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Introducing フィアーズとクリストファー・ウォードのコラボレーションによる、極めて英国的なジャンピングアワーウォッチ

フィアーズがデザインを、クリストファー・ウォードがムーブメントを提供したこの時計は、洗練されたデカダンスを表現している。

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我々が知っていること

イギリスの時計メーカーであるフィアーズクリストファー・ウォードが提携し、クッション型のステンレススティールケースにバーガンディのダイヤルとレザーストラップ、そしてウォードのジャンピングアワーキャリバーを搭載した1本を製作した。両者のコラボレーションは今回が初であり、主にフィアーズがデザインし、クリストファー・ウォードがムーブメントを担当している。

 この時計、フィアーズ クリストファー・ウォード アライアンス 01は、2020年の設立以来、英国全土の取引メンバー間のパートナーシップを築くために活動しているAlliance of British Watch and Clock Makersとの提携により作られたもので、実はその協会の会員しか購入できない。しかし、入会金はわずか55ポンド(約9000円)で、さまざまなうれしい特典と出版物がついてくる。なお、この時計を購入するには1月26日(木)午前0時(現地時間)までに会員になる必要があり、1月27日(金)の朝にクラブメンバーには、フィアーズのウェブサイトの製品ページへのアクセスコードが送られてくる。

 クリストファー・ウォードは2004年に設立されたアングロ・スイス系の会社であり、時計の設計を英国で、技術開発および組み立てをスイスで行っている。そしてフィアーズは、長い歴史を持つ新しい英国企業である。エドウィン・フィアーという人物が1846年、イギリス南西部のブリストルでフィアーズウォッチを創業。最盛期には100人以上の従業員を抱え、95カ国に時計を出荷していた。1976年に閉鎖されたが、数年前にフィアーのひ孫であるニコラス・ボウマン=スカーギル氏によって新たな命が与えられることとなる。彼は、あまりうるさくなく、安価ではないもののそれほどひどく高価でもない、優れたデザインの時計も作りたいと考えた。

 フィアーズの小規模ながら立派なコレクションには、2016年に発売したものの現在では製造中止となっている、ラウンド型のレッドクリフやクッション型のブラウンウィック、そして長方形のアーカイバル(かつてのフィアーズウォッチへのオマージュとして最もふさわしいことからそう呼ばれている)などがあり、これらは近々復活を予定している。また、初年度の2016年は100本未満、2021年は約300本、2022年は480本の時計を製造しており、フィアーズは現在もなお成長を続けている。

ピンクのフィアーズ ブラウンウィック。

 通常のラインナップに加え、フィアーズはこれまでにふたつのコラボレーションを行っている。ひとつ目は、ベイエリアのジュエリーショップ、トッパーとのコラボレーション。これは40mmのブランズウィックを用いた限定版であり、ブラックまたはホワイトの文字盤の上半分にローマ数字を、下半分にアラビア数字を配した、“カリフォルニア・ダイヤル”を採用していた。

 もうひとつはイギリスの時計メーカー、ギャリックとのコラボレーションだ。ギャリック製ムーブメントの搭載に加え、パワーリザーブやスモールセコンド、ムーブメントのテンプを見ることができる6時位置のディスプレイなど時計マニアにはたまらない機能を備えており、その価値は2万5000ドルの価格(約324万円、税金と付加価値税を含む)にも反映されている。

 コラボレーション第3弾となる本モデルのクッションシェイプは、フィアーズの代表的なモデルのひとつであるブランズウィックを彷彿とさせる。しかしこのケースは本作のために新たに作られたもので、40.5mmながらブランズウィックの40mmよりもスポーティには映らず、クラシックな印象のシルエットにまとまっている。ムーブメントには38時間のパワーリザーブを有するセリタ SW200を搭載。その上にクリストファー・ウォードが作成したモジュールを組み込むことで、12時位置にフィアーズの“エドウィン”フォントによるジャンピングアワーを表現した。

fears watch

 文字盤には3つのエリアが存在する。外周部、内周部、そして時間を示すディスクであるふたつの主要エリアは、ハンドポリッシュがかけられた文字盤上のアプライドリングと、同じくハンドポリッシュ仕上げによるアワーウィンドウの金属製リングで分割。内周部のサークルには同心円状のギョシェ仕上げが、外周部にはサンバースト仕上げが施されている。プリントされた数字は完全な白ではなくシルバーに輝いており、上部に大文字で書かれた“FEARS”と、下部に沿って記された小さな“ENGLAND”も、同様にシルバーであしらわれている。

 なお、ムーブメントに関する興味深いディテールの話だが、時間が切り替わるときにカメラのシャッターのような“シュー”という音が聞こえる。

 ちなみに、今回の最新コラボモデルは消費税込みで3950ポンド(約63万6000円)と、前作と比べて再び手に取りやすい価格帯に戻っている。

我々の考え

数週間前にボウマン=スカーギル氏と、この新作について少し話しをした。その際、彼はこのコラボレーションウォッチをこう表現した。「エドワード王朝時代の退廃的な雰囲気を持ちながら、アワーウィンドウにはデジタルのアクセントがあり、さらにコンテンポラリーな雰囲気もある。デザイナーはこの3つを完璧にまとめあげた」のだと。

 私は普段、編集部のコメントで時計職人が自己の見解を述べることをよしとしていない。しかし、この時計に対して、私は最初これほどまでに優れた評価を述べることはできなかったし、正直なところ私が書ければよかったのにとすら思うほど、彼の表現がとても気に入った。とはいえ、彼はこのような腕時計を作ってみせたのだ。私はこの腕時計を論じるという仕事に徹しよう。

