Historical Perspectives ダニエル・ロートのアーカイヴを辿る（動画解説付き）

ダニエル・ロートがルイ・ヴィトン傘下のラ・ファブリック・デュ・タンの協力のもと復活を遂げた-だが、過去を理解することこそが、現在を十分に理解できるだろう。

Danny Milton

May 13, 2023

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ここ数カ月、ダニエル・ロートの名が、スイスのメイランにあるラ・ファブリック・デュ・タンの熟練時計師ミシェル・ナバス氏とエンリコ・バルバジーニ氏の手によって復活したというニュースが駆け巡り、再び脚光を浴びるようになった。しかし、私たちが注目したのは復活の発表に加え、その直後のフォローアップで最初の実機が公開されたことだった。そのモデルこそ、ロートがロンドンの小売店アスプレイのために製作した初期モデル、C187へのオマージュを込めたトゥールビヨン・スースクリプションである。

　しかし、それは現在進行形のダニエル・ロートの姿であって、今回は過去のダニエル・ロートを掘り下げることに重点を置きたい。当ブランドのヴィンテージウォッチは時計コレクター界で着実に加熱しているからである。今年初めにラ・ファブリック・デュ・タンを訪問する機会があったのだが、そこではダニエル・ロートのヴィンテージモデルがトレイいっぱいに並べられており、特に彼のファーストシリーズのデザインは現代におけるブランド復活の新たな方向性を示すものに思われた。

　ダニエル・ロートという人物をあまりご存じない方のために説明すると、彼は約40年前にブレゲの再生に貢献したことで最もよく知られている人物である。歴史あるブランドの成功に貢献するだけでは飽き足らず、自分自身の手で時計づくりをしたいと考えたロート氏は、1989年に自らの名を冠したブランドを立ち上げた。89年から90年代半ばまで、彼は上述のアスプレイや、フィリップ・デュフォー氏といった著名な時計師とともに作品を製作したこともあった。

　当時、ほとんどの時計コレクターはロート氏が何を作っているのか知る由もなかったが、その後数十年、彼は現代で最も重要な時計師のひとりであることが証明されている。トゥールビヨンC187からプロトタイプ、デュフォー氏とのコラボレーションによるムーブメントを搭載した作品まで、ロートのオリジナルピースをじっくりと見る機会を今回我々は得た。各ピースはそれぞれ注目に値するが、コレクション全体としても輝きを放っている。