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September 30, 2020
September 30, 2020
Introducing ハミルトン PSR 70年代のパルサーを現代に復刻(編集部撮りおろし)

Introducing ハミルトン PSR 70年代のパルサーを現代に復刻(編集部撮りおろし)

1970年代当時、アメリカを熱狂の渦に巻き込んだ、レトロフューチャーなLEDウォッチが忠実に復刻された。5月発売予定の新作インプレッションを、日米のエディター3名がお届けする。


クイック解説

 かつて夢見た未来の姿を具現化した時計たち。1970年代当時、ハミルトンが発売して世間を魅了したパルサーという時計の記事は以前紹介したが、誕生から50年の時を経てあのスペースエイジを思わせる時計が復刻された。新たにハミルトン PSRと名付けられた本機は、パルサーの第二世代である1973年に発売されたP2をモデルとしており、当時キース・リチャーズやエルトン・ジョン、ジェラルド・フォード元米国大統領も愛用したことで有名なモデルである。

 3Dスキャン技術が用いられてケースやブレスなど忠実に再現された本機は、サテン仕上げのSSバージョンと、SSにイエローゴールドPVDが施された1970本限定版とがラインナップされる。限定モデルの方は、時計が封入されるボックスも特別仕様となっている。

復刻されたハミルトン PSR(左)と1970年代当時のハミルトン パルサー P2(右)。

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中の基盤が見えるLED表示のディスプレイ。

左写真と比べると、ブレスのコマに至るまで再現されていることが分かる。質感はもちろん現代のクオリティである。

 1970年に誕生したパルサーは、世界初のLED式デジタルウォッチであり、革新技術が使われていた時計だった。そのモデル名は、超高精度の周波数でパルス状の電波を放射する中性子星からとられており、時刻を刻む音もせずにデジタル表示で時間を示すこの時計は人が描く未来そのものであったのだ。

 1970年代といえばクォーツクライシス到来の真っ只中であり、生存をかけて機械式時計がこぞって斬新なデザインを提案していた時代である。その中でもハミルトン パルサーは圧倒的アヴァギャルドであり、当時のアメリカのセレブたちから寵愛を受けた。初期モデルのP1は18KYGを用いたクッションケースが特徴的で、かのエルヴィス・プレスリーも所有したという。クルマ1台と同等の2100ドルもするクォーツ時計が、5番街のティファニーブティックで販売され、購入者が店を出るまでに数人から売買をもちかけられたという伝説は、なかなか生まれるストーリーではない。

70年代のプロダクト感が強く感じられ、時代を超えたデザインに魅せられる。


ファースト・インプレッション
By Yu Sekiguchi

 LEDで時刻を表示するという画期的な発想が用いられたパルサーは、当時はボタンを押して1~2秒ほどしか点灯しないというなかなかに気難しい時計だったが、本機では時刻は常時点灯表示に変更されている。その他、ディテールにも変更が加えられており、風防素材がルビーからサファイアクリスタルへ、ディスプレイは液晶と有機ELを組み合わせたものとなった。

 3時位置にあるプッシャーは、50年前は時刻の点灯のスイッチだったが、現在は表示の明るさを変えたり時刻合わせをしたりする機能が割当てられている。

 正直、この時計は好みが真っ二つに分かれるものになるだろう。僕はどうかというと、“アリ”なサイドのど真ん中にいる。特にYGPVDモデルが最高だ。もう完全に刺さっている。見た目のデザインは宇宙感があって良いし、YGPVDのカラーもワザと大げさにしているようで大人の遊び心を感じる。元々、元祖セレブ・ウォッチといっても良いほどに、アメリカのスターたちに愛された時計である。この上なくゴージャスな雰囲気はこの復刻にも十分感じられるし、それが12万円(税別)で手に入るのなら、争奪戦に加わる価値は大いにあると思う。

 細かな着け心地の面では、緻密に組まれたブレスレットがやや厚めのケースをバランスよく支えており、見た目に反して手首にフィットする。幅は40mmを超えるが、縦がコンパクトなデザインなので着けてみるとコンパクトな印象を受けるだろう。スーツスタイルに合わせるわけにはいかないが、少しカジュアルな合わせで良い平日には使えそうな時計だと思う。

 未来永劫、失われることのない“フューチャー”を感じ続けられるハミルトン PSRは、ある時代を宿し、纏うことのできる圧倒的なプロダクトなのである。

By Jack Forster

 オリジナルのパルサー タイム コンピュータは、テクノロジー全般についてもそうだが、時計それ自体にそれほど夢中でなかった頃から覚えている時計である。ここ何十年にもわたり、私はほぼすべてがアナログと機械式テクノロジーだったものから、ほぼ完全にデジタルへと移行するのを見てきた。初めて実際にパルサーが作動しているのを見たのは、映画『007 死ぬのは奴らだ』であるが、最も印象的だったのはジェーン・シーモアと主題歌と共に、この映画の流行だったかもしれない。

