trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Hands-On パルミジャーニ・フルリエが誇るスケルトン技術の粋を集めたトンダ PFに迫る

専門的な技巧以上に、パルミジャーニの美しいスケルトナイズは触覚、感覚、そして経験に基づいている。


プロダクトを通してブランドを理解しようとするとき、あなたはそのブランドのことを本当に理解しているのだろうか。パルミジャーニは、私のお気に入りである信じられないほどクリエイティブなGMT ラトラパンテを含めてトンダ PFのラインナップを一新して復活を遂げたブランドだと理解しているつもりだった。パルミジャーニは、スポーツウォッチへの絶え間ない要求に応えようとする、先進的でありながら大らかな存在だと考えていたのだ。しかし実はトンダコレクションに必要だったのは現在につながる小さなデザインの後押しだけだった。どの時計も素晴らしく美しいデザインだが、私はそのポイントを完全に見落としていたことを理解した。

Tonda PF Skeleton

 これはモデルのラインナップやリリース、ケースや文字盤の扱いなどを見てブランドを理解しようとするときによく起こる問題だ。魂は常にもっと深いところにあるものなのだ。パルミジャーニのCEOであるグイド・テレーニ氏は、CEOインタビューが切り貼りされたような印象を与えることが多いこの業界において、ほかの多くのCEOよりもはるかに優れた洞察力を持っている。だが、ブランドの創設者であるミシェル・パルミジャーニ氏には敵わない。

Michel Parmigiani at the company headquarters

 パルミジャーニ・フルリエの創設者、情熱的な修復のエキスパート、そして才能ある時計職人でもあり、この業界のレジェンドとして彼を知っていたが、スイスのフルリエにあるブランド本社で彼と一緒に座ったときに感じた彼の奥深さは誇張されたものではなかった。そして時計づくりやブランドの修復への取り組みだけでなく、人生、自然、最もありふれたもののなかにさえある美に対する深く熱い見解に、大げさではなく信じられないほど感動したのだ。さらに重要なことは、彼が私にパルミジャーニとその時計の魂を理解させてくれたことだ。その一部は別の機会に紹介するが、別れ際に彼が放ったひと言が印象的だった。

 「両親はよく、物事をどう見るべきかを教えてくれました」と彼は言う。「いつも観察していなさいと言われました。この花はなんて美しいんだろう、と。ひとつの角度からだけでなく、あらゆる角度から、そして人生のあらゆる段階においても。移動するときに光がどのようにそれをとらえるかを見て、あなたもそうしなさいと。そうして私は観察することを学びました。やがてフィボナッチ数列や黄金比など、自然界で観察するもの、つまり自然の法則はすべて時計づくりの表現に使えるものだと気づいたのです」

Tonda PF Rattrapante
Tonda PF Rattrapante

 その日早くにパルミジャーニが1975年に設立した工房から発展したヴォーシェ・マニュファクチュールを見学したとき、パルミジャーニのスケルトンムーブメントに対する私の理解と評価はさらに深まった。ムーブメント技術者が、このブランドのラトラパンテクロノグラフのスケルトンブリッジのエッジのカーブはそこから光を逃さないために“絶対に”傾斜した優雅なラインでなければならないと説明してくれたのである。私はWatches & Wondersでスプリットセコンドクロノグラフのローズゴールドバージョンを30秒間だけ見たが、その時計は一瞬でも素晴らしいものだったものの、細かいディテールのニュアンスとバランスを評価する時間はあまりなかった。

The drawing of the Tonda PF movement

 ミシェル・パルミジャーニ氏と話したあと、私はローズゴールドのトンダ PF スケルトンを手に取り、すぐに新しい視点で見ることができるようになった。確かに昨年発売されたモデルではあるが、このブランドの成長著しいラインナップの中核をなす存在だ。そしてムーブメントこそが時計の魂であり、パルミジャーニの使命である世界をどのように見るかについて自分自身に挑戦するというブランドの魂の大部分を占めているように思えるのだ。だからこそ、研究するのにこれほど最適な時計はないだろう。

Tonda PF Skeleton

 ムーブメントの裏側と文字盤のスケルトン化は、まさにこの種の仕事における傑作と言えるだろう。そして、そのことに気づかないのは誰かがやりがちなことだが、いわば“木を見て森を見ず”になっているときだ。しかし、この時計があまりにも完璧で効果的なパッケージであることを考えると、そう思わないわけにはいかない。ブレスレットとケースサイドのサテンポリッシュ仕上げのセンターから、わずかに角のあるラグを貫くブレスレットの超ハイポリッシュ仕上げのエッジまで。実際のところ(私見だが)、ブレスレットのエッジにポリッシュを施すことで時計の上から下まで明確なフレームができ、よりエレガントなビジュアルになっていると思う。

tonda pf skeleton
tonda pf skeleton
tonda PF skeleton

 PF777ムーブメント(厚さ3.9mm、パワーリザーブ60時間)が持つスケルトンの美しさとエレガンスを見逃す人がいるかもしれないもうひとつのポイントは、ブリッジのサンドブラストとサテン仕上げのグラファイトカラーリングが、そのカーブの反射の美しさを和らげているところだ。これは、このブランドの素晴らしいマイクロロータームーブメントの代わりにフルローターを採用したのと同じように必要な妥協点なのだろう。ただでさえ繊細なローズゴールドのデルタ型針にこれ以上ブリッジが干渉したら、この時計は判読不能になってしまうかもしれない。しかし私はこの時計を短時間触っただけだが、時刻を見るときに煩わしさを感じることはなかった。あるいはムーブメントに施された仕事が好きだから、気にならなかっただけかもしれないが。

The dial of the tonda pf skeleton
The movement
The dial

 ラトラパンテクロノグラフムーブメントの開発から察するに、ミシェル・パルミジャーニ氏はフルスケルトンのトンダ PFの設計に深く関わっていたのではないかと思う(聞く機会はなかったのだが)。ヴォーシェのムーブメントエンジニアによると、この時計のブリッジはパルミジャーニ氏の指導と好みに合わせて設計し、実用的なものに基づいて少しずつ調整したそうだ。技術的に可能な限界までスケルトン化を進めることはせず、パルミジャーニ氏が修復の仕事をしていたこともあり、オーナーだけでなく後世まで最大の耐久性と長寿を可能にするムーブメントを作ることに集中することを選んだという。しかしその代わりにパルミジャーニ氏の美的センス(自然への情熱と黄金比の螺旋を含む)と、技術的に何が可能かについてのエンジニアの直感的な感覚をミックスして、この時計は開発された。

Tonda PF movement

 幅40mm、厚さわずか8.5mmのこの時計は、ジャンボ(ロイヤル オークまたはノーチラス、お好みで)のような象徴的な時計のサイズの足跡をたどる(または少なくともそれに近い)ものであるため、信じられないほど快適に着用することができる。1471万8000円(税込)という価格もさることながら、もっと高価で快適性に欠ける時計を製造しているブランドもたくさんある。もしあなたがこの時計を買うことができたら、どんなことがあってもパルミジャーニ氏本人と話す努力をしてほしいと思う。そうすることで、あなたの手首にあるもの、そしてそれ以上のものに対する感謝が深まるはずだ。

詳しくは、パルミジャーニ・フルリエのウェブサイトをご覧ください。