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Photos by Tiffany Wade
Watches & Wondersに参加したら、何かしらメリットはある。まず最もわかりやすいのは、業界全体のブランドから新しい情報を肌で感じられることだ。またあまり語られることのないメリットは特にインディペンデントブランドについて語るとき、人々と交流することができるということが挙げられる。レッセンスの創業者であるベノワ・ミンティエンス(Benoit Mintiens)氏はこの業界で最も魅力あふれる人物であり、そのうえ限界というものに挑戦した時計をつくり続けている。
昨年、コバルトブルーのType 8Cを先取り取材している。時計のフォルム、チタンという軽さ、巻き上げ式ケースバックの機能、そして近未来性に心を奪われたことを今でもまだはっきりと覚えてる。このときのレビュー写真は妻のカシアが撮影したものだ。というのもパレクスポのレッセンスブースにて、ミンティエンス氏は1年前のこの記事で掲載したピンクファーの枕に時計を乗せた写真をとても気に入っていたことを思い出したからだ。
ブランドの創業者とそういう話ができること自体、そうそうないことだろう。そしてその話題はType 8Sの新しいカラーリングであるセージグリーンのなかで交わされた。一般的に新しい文字盤の色というのはそれ以上でも以下でもない。だがミンティエンス氏の話を聞いて、この時計のブルーやグリーンの色合いを決めるのに、どれだけの時間と労力がかかっているのかがわかり、そのありがたみを実感できた。
それに加えてこのグリーンの色合いの文字盤を持つ時計は、これまで見た記憶がない。照明の加減によっては淡いターコイズブルーに近い色にもなる。数人の同僚と部屋にいた私は気がついたらその新型Type8Cのセージグリーンを仲間内で回し合いしていた。手元に届いて手首に巻いてみると、すぐにコバルトのバリエーションで味わった感覚を思い出した。ラグはないと言っても過言ではないほどで、手首に装着すると43mm近い時計だがコンパクトなサイズへと納まった。
厚みのあるドラマチックなドーム型の文字盤は実際の43mmというサイズに幅を感じさせず、傾斜が設けられた角度によって新たな視認性のよさをもたらしていた。もちろんこの時計のことはよく知っているつもりだったが、1年前に1度だけ見ただけで改めてこの時計に心を奪われてしまった。
手首からその軽い時計を外し、裏蓋に固定されているホイールを回すと、それはリューズとして機能しており、時計を操作したり時刻設定をしたりすることができた。ソリッドな裏蓋の奥には、ブランドがカスタマイズ・強化を施した2892/2ベースキャリバーと呼ぶムーブメントが納められている。それは約36時間のパワーリザーブを備え、2万8800振動/時でビートを刻む。私に残された唯一の問題。それはどの色がいいかということだ。
セージグリーンと比べて、昨年のブルーはいろいろな意味でややありふれているような感じがする。ただし、実際の時計の型破りなデザインモチーフをすべて取り除いた場合の話に限ってだ。というのも、このふたつのモデルは予算オーバーになりがちなレッセンスウォッチのなかで非常に大きなバリューを提供しているからだ。価格は192万5000円(税込)で、道を歩いていても出合えないような本当にユニークな時計で、しかもレッセンスのエコシステムに参加することもできる。
ミンティエンス氏とレッセンスには、これからもType 8Cの改良を続けてほしいと願っている。なぜなら私にとっては、それはお金を出せば買えるカッコよさだからだ。でも私からはもう十分だ。みんなはどっち派だろうか。コバルトブルーか、はたまたセージグリーンか?
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