 この時計のデザインはおもしろいが、おもしろすぎない、という事実は好ましい。革新的ではあるものの、苦労してそれを理解しようとしたり、何か新しいことを無理に受け入れようとする必要はないのだ。新しいこと自体は素晴らしいし、マックス・ブッサーの好むところではあるが、ここで起きているのはそういうことではない。

 それぞれの要素がはっきりしているのはありがたい。まず、アワーウィンドウがある。文字盤上には2種類の装飾があり、時計全体を見ると1本の針が分針となっていて、古い脳みそでもどうやって時間を伝えているのかを一瞬で理解できてしまう。そして、それらの要素は簡潔で気取っていない。

 準新人の私は、1時間ほど前までジャンピングアワーの時計についてあまり深く考えたことがなかった。数年前に出たトゥールビヨン搭載のアクリヴィアに関する、ニコラス・マヌーソスの取材記事を読んでみると、そこには1930年代のミドー ダイレクトタイム ジャンプアワーと思しき姿がある。アライアンス01にもミドーの面影があるものの、ミドーのほうがデザイン的にはにぎやかな感じだ。また、ジャンピングアワーの懐中時計がたくさんあることも知った。この時計にもその影響を見ることができる。なお、懐中時計といえば電車が思い浮かぶが、ボウマン=スカーギル氏も電車を愛しているらしく、これはどうやら偶然ではないようだ。もし時計を作らなければ、電車を運転していたと彼はいう。

 電車といえば、この時計の色はメトロノースの車両にある、ヘッドレストのないエクストラシートの色にとても近い。また、ニュージャージー・トランジットの一部の車両で使われている張り地も思い起こさせる。まあ、これらの座席の写真が必ずしもフィアーズのムードボードに掲載されたとは思えない。しかし、新しいフィアーズを企画するにあたり、ボウマン=スカーギル氏がかつてのフィアーズについてずいぶんと考えたことは確かだ。彼の考えるミッションは、“何百年も前からある伝統的なカテゴリ、すなわち時計そのもの”を作ることだった。新しいフィアーズで、ボウマン=スカーギル氏は同じような精神を持った時計、つまり時間を知るために必要だった時代の時計を作りたいと思ったのだ。

ブルーのフィアーズ ブラウンウィック。

 時間を知るために本当に大切な理由とは、何か。クビにならないように出社することと、そしてそのために、電車に乗り遅れないようにすることだろう。

 このバーガンディカラーは、実は象徴的な色である。この色を見て、「ちょっと待て。この色、メトロノースかジャージー・トランジットで見たことあるぞ」とはっきりいう人が何人いるかはわからない。しかし、何十億人もの旅行者が、この色が旅行(ビジネスや観光)、定刻、出勤など移動全般に関わる色であることを少なくとも無意識に感じている。そのなかには愉快なイメージもあれば、ちょっと退屈なイメージもあるかもしれない。 私の目にはこのワインレッドカラーの時計が、日常的な要素をベースに美しいディテールと仕上げを加えることで、日々をただ受け入れるだけのものではなく奇跡的なものへと昇華させているように見える。

 フィアーズの時計が人気を集めているのは、その魅力が評価されているからだ。少し機能的で、少し控えめでありながら、どこか秘密めいている魅惑的な輝きを放っている。特に何もすることがないときや、考えることがないとき、とりわけ素晴らしい一日をすごしたとき、あるいは特別な場所に向かうとき……、ごく普通の通勤電車やバスでの時間が、まるでオーシャンライナーに乗ったときのように華やかに感じられる瞬間があることを思い起こさせるのだ。

 セリタ製ムーブメントの搭載や、インデックスがシルバーとはいえプリントであることを鑑みると、価格が高すぎるのではないかという人もいるかもしれない。だが、必要なコスト削減を経てもなお残る品質以上のもの。すなわち、贅沢を楽しみながらもまったくもって賢明な買い物をしたという、フィアーズならではの満足感に対して対価を払っているのだと考えている。この新しいコラボレーションは、そのフィーリングを完璧に表現している。この感覚を引き出すのは簡単なことではない。ゆえに、比較的手頃な価格でありながらも決して安物買いになってはいないのだ。


基本情報

ブランド: フィアーズ(Fears)
モデル名: フィアーズ クリストファー・ウォード アライアンス 01(Fears Christopher Ward Alliance 01)
型番: BS240.500

直径: 40.5 mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: バーガンディレッド、外周はサンバースト仕上げ、センターは同心円状のリング、ポリッシュ仕上げ、面取り、ロジウムメッキのチャプターリング
インデックス: シルバープリント
針: フィアーズ製分針、面取り、ダイヤモンドポリッシュ、ロジウムメッキ
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: オックスブラッドレッドのブリティッシュカーフレザー、アルカンターラ®ライニング、ハンドメイド

fears jump hour watch

ムーブメント情報

キャリバー: スイス製 セリタSW200 25石自動巻き モジュール JJ01
機能: 時 (12時位置にジャンピングアワーディスク)、分
パワーリザーブ: 38時間
巻き上げ方式: 自動巻き
石数: 25


価格 & 販売時期

価格: 3950ポンド(税込、約63万6000円)
発売時期: 1月27日にAlliance of British Watch and Clock Makersのメンバー(メンバーシップ55ポンド/約9000円、1月26日までに登録が必要)に提供
限定: 限定50本、ラグの裏面に1~50までのシリアルナンバーを刻印

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詳しくはフィアーズのホームページをご覧ください。