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我々が知っていること
パルミジャーニ・フルリエが発表した“シャアリイ”は、中国と華僑のあいだで祝日の日付として用いられている伝統的な中国暦に対応した、半永久的な太陰太陽暦キャリバーで、驚くべき技術的偉業を成し遂げた。
これは市場に初めて登場した中国暦のカレンダーウォッチではないが、最も印象的な時計であることは間違いない。インペリアルレッドのギヨシェ文字盤と、トンダ PFの特徴である、サテン仕上げとポリッシュ仕上げの一体型スティール製ブレスレットを持つこの時計は、2020年に発表されたヒジュラ暦(イスラム暦)カレンダーウォッチをスポーティなデザイン改良したものだ。
そう、パルミジャーニが初めて取り組んだ複雑な太陰暦ウォッチではないものの、この新しいCal.PF008が成功のカギを握っている。イスラム暦とは異なり、中国の暦は太陰太陽暦だ。つまり、太陽と月のサイクルの相互作用により、多くの複雑な要素が加わっているのだ。ふたつの暦は別々に計算され、およそ3年に1度(正確ではないが)訪れる臨時の太陰月(またはうるう月)の13ヶ月目で同期される。幅42mm、厚さ12.2mmの時計に機械式カレンダーを搭載することが、いかに複雑なことか、理解していただけると思う。
また、中国暦は農暦が象徴するように二十四節気に分割されている。さらに、旧暦の正月が春の始まりであることから春節とも呼ばれるように、正確なルールが定められており、これもまた複雑な計算が必要だ。中国暦では旧暦の年に名前(年号)を付け、月に番号を付け、年号は60年ごとに繰り返される。その他の計算は天体周期に基づいて変化するため、真の永久カレンダーを作成することは不可能だが、パルミジャーニは、市場に出回っているなかで最も完璧で正確なチャイニーズカレンダーを作り上げ、それに限りなく近づいたのだ。カムシステムにより、シャアリイ トンダ PFは12年間(巻き続けている限り)作動し、次の12年周期にリセットされます。その間に時計が止まってしまっても、ケースサイドのクイック調整ボタンによって、簡単に適切な日付に追いつくことができ、問題なくそのサイクルを継続することができる。
美しい“インペリアルレッド”の文字盤も同様に、その下で起きている複雑な出来事を伝えるために、複雑な構造になっている。文字盤の下には、古典的な漢字で書かれた膨大な量の情報が表示されている。文字盤外周には、センターポストから長いポインターで示される二十四節気があり、そして12時位置のインダイヤルには、3つのレベルの情報がある。外側にはその年の名前、中央にはそれに対応する干支の動物、そして内側にはエレメントが表示され、白またはグレーで陰陽の色分けがされている。また、12年周期の始まりと終わりを示すために、インダイヤルでは少し変わった色のダッシュを表示している。
3時位置のインダイヤルはもう少しシンプルで、曜日の数字と、それが大の日か小の日かを示すインジケーターを備えている。そして6時位置には通常のムーンフェイズ表示があり、9時位置には月番号に加え、13番目の月が必要な場合は「+」を表示するインジケータを備える。
意外な点は? ケースの厚さはわずか12.2mmなのに、100mの防水性能を備え、873万4000円(税込)という驚異的な価格だろう。なぜ、このような複雑なカレンダーウォッチに100m防水が必要なのかはわからないが、トンダ PF シャアリイの堅牢性を高めていることは確かだ。ジョークだが、水中で日付を知る必要があるなら、どんな大きな問題があるだろう? あなたが中国の太陰太陽暦でどこにいるのか疑問に思っているのであれな、あなたはおそらく長長いあいだ水中にいたのだ。
我々の考え
読者を含めた我々の多くは、中国でも使われているグレゴリオ暦(ローマ教皇グレゴリウス13世に感謝)のほうが遥かになじみがあると思う。そのため、この時計の技術的な成果を理解するためには、ほかの暦法について少し勉強する必要があった。しかし、これこそ私が愛する素晴らしい時計製造のひとつであり、学ぶチャンスなのだ。
