Introducing レイモンド・ウェイル × バスキアによるフリーランサー スペシャルエディション

　レイモンド・ウェイルは時計コレクターとアートの愛好家の両方を念頭に置いて、この作品を製作したようだ。表面的なレベルで見ると、この時計は遊び心のあるものと洗練されたものの境界線を行き来しているが、バスキアの作品そのものにも通じる。アーティストの作品によく登場する原色が支配するカラーパレットは、黒を基調とした背景の上で描かれており、大胆さと繊細さのバランスを保っている。

　同アーティストの作品への参考は、時計をひと目見ただけですぐにわかる。バスキアの“最高傑作”の数々が、時計という形で再現されているのを見るのは楽しい。最も顕著なモチーフは、12時位置に堂々と鎮座する王冠のイメージだろう。この繰り返し表現されるシンボルは、絵画とキャンバスの外の世界に存在する、より大きな社会的背景の双方で繰り広げられているパワーダイナミクス（異なる力をもつ両者のあいだでもたらされる相互作用）についてコメントをしながら、作品の主題のロイヤリティを高めるバスキア流の方法だった。さらに、この王冠はスーパールミノバでコーティングされており、このパワーシンボルは夜でも昼間と同じように見える。バスキアモチーフの分析を続けよう。ブラック文字盤の中央には象徴的な絵画、“ペッツディスペンサー”（1984年）に登場するTレックスのシンボルを再現したものが、時分針のすぐ下に描かれている。絵画のタイトルをとおして、作品は美術界とポップカルチャー全体の商品化についてコメントしているが、絵画技法自体はバスキアの原始主義的な美学を示している。

　43.5mm径×13.7mm厚の大振りなオールチタン製ケースと組み合わせたセラミックタキメーターベゼルは、より原色を基調としているほか、見返しリングの周りにはパルスメータースケールも追加し、機能性を高めている。クロノグラフ機能やプッシュボタンには、バスキアへのリファレンスやより深い意味が込められ、時計の背後にある熟練のクラフツマンシップとアーティストとの結びつきをさらに強めている。PVD加工されたクロノグラフのプッシュボタンとリューズはそれぞれ、リューズは黄色の王冠マーク、キャンセル/リセットボタンはコピーライト（©）マーク、そしてスタート/ストップボタンには＄マークなど、バスキアらしい処理を施している。クロノグラフが作動すると、バスキアの作品に繰り返し登場する生（LIFE）、死（DEATH）、人間（HUMAN）のテーマが刻まれたミニッツディスクが回転。また9時位置にあるスモールセコンドが際限なく回転する様は、人生の複雑性に対するアーティストの関心につながることを意図している。

　シースルーバックからは、レイモンド・ウェイルのトレードマークであるW字型ローターとブルーのガスケットを備えた、Cal.RW5030 バイコンパックスムーブメントの全貌を鑑賞できる。この機械式クロノグラフムーブメントは自動巻きで、約56時間のパワーリザーブを確保。最後の仕上げとして、ケースバックにはバスキア自身のサインを再現したものを配している。

　このモデルでは、形と機能が非常によく考えられていると感じる。バスキアの作品を称える、特別かつ非常に特殊な時計であり、スペシャル仕様のコレクターボックスに収められている。

ブランド: レイモンド・ウェイル（Raymond Weil）
モデル名: フリーランサー スペシャルエディション（Freelancer Special Edition）
型番: 7780-TIC-JMB01

直径: 43.5mm
厚さ: 13.7mm
ケース素材: チタン
文字盤: ブラック
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: ブラックカーフレザー、チタン製クラスプ

キャリバー: RW5030（バイコンパックスクロノグラフ）
機能: 時・分・スモールセコンド、日付表示、クロノグラフ
パワーリザーブ: 約56時間
巻き上げ方式: 自動巻き
石数: 27

価格: 4495ドル（日本円で約67万6000円）
発売時期: 今すぐ