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我々が知っていること
先週の初め、ウブロは37歳のテニスチャンピオン、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)氏とのコラボレーションによるビッグ・バン ウニコを発表した。この限定モデルはグランドスラムでの優勝24回を誇るジョコビッチ氏との共同デザインであり、パリのヴァンドーム広場に面した歴史的な邸宅、ホテル・ドゥブローでお披露目された。世界中のジャーナリストやゲストが集まるなか、この時計はスイスの時計ブランドらしく、午後8時きっかりにカーテンが上がる形でお披露目された。その場ではルイナールのシャンパンが注がれ、華やかなゲストたちがバックボードの前で最高のポーズを披露していた。しかしスポーツウォッチのコラボレーション発表会としては少々豪華すぎると感じられるほどのきらびやかな雰囲気だった。とはいえ、これこそまさにラグジュアリー×スポーツパートナーシップという業界構造の典型なのだ。これについてはまた後日触れることにしよう。
ウブロはセルビアのテニス界の伝説、ノバク・ジョコビッチ氏とのパートナーシップを3年間続けており、今回の発表は両者にとって初めての限定モデルとなる。この42mmの時計は、ジョコビッチ氏が2023年の記録破りのシーズンで使用したヘッド製ラケットや、ラコステのポロシャツのリサイクル素材をケースとベゼルに採用している。いわば“汗まみれのメモラビリア”の究極形だ。この素材は青い繊維とカーボンの破片が散りばめられた複合素材であり、独特の迷彩模様を生み出している。時計のディテールには、テニスや彼のキャリアをさりげなく称える要素が取り入れられている。ウブロの象徴的な“H”型ネジはテニスボールの形を模したデザインに変更され、黄色いクロノグラフプッシャーはテニスボールの色をほうふつとさせる。さらに秒針と回転ローターには彼のロゴがあしらわれるなど、ジョコビッチ氏へのオマージュが至るところに散りばめられている。
ビッグ・バン ウニコ ノバク・ジョコビッチは、エラスティックストラップを装備し、わずか49.5gという驚異的な軽さを実現。この軽量化は、従来のサファイアクリスタルに代えて強化ゴリラガラスを使用した点も大きく寄与している。またムーブメント自体も再設計され、主要素材にアルミニウムを採用。同ムーブメントは迷彩柄にマッチするよう、ライトブルーまたはグレーに陽極酸化処理が施され、従来のモデルと比べて27%の軽量化を達成している。さらにアルミニウムはミドルケース、サブベゼル、ベゼルラグ、プッシャー、リューズ、ケースバックを含むさまざまなケースパーツに使用されている。新しいウニコはテニスボールよりも軽いが、11.9gのRM27-05 ラファには及ばない。しかし価格を考えれば、このビッグ・バン ウニコ ノバク・ジョコビッチは723万8000円(税込)で、RM27-05 ラファよりも110万ドル(日本円で約1億7000万円)も安いのだから、それ以上は言わないでおこう。
鮮やかなブルーのこの時計には、4種類のストラップが付属している。ウブロのワンクリックシステムで取り付けられるエラスティック素材のスウェットバンド、青いアルミニウム製スポーツバックルを備えたベルクロストラップ、白いラバーストラップ、そしてラコステのストラップだ。確かに723万8000円(税込)という価格は高めだが、安心して欲しい。購入時にはラコステのポロシャツとリストバンドもセットになっている。
我々の考え
このリリースを見て思い出したのは、数週間前に聞いたBusiness of Fashionのポッドキャストだ。そこで話されていたのは、近年、スポーツがファッションブランドとのパートナーシップの豊かな土壌となっているという事実だった。3年前、ディオールとパリ・サンジェルマンの提携は比較的新鮮だったが、今ではサッカー、フォーミュラ1、その他のスポーツに少しも関与していないラグジュアリーブランドを探すほうが難しいほどだ。これらの契約はますます複雑化しており、ブランドがアスリートやチーム、さらにはリーグ全体にわたって、競技場内外で装備を提供することが一般的になりつつある。
テニスは、1970年代後半にロレックスがグランドスラムのスポンサーを始め、1980年代に(アンドレ・)アガシ氏がエベルと提携した頃から、ブランドパートナーシップの場として成熟してきた(詳細はこちら)。そして今回のウブロの時計については、持続可能性への取り組みや、コート内外で使いやすい軽量素材といった要素がメッセージの中心になるだろう。しかし、この時計を実際に売る力となるのはノバク・ジョコビッチという有名人の存在だ。このコラボレーションは、いまや当たり前となったコラボスタイルのマーケティングを見事に実践している。時計愛好家以外にはまだ比較的知名度が低いウブロにとって、ジョコビッチの名はビッグバン・ウニコを知るきっかけを作る存在となるのだ。
ウブロはコラボレーションが大好きだ。特に誰もが知る有名アスリートとのスポーツコラボは、時計ブランドの夢の実現とも言える“親しみやすい”タイプのコラボだ。しかしウブロ自体は決して“親しみやすい”ブランドとは言えない。スイス時計界の異端児として知られるウブロは、その派手なスタイルと風変わりなパートナー選び(ネスプレッソ、ダニエル・アーシャム氏、村上 隆氏など)において、自由奔放さを誇示してきた。そんなウブロにしては、このジョコビッチ氏とのコラボレーションはむしろ安全策に思える。さらに掘り下げれば、このコラボはジョコビッチ自身もまたテニス界で“異端児”的な存在であることを考えると、ある意味で適切だ。ただしこの時計自体もどこか無難な印象を受ける。涼しげなブルーの色合いは、このウニコを比較的受け入れやすいものにしている。確かに一般的なクロノグラフと比べれば目立つが、ウブロの通常のコラボモデルに比べれば大人しい仕上がりだろう。この新作は、最近就任したCEOのジュリアン・トルナーレ(Julien Tornare)氏の下で、ウブロが“抑えめ”な方向に舵を切り始めた兆候なのだろうか? それとも“厳しい時代だからこそ、奇抜さを控えるべき”という段階に入ったということだろうか? または最近話題になったAP×KAWSコラボの影響で、今週は何を見ても控えめに見えてしまうだけなのだろうか?
基本情報
ブランド: ウブロ(Hublot)
モデル名: ビッグ・バン ウニコ ノバク・ジョコビッチ(Big Bang Unico Novak Djokovic)
型番: 441.QKB.5120.NR.DJO24
直径: 42mm
厚さ: 14.5mm
ケース素材: マットブルーのリサイクルコンポジット(ノバク・ジョコビッチ氏のポロシャツとラケットを使用)
文字盤: マットスカイブルー
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: テニスリストバンド、ブルーのエラスティックストラップ、ブルーのベルクロファブリックストラップ、ホワイトラバーストラップの4種類が付属
ムーブメント情報
キャリバー: HUB1280
機能: 時・分表示、スモールセコンド、日付表示、クロノグラフ
直径: 30mm
厚さ: 6.75mm
パワーリザーブ: 約72時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 43
価格 & 発売時期
価格: 723万8000円(税込)
発売時期: 発売中
限定: あり、世界限定100本
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