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Introducing グランドセイコー SBGY007は「御神渡り」をイメージした手巻きスプリングドライブモデル 2021年新作

諏訪湖が全面氷結したときに起きる神秘的な自然現象をイメージした新作だ。

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我々が知っていること

 グランドセイコーは、手巻きスプリングドライブの新作モデルを発表した。他のグランドセイコーの時計と同様に、本機にもちょっとした英数字のリファレンスナンバーが与えられている―SBGY007。しかし、このグランドセイコーには、英数字では表現できない別名も与えられている。御神渡り(おみわたり)だ。これは、神の渡る道を意味する。

 日本の中央に位置する諏訪湖は、冬の厳しい寒さで全面凍結する。湖面の氷が膨張し、圧力で亀裂が生じるのだが、その長さは数kmにも及ぶ。これは、諏訪大社の上社(かみしや)に祀られる建御名方神(たけみなかたのかみ)が、下社(しもしや)の守護神である八坂刀売神(やさかとめのかみ)を訪れる際にできたものであるという伝説がある。

 武御名方神が残す御神渡りと呼ばれる氷面の亀裂。グランドセイコーの同名の文字盤には、湖が完全に凍ったときの湖面の凹凸をイメージした畝(うね)や波紋が描かれている。冬に凍らない湖は「明けの海」と呼ばれており、気候変動の影響で御神渡りが見られる冬は年々少なくなってきている。

 SBGY007は、2019年にスティールのSBGY003、ゴールドのSBGY002で登場した手巻きのグランドセイコー スプリングドライブCal.9R31を採用している。グランドセイコー(およびクレドール)の手巻きスプリングドライブウォッチは比較的珍しいものだ。私の記憶にある限り、これは限定品ではない最初のグランドセイコーの手巻きスプリングドライブモデルであり、同ブランドの愛好家にとって良いニュースであると言えるだろう。スティールケースのサイズは直径38.5mmで、価格は93万5000円(税込)。本機は、2021年7月に一部の小売店とグランドセイコーのブティックで発売される。

この時計について思うこと

 私が思ったのは、これはとんでもない時計だということ。Cal.9R31は、2019年にお伝えしたように、当時も新発売された9R02の装飾を控えめにしたものであり、基本的には叡智 II基準で仕上げられている。つまりグランドセイコーのムーブメントの中では最上位に位置しているのだ。9R31はこれまで、前述の2つの限定モデルでしか発表されておらず(グランドセイコーのカタログに残っているのはSBGY002のみ)、今回の新作「御神渡り」は、このキャリバーが通常生産の時計に初めて展開されることになる。

 私にとっては特別な日であり、祝福すべきことのように感じられる。スプリングドライブは、計時技術の中でもユニークなものだ。スイスでは同様のアイデアを実験的に取り入れていたが、実現されることはなかった。また、気候変動によって極北の残酷な美しさが徐々に失われていく様子は、忘れがたいものだ。

 5〜7年前には、90万円台のスティール製グランドセイコーに感謝の気持ちを抱くとは特に思っていなかったが、同時にグランドセイコーが(非常に)ハイエンドに軸足を移したことは、個人的に大きな不安材料でもあった。そして、このような上品なものが、比較的手頃な価格帯で、限定品ではない時計として提供されることは、自分の士気を高めてくれる。このモデルが開発されたことを嬉しく思うし、実物を見るのをとても楽しみにしている。これまでのグランドセイコーの文字盤がそうであったように、今回もきっと素晴らしいものになるだろう。薄型の手巻きスプリングドライブムーブメントを搭載した本モデルは、雪白ファンのお気に入りであるスノーフレークの座を奪うモデルになるかもしれない。

グランドセイコー SBGY007 御神渡り: ステンレススティールケース、38.5mm × 10.2mm、30m防水。ムーブメントは、手巻きスプリングドライブCal.9R31。精度は、平均月差±15秒(日差±1秒相当)。パワーリザーブ72時間、30石で駆動。93万5000円(税込)。7月発売。詳細はグランドセイコー公式サイトへ。