメージ

 8.2mmの厚さを持つ36.5mmのケース、ギヨシェ彫りのゴールド製文字盤、COSC、ジュネーブ・シールを取得するマイクロローターキャリバーなど、一見すると、新しいL.U.C 1860は旧型の1860とよく似ているところがある。ショパールは、新しいL.U.C 1860を旧モデルとほぼ同じにすることができたはずだし、もしそうしても誰も文句を言わなかっただろう。私を含めて多くの人がそう望んでいただろう。1997年の発売当時から今日に至るまで、L.U.C 1860はすでに最高のモダンでドレッシーな時計のひとつとして認知されているからだ。

 しかし新しいL.U.C 1860が成功するかどうかは、ショパールがどのようにオリジナルに変更を加えたかがポイントなのである。ブランドは、オリジナルの1860のなかで最もコレクターからの支持が高い、ホワイトメタルとサーモンカラーの組み合わせからスタートした。そして今、36.5mmのケースにはショパールのルーセントスティール™が採用されている。ベゼルは変わらずポリッシュ仕上げが施されているが、ミドルケースはブラッシュ仕上げになり、ラグも少し太くなっている。そして1860が持つその薄さとカーブしたラグにより、快適に手首につけられる。ショパールが発表したアンスラサイトのストラップもとてもおしゃれなチョイスだと思う。このケースの変更により、新しいL.U.C 1860は、オリジナルの1860とほぼ同じ着用感でありながら、ややカジュアルな印象に仕上げられたのだ。チューダーのペラゴス 39とブラックベイ 58の関係のように、新しいL.U.C 1860はオリジナルの要素から、少しスマートでクールさを加え、そしてよりモダンな印象になったのだ。スポーツウォッチ全盛のこの世界において、伝統的なドレスウォッチにマニアが注目するには、まさにこの方法がいいのだ。

 ルーセントスティール™製のケースに、実際には銅色に近いサーモンカラーダイヤルを組み合わせており、オリジナルの明るいサーモンカラーとは一線を画している。またこの意匠により、本来のホワイトゴールドやプラチナよりも、少し色の濃いルーセントスティール™製ケースとうまくマッチしているように感じる。ショパールのSSはその輝きから“ルーセント”と名付けているが、サーモンカッパーダイヤルでも同様のクオリティを実現している。

ショパール ルーセントスティール™製L.U.C 1860の横置きイメージ
ショパール ルーセントスティール™製L.U.C 1860のスモールセコンド
ショパール ルーセントスティール™製L.U.C 1860のサイドケース

 色のほかにもオリジナルと比較して、文字盤には微妙な調整が加えられている。それはショパールが数年前に買収した文字盤メーカー、メタレム(Metalem)社製の文字盤を使用しているということだ(そう、フィリップ・デュフォーも、シンプリシティの文字盤にメタレム社のものを使用するようになる)。ゴールド製ダイヤルの中央に、美しいギヨシェがあるのは変わらないが、新型はそのギヨシェが12時位置のショパールのネームプレートにつながっているのである。基本的に私は、オリジナルの1860のような、均整がとれて左右対称になっているギヨシェを好むが、まあその不満は些細なことだ。中央にあるギヨシェ彫りとミニッツトラックの外側に、こちらもまたWGでできたギヨシェ彫りのリングが施されており、文字盤にさらなる質感を与えている。さらにインデックス、ドフィーヌ針もWG製だ。

 しかし最大の違いは、6時位置に日付窓がないことだ。オリジナルの日付表示がそんなに悪いとは思わなかったが、この新しいL.U.C 1860を見ると、なるほど。日付のないバージョンはよりよく見えてくる。

 これらの細かな変更を加えて、ショパールは多くの人が求めていたL.U.C 1860を実現し、そして多くの人が期待する以上に、素晴らしい作品を世に送り出すことができたのだ。

ショパール ルーセントスティール™製L.U.C 1860に搭載されたCal. L.U.C 96.40-L

 日付がないのはCal. L.U.C 96.40-Lのおかげである。Cal.1.96と比較してみると、日付がないこと、ハック機能が追加されたという2点が実用における大きな改良点である。それ以外はCOSC認定、ジュネーブ・シール、マイクロローターのキャリバーであることに変わりはなく、厚さは3.3mmとなっている。ふたつのゼンマイを搭載した香箱を備え、約65時間のパワーリザーブを実現。サファイアクリスタルのシースルーバックから見える姿も、非常に美しい仕上がりとなっている。

 新しいL.U.C 1860は限定モデルではないが、限定生産かつブティックだけで手に入るモデルだ。ショパールによると今年中に10~15本を生産し、その後は年産100本程度まで生産量を増やす予定だという。時計を復刻する理由のひとつに、ファンから愛される入手困難な歴史的モデルをより入手しやすくすることが挙げられるのだが、新しいL.U.Cにそれが当てはまらないのは残念である。しかしこれは少なくとも人為的な制限ではない。ゴールドのギヨシェ文字盤とCal. L.U.C 96.40-Lは単純に、製造に手間と時間がかかるものなのだ。

ショパール ルーセントスティール™製L.U.C 1860のサーモンダイヤル

 新しいL.U.C 1860の価格は、326万7000円(税込)だ。現在、オリジナルの1860の価格が高騰しているため、今ならフルセットでオリジナルのYG製1860がこれくらいの価格で購入できるかもしれない。SS製の、時刻表示のみの時計にしては高いと感じるため異議を唱える人がいるのは間違いないが、私と同じように1860を愛し、高く評価している数人に話を聞いたところ、“ショパールはもっと高くてもいいはずだ”と言っていた。私ならオリジナルよりも新しいルーセントスティール™の1860を選ぶだろう(どちらもなかなか手に入らないが)。以前、オリジナルの1860を所有していたし、気に入ってはいたのだが、大きなポリッシュ仕上げのベゼルにギヨシェ文字盤を持つゴールドウォッチが生活にほとんど必要なかったため、あまり活躍しなかった。でも新しいL.U.C 1860が持つ少しドレスダウンした外観は、よりつけやすいルックスであり、市場にあるほかのモデルとはかなり印象が違うように感じられる。

ショパール ルーセントスティール™製L.U.C 1860のリストショット

 新しいL.U.C 1860はオリジナルとは十分な違いがあり、復刻版という認識ではない。1997年のオリジナルをさらに進化させたという感じだ。ショパールは初めてL.U.C 1860にSSウォッチを追加したが、これ以上ないほどふさわしい1本となった。36mmを超えるサイズ感は、多くの人が待ち望んでいたドレスウォッチだ。ほかのブランドから発売されている時計を眺めてみても、伝統的なデザインの時計を、伝統的なサイズそのままに発売しているブランドはあまり(ほかにある?)みかけない。これはモダンでドレッシーな腕時計のイデア論(この世に実在しているありとあらゆる本質は、究極の理想形にすぎない)に限りなく近いものなのだ。

ショパール ルーセントスティール™製L.U.C 1860のリストショット

 現在も、ショパールはスイスに存在する数少ない独立系家族経営ウォッチメーカーのひとつだ。ほかの多くはより大規模で、少なくとも認知度も高いメーカーだ。しかしルーセントスティール™製L.U.C 1860のような時計を用いて、1997年にショパールがL.U.Cコレクションを発表したときと同じように、ほかとは違う地位を確立しているのだ。

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ショパール ルーセントスティール™製L.U.C 1860の詳細については、ショパール公式ウェブサイトをご覧ください。HODINKEEはショパールの正規販売店です。詳しくはこちらをご覧ください。