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Inside The Manufacture パテック フィリップのファクトリーで目にした、極めてクールな5つのもの

ジュネーブのある小さなパテック フィリップの新興関連企業(同社は本当に素晴らしいことに取り組んでいる!)を訪ねて、私は興奮に満ちた2日間を過ごした。

※本記事は2013年6月に執筆された本国版の翻訳です

 ジュネーブのある小さなパテック フィリップの新興関連企業(同社は本当に素晴らしいことに取り組んでいる!)を訪ねて、私は興奮に満ちた2日間を過ごした。今回のニュースは確かに、手工芸品、および手彫りとエナメル両方の保存に関するもの(怪物じみた新しい6002G スカイムーン・トゥールビヨンで示された通り)だったが、我々はパテック フィリップの工場見学ツアーに招待され、素晴らしいものをたくさん見ることができた。その中から、あなたの目を楽しませる、最もクールな5つのものを紹介しよう。

1. 2本の永久カレンダー ミニッツリピーター 懐中時計

 私の率直な考えでは、ミニッツリピーターは究極のコンプリケーションである。美しく、ロマンチックで、一つ一つが非常にユニークだ。伝統的な時計製造の興味深さを体現しており、また、作るのが信じられないほど難しい。この2本は偶然にもリピーターとして作られた、ヴィンテージのミニッツリピーター懐中時計である。おぉ、しかも永久カレンダー付きだ。 1本目は3つのインダイヤルと12時位置にムーンフェイズをもち、間違いなくとても美しく伝統的だが、2本目は隣り合った3つの開口部から覗く“アメリカン”カレンダー表示が非常に興味深い。

2. スターキャリバー 2000のプロトタイプ

 キャリバー89は、グレイブス・スーパーコンプリケーションをも凌駕する、パテックがこれまでに製造した時計の中で最も複雑な時計だ。そして、3番めに複雑なのが、このスターキャリバー2000である。2000年に発表され、21の機能を備えたこのスターキャリバーは、複雑さだけでなく、その使いやすさでも知られていた。永久カレンダーは、均時差、日の出と日の入り時刻と自動的に同期し、長期間巻き戻した場合でも、日付表示全てが自動で修正される。そして、ロンドンの国会議事堂のてっぺんから聞こえるようなウェストミンスターチャイムのメロディを、要求に応じて時間、クォーター(4分の1時間・15分)、分単位のチャイムを鳴らしてくれる。スターキャリバー2000は、4本の時計で構成されるセットが5セット製造され、価格は1320万スイスフラン(当時のレートで約700万ドル、約7億3千万円)だった。史上最も有名で賞賛されたパテックの1つで、その初期の未完成プロトタイプを鑑賞することができたのは、まさに特別な体験だった。

3. ジャン・カゼス(Jean Kazés)の巨大時計

 世界でも最も興味深い壁掛け時計の偉大な制作者は誰かと尋ねれば、間違いなく、ジャン・カゼスの名がそのリストに挙がるだろう。カゼスはアカデミー(ACHI)のメンバーで、その彫刻的で“開放的”なデザインで有名だ。考えてみて欲しい。時計のムーブメントのほとんどは防塵ケースに収められているが、彼の時計はそうではない。このカゼスの時計はパテック フィリップのメインロビー内にあり、1階から2階まで伸びている。数年前にフィリップ・スターンがこの時計を購入したが、まあ、カゼスの時計の素晴らしさを知るには、この時計が置かれている場所を考えれば良い。間違いなく、パテック フィリップの建物に入って最初に目にするものだ。カゼスは引退間近だが、時計職人、ヴィンセント・カラブレーゼが彼の仕事を引継ぎ、これら壮大な屋外時計の伝統を継承することを決めた。さらなる詳細はここで見ることができる。

3.5 この標識

説明は必要ないだろう。

4. 隣同士に置かれた2本の5074 

  5074はパテック フィリップが現在製造している中でも私のお気に入りの時計の1つだ。そう、非常にパテック フィリップ的な時計なのだ。大聖堂の鐘のようなミニッツリピーターを備えた永久カレンダーは、パテック フィリップを今日まで導き、さらに時計界のヒエラルキーのトップに君臨させ続ける類の時計である。これは非常に華やかで、ディナーに出かける際に着けることができ、手首に極めて価値あるものが巻かれていることに誰ひとり気づかない、というタイプの時計だ。パテックの本社では、5074Rと希少な5073(同一の時計で、プラチナ製のフルバゲットダイヤ付き)の2本が隣り合って置かれているのを見ることができた。本当に素晴らしい。※5074は現在生産終了。後継の5374についての詳細はこちら

5. 5959P - 33mmケースに収められたスプリットセコンド モノプッシャー クロノグラフ

 5959は、パテック フィリップと再び恋に落ちるように、私をいざなう時計の1つだ。全く常軌を逸していて、やばいほどカッコよく、言葉ではほとんど説明できない。2005年に発売された5959は、パテック初の完全自社製クロノグラフムーブメントを搭載しており、とにかく彼らは、クロノグラフメーカーとしての腕前に疑いの余地を残さなかった。5959が搭載するCal.CHR27-525 PSは、当時も今も世界一薄いコラムホイール モノプッシャー スプリットセコンド クロノグラフである。私は、パテックがこのモンスター(物理的にではない。比喩的に)を33mmのケースに入れたと既に伝えただろうか? 彼らはそうしたのだ。なぜかって? まあ、そうしちゃいけないこともないだろう? 

 繰り返すが、5074と同じく5959Pは日常的に着用できる時計で、あえて言うならば、何ヵ月も誰にも気づかれずにこの時計を着けて過ごせるということだ。しかし、腕から外して裏返せば、そこには時計製造の極めて輝かしい光景が広がるのだ。33mmは私には小さすぎる? その通りだ。だが、私は気にしない。パテックがこのような時計をこのサイズで作るという事実こそ、彼らがパテックたる所以なのだ。5959Pについてはここでさらに詳しく読める。