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Hands-On 逆回転で時を告げるカルティエ 「サントス デュモン リワインド」で時刻を知るには、どれくらいの時間がかかるのだろうか? その答えは時が解決してくれるだろう

カルティエは、史上最も奇妙な新作発表で、時間(少なくとも時刻表示)を逆戻りさせた。

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今週の初め、ロレックスのような巨大ブランドが時間を逆行させる時計を作ったら、時計界の反応はどうなるだろうかと想像してみた。私が最初に思ったのは、時計界の大多数が、そんなことはおかしくてバカバカしいと思うだろうということだった。しかしカルティエがそれをやったら、賢くておもしろいと受け止められるのだ。カルティエの素晴らしいところはたくさんあるが、そのなかでも特に素晴らしいところがふたつある。ブランドの輝かしい歴史と、それに対する不敬さである。

Cartier Santos Dumont Rewind

 不敬という言葉は強いかもしれないが、「サントス デュモン」においては1904年にさかのぼる、市販された最初のメンズドレスウォッチとして広く知られている。近年、「サントス デュモン」は、象徴的な丸みを帯びたスクエアケースの形状に、ダイヤルにラッカーを厚塗りした多くのバージョンを発表して復活を遂げた。私のお気に入りは、2022年に発表されたブラックラッカーダイヤルとベゼルのバージョンである。このモデルには技術的にはピアジェ製といえる直径20.5mm×厚さ2.1mmの超薄型ムーブメントCal.430MCを収め、「サントス デュモン」として許容できる直径31.4mm×長さ43.5mm×厚さ7.3mmの超薄型ケースを実現している。

 実は、上記のすべて(ムーブメントとケースの寸法に関して)は、新しい「サントス デュモン リワインド」でも同じだ。ダイヤルはカーネリアンレッドのラッカー仕上げで、スモーキーで渦巻いたような質感を湛える。それにそう、時刻を反時計回りで表示するのだ。

Cartier Santos Dumont Rewind
Cartier Santos Dumont Rewind

 ダイヤルのローマ数字を時計回りに読むと、一番上の12から11、そして10…となる。これをギミックと言われれば、確かにそうかもしれない。しかし、この時計は驚くほど大真面目に作られたものでもある。何しろ583万4400円(税込)もするプラチナケースのカルティエなのだ。本気でなければならないはずだ。あるいはそうかもしれないし、そうではないかもしれない。

 24時間表示の時計を身につけたことがある人なら、最初の数時間(あるいは数日)、ダイヤルをちらっと見ただけでは、時針がどこにあるのか頭をリセットしなければならず、どれほど混乱するかわかるだろう。確かに、分単位は通常どおりだが、正午になって時針がダイヤルの6時位置を指すと、何もかもが簡単に逆転してしまう。さて、今回、カルティエは分表示が一筋縄ではいかない時計を発表したが、確実に時刻を読み取るのにどれだけの時間がかかるのか、私にはよく分からない。YouTubeの動画で、あるエンジニアがハンドルの向きを逆に操作する自転車を作ったのを思い出す。これまでの人生で体得した自転車の乗り方を忘れ、新しい乗り方を覚えるのに時間がかかったのだが、1度覚えてしまうと、すぐに普通の自転車には戻れなかったという。

Cartier Santos Dumont Rewind

 「サントス デュモン リワインド」をしばらく着用し続ければ、そのような状態になるのではないだろうか。やがて脳がある種の“ソフトウェアのリセット”を実行し、この時計の読み方を覚えてしまうのだ。しかし、カルティエのリワインドを外した瞬間、普通の時計で時間を知るのに苦労するか、リワインドの“学習”効果をすぐに失ってしまうだろう。

 幸いなことに(あるいは不幸なことに)、この限定モデルは200本しか製造されないので、この問題は200人だけに降りかかるものだ。カルティエ製の430 MCムーブメントに関しては、ムーブメントはそのままで、表裏が逆になっているため、すべてが逆転する。まったく不要なものだが、そもそも不要なものを尊ぶ世界では、こういう楽しいものは文句のつけようがない。この時計はクローズドケースバックなので、あらゆるものが逆回転するのを見ることはできないが、それでもいい。主役は文字盤側にある。リューズ(プラチナケースを示すルビーカボション付き)も同じ位置にあるのだ。

Cartier Santos Dumont Rewind
Cartier Santos Dumont Rewind

 私はこれを買うだろうか? 確かに手首には驚くほど快適に装着できるが、同じサイズのほかの「サントス デュモン」も同様だ。そう考えると、入手困難が続くブラックラッカーの「サントス デュモン」が運よく手に入ることを願ってやまない。この時計は、大胆なセンスとスタイルの持ち主か、時計ボックスのなかにすでにほかのものをたくさん持っている人向けの時計であることは間違いない。しかし、もし私が誰かの手首にこの時計があるのを見かけたら、たとえその時計が逆向きに動いていたとしても、その人が楽しくて前向きな人だということはすぐに理解できるはずだ。

Cartier Santos Dumont Rewind

カルティエ 「サントス デュモン リワインド」、Ref.WGSA0102。縦43.5mmx横31.5mm、厚さ7.3mm、日常生活防水。サテン仕上げとポリッシュ仕上げのプラチナ製ケース、ビーズ付きリューズにルビーカボション。カーネリアンラッカーダイヤル、反時計回りに配置されたローマ数字。レイルウェイミニッツトラック。ロジウム仕上げのモダンなアップル針、時針と分針は反時計回りに回転。ピアジェ430をベースにしたキャリバー230 MC(430 MCをベースに針が逆回転する仕様)。約38時間パワーリザーブ。世界限定200本(シリアルナンバー入り)。セミマットブラウンアリゲーター ストラップにプラチナ製フォールディングバックルをセット。価格は583万4400円(税込予価)

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HODINKEEでは、カルティエのさまざまな中古腕時計を取り扱っています。カルティエ 「サントス デュモン リワインド」についての詳細は、公式ウェブサイトをご覧ください。