  アナログの世界の懐かしさは、時が来ればやがて到来するものだ。私は万年筆を使って書き、機械式時計を着けている(アップルウォッチも着けるが、それはまた別の話である)。ラップトップ用のバックパックよりも革のブリーフケースを持ち運ぶのが好きだし、たまに帽子や蝶ネクタイを身に着けることもある。そして、もし私に勇気があれば、デスクの上に間違いなくダイヤル式電話を置いていることだろう。しかし、私はテクノロジーの持つ変革の力に深く染みこんだ愛情と救いようのない信念を持っているが、それは私の心を打ち砕いた愛人のようなもので、何度ふられたか分からない。

 これらは、私が新しいPSRを見たときの反応を説明した感情である。嬉しくてたまらなかった。これほど見事にオリジナルが再現されたたことにたちまち気分爽快になったのだ。時計を見てこれ以上にワクワクしたのがいつだったか分からないが、長年目にしてきたどの新しい時計よりも感動させられた。これは、私の人生や仕事上で素敵な時計をあまり手にする経験がなかったと言っているわけではない。しかし、私とPSRとの問題は、私が6歳の頃、ある暖かい夏の夜にドライブインシアターで映画『2001年宇宙の旅(2001:A Space Odyssey)』を見て以来、私がテクノロジーとプッシュボタンのインターフェイスに魅せられていることもあり、それを愛するようにあらかじめ運命づけられていたということである。

 私は新しいPSRが大好きであり、ある意味、自分ではどうすることもできない。美的にはルナ エクスカーション モジュールが好きになれないのと同様、美的な点ではPSRを好きになれない。しかし実際のところ、私はその全てが大好きだ。丸く膨らんだケース、ボタンを押したときの赤いフラッシュ、一体化されたブレスレット、何もかもである。時計が最初に登場したときに象徴していたものが、私に深く浸透していたのでとても無視することなどできず、ボタンを押すたびに子供のようにクスクス笑いたくなる。それはテクノロジーのマジックである。とても楽しいガジェットであるばかりでなく、現在よりもはるかに容易に希望を感じることができた時代を思い出させるものなのだ。 

By Cole Pennington

 私はそもそも、レトロフューチャリズムとガジェットに魅力を感じて時計に惹かれることになった。私はハミルトン パルサーのオリジナルが出た時代を経験していないので、「レトロフューチャリズム(retro-futurism)」という言葉を使う。私にとってそれは、科学が社会を新たな啓蒙時代へと導く、ある種の興奮と期待を具体化するオブジェクト、すなわち時計のことなのである。

 1つの小さなデジタルスクリーンは、以前は想像上の存在でしかなかった可能性溢れる世界を意味していた。そしてある意味で、これは正しかった。下の画像は1959年当時の初期のコンピュータ、IBM 70である。11年後の1970年には、未来を思わせる手首に着けた小型のコンピュータをハミルトンから購入できるようになったのだ。

 パルサーの名前は別の時計会社(セイコー)によって取り上げられたが、その精神は間違いなくPSRに生き続けている。まるでブレスレットのようなクラスプを留めると、一瞬にして時間を遡るような感じである。視覚的には、新しいPSRと昔のパルサーを区別することは困難だが、内部の技術はアップデートされている。画面は、標準のLED(発光ダイオード)を使用して時間を表示するが、ボタンを押すとOLED(有機発光ダイオード)に切り替わる。単純な1:1の復元ではなく、ハミルトンは、時計を実際に使用したときに輝くよう進化させている。ラグからラグまでの幅がかなり短いので、このクッションケースは着けやすい。ラグ間の距離が長い他の時計は、手首の上下に動く傾向があるが、これは手首の真ん中に収まる。

 ディスプレイは「デジ・ドット」スタイルで、一見したときには特に注目しなかったが、その後、私はこれのことばかり考えるようになった。それは、私が高校で使ったTI-83のような電卓や、小学校で遊んだゲームボーイポケットのドットマトリックス表示に似ている。70年代の懐かしさを伝える必要はない。この種のディスプレイは90年代にも使用されていたからだ。それは時計に新たな別の魅力を加えただけである。

  PSR は、1970年のように大ヒットすることは決してないだろう。雷が同じ場所に2度落ちることはまずないのである。パルサーはデジタル時代の幕開けの産物だった。人々は時計にだけ興奮していたわけではなく、全く新しい時代の到来の一部に対して興奮していたのである。現在、我々はデジタル時代に深く浸透し、おそらく日常生活のあらゆる側面にデジタルが見いだされるところまで来ているのである。そして皮肉なことには、私はそうした全てから逃れるためにPSRを着けることになろう。


基本情報

ブランド: ハミルトン
モデル名: ハミルトン PSR
型番: Ref. H52414130(SS)、H52424130(YGPVD)
ケースサイズ: 横40.8×縦34.7mm
厚さ: アナウンスあり次第公開 
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: LCD&OLEDハイブリッドディスプレイ
防水性能: 10気圧  
ブレスレット: SSブレスレット
ムーブメント:デジタルクォーツ


価格・発売日

価格: 9万円(SS)、12万円(YGPVD)(全て税抜)  
発売: 5月初旬より都内のハミルトン直営店およびオンラインブティック、BEAMSの直営店およびBEAMS公式オンラインショップにて先行受付。
6月より全国のハミルトン正規販売店にて一般販売開始。
限定: YGPVDのみ1970本限定

詳細についてはハミルトン公式サイトへ。