私の友人たちは、私が何十回となく言っているのを聞いている。“時計を収集する余裕がないから、知識を収集するんだ”ということを。さて、この時計は私にたくさんのコレクションを与えてくれた。
時計愛好家なら、日本の七十二候に精通していると思うが、これはグランドセイコーがこれらの季節をファンお気に入りの多くのダイヤルにインスピレーションとして用いたからだ。しかし、日本の七十二候が、古代の日本が中国の二十四節気をさらに細分化したものであることは、今日初めて知った。また、それが農業の実用化から着想を得たものであることも知らなかった。約20億人が祝う旧正月を司る暦について、また、黄帝が紀元前2637年、つまり4660年前に発明したという伝説の暦について、自分がいかに知らなかったか、恥ずかしく思うほどだ。その教育だけでも価値があった。そして、暦や古典中国語にに精通している人にとって、優れたカレンダーウォッチがそうであるように、このデザインは信じられないほど直感的で、それ自体が偉業であるように思う。これほどまでに力を注いだ時計が、まるで翻訳中に失われた文化交流のようにエンドユーザーに“感じられる”のは残念なことだが、私の直感が、この時計はそうではないといっている。
また、時計づくりも驚くほど素晴らしく、信じられないような問題に対して、なぜこのようなエレガントな解決策を思いつくことができたのか、今でも頭を悩ませている。この試みは“イースター問題”を思い起こさせ、時計製造におけるトリビアのひとつとして、私は何度も読み返して考え込んでしまう。そして今、私はまた熟考する新たな時計を手に入れ、新しい文化や時間の捉え方について考える機会を得た。
そして、とにかくゴージャスな時計だということだ。トンダ PFのラインナップは、瞬く間に時計界の人気者となった。私自身はまだ手にする機会がないが、ウォッチズ&ワンダーズが最初の機会としてこの時計を紹介してくれることを期待している。ステンレススティール製のケース、ベゼル、ムーブメントの仕上げは、さすがに素晴らしい出来映えだ。しかし何より、ムーンフェイズのゴールドとブルーの色との組み合わせで、“バーリーグレイン”ギヨシェが施された“インペリアルレッド”の文字盤が、本当に目を引く。 印象的かつエレガントで、本当に魅了されるのだ。
時計製造におけるこのような素晴らしい功績ほど、卯年の幕開けを飾るのに勝るものはないだろう。ゴン・シー・ファー・チャイ!(お金が儲かるように!) あなたの繁栄と富を祈ります。
基本情報
ブランド: パルミジャーニ・フルリエ(Parmigiani Fleurier)
モデル名: トンダ PF チャイニーズカレンダー(Tonda PF Xiali Calendar)
型番: PFH982-1022301-100182
直径: 42mm
厚さ: 12.2mm
ケース素材: ポリッシュおよびサテン仕上げのステンレススチティール、プラチナ950製ローレットベゼル
文字盤色: インペリアルレッド、グランドルジュギヨシェ
インデックス: 18Kゴールド(ロジウムメッキ)アプライド
夜光: なし
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: ポリッシュおよびサテン仕上げの SSブレスレット、SS製フォールディングクラスプ
ムーブメント情報
キャリバー: PF008
機能: コンプリートチャイニーズカレンダー、ムーンフェイズ、時・分表示
直径: 32.6mm
厚さ: 6.9mm
パワーリザーブ: 54時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 42
追加情報: コート・ド・ジュネーブ装飾、ブリッジに面取り、パーツ353点
価格 & 発売時期
価格: 873万4000円(税込)
発売時期: 発売中
詳細は、パルミジャーニ・フルリエのウェブサイトをご覧ください。
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パルミジャーニ・フルリエの詳細については、オンラインでご覧いただけます。
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