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クイック解説
HYTは、史上初めて液体で時間を表示するという概念を腕時計に持ち込み、またそれを実現したメーカーである。本機構の最大のポイントとなるのが、決して混ざることのない2色の液体と、これが封入されているキャピラリーと呼ばれるガラス管である。これらのいずれにも最先端科学が用いられて開発されており、例えばこのガラス管は、内部の摩擦係数を極限まで抑えるべくナノテクノロジーによって製作されている。
こうした先進科学と伝統的なスイス機械式時計との融合、という点がHYT最大の特徴であったのだが、昨年7月に登場した新コレクション・スーンナウによってブランドのイメージに新たな側面が追加された。モチーフとなっているのは欧米でポピュラーな"スカル"であり、これは死と生まれ変わりの象徴だ(日本ではロックバンドとか、もっと別の象徴として捉えられ方をしがちだが)。このスカルは、313本のピン(18KYG製)をダイヤルに埋め込んで表現されている。
今回、このスーンナウにレインボーカラーを纏った新作が発表された。ダイヤル上にはレインボーのグラデーションを表現すべく、668個のサファイア、アメジスト、ツァボライトがあしらわれており、スカルの目や鼻、輪郭を象っているキャピラリーの下にはスーパールミノバが配されている(単なるデザインに見えるスカル両目の内部は、左で秒表示、右でパワーリザーブを表示している)。
ファースト・インプレッション
HYTはこのスーンナウによって、そのクリエーションを次のステップへと押し上げたと思う。同社はこれまでその稀有な時刻表示や、液体を操るための特殊な機械式機構であるベローなど、メカニカルな部分を基調としたデザインが主だった。しかしながら、これまでに増して時刻表示を放棄(失礼!)したようなこのダイヤル構成はもはや別次元である。1本の針もなく、ただ時の流れを示している時計なのだ。
同社は本機のプレスリリースでこの時計の意図をこう記している。
「少し前に"すぐ先の未来"であったものが絶えず今になるという意味において、"今"という時は永遠に続きます。時間を止めたり保存したりすることは、虹を思い通りに出現させることや長らえさせることと同じくらい現実離れした話です。私たちにできることは、この2つの現象の美しさをあるがままに堪能することだけです」
続けて、光と水滴が作用しあって虹ができる、という記述があるのだが、要は彼らは自らの技術で操ることのできる液体と光(の反射や屈折)を用いて、従来の時計メーカーが表現したことのないものを具現化し続けているのだ。HYTが表現していることは、はっきりとしたデジタルな時刻ではなく、時間や光が常にうつろうという現象そのものなのである。
基本情報
ブランド: HYT(エイチ・ワイ・ティ)
モデル名: スーンナウ インスタント レインボウ(SOONOW INSTANT RAINBOW)
型番:H02513
直径: 48.8mm
厚さ: 20.08mm
ケース素材: SS(ブラックDLC)
文字盤色: レインボウ・スカル(ブルーパープルのアルマイト加工を施したチタン製、313本の18Kゴールドピン)
インデックス: 英字表記(キャピラリー上部に印字)
夜光: あり(文字盤中央の目・鼻・口の開口部周辺、キャピラリー下にイエローのSLNレール)
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット:ブラックラバー、チタン製フォールディングバックル(ブラックDLCコーティング)
ムーブメント情報
機構: ブルーの液体による時間表示、秒、パワーリザーブ
パワーリザーブ: 65時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万8800振動/時(4Hz)
石数: 35
クロノメーター認定: なし
追加情報:内側にナノコーティングを施したホウケイ酸ガラス製キャピラリーチューブ(時間表示用)、多層構造のベローズ(液体の循環用)、
価格・発売時期
価格: 1510万円(税抜)
販売時期: 6月末予定
限定:世界限定8本
詳細は、HYT公式サイトをクリック。
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