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October 29, 2020
October 29, 2020
Interview ジュリアン・トルナーレ、ゼニスCEO

Interview ジュリアン・トルナーレ、ゼニスCEO

コンテンポラリーとトラディショナルが共存するゼニスの未来をCEOに直接伺った。

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高級時計は今大きな変革期を迎えている。世界経済の流れや新興マーケットの台頭、ラグジュアリー市場を支える世代交代といった背景に加え、スマートウォッチの誕生やハイテク技術によって伝統的な機械式時計も進化を遂げ、さらに流通形態やプロモーションも激変しつつある。隆盛を誇ったSIHHやバーゼルワールドの変貌ぶりもそんな時代を反映している。

長い歴史を誇る時計ブランドも例外ではない。ゼニスもそのひとつだ。5年前にグループ時計部門の前トップに就任したジャン-クロード・ビバー氏の下、エル・プリメロの伝統を受け継ぎつつ、変革を続けている。

一昨年ゼニスのCEOに就任し、その陣頭指揮を執るジュリアン・トルナーレ氏は、時計業界で24年のキャリアを持ち、前職のヴァシュロン・ コンスタンタンでは15年以上に渡って要職を歴任してきた。今後さらなる時代の波を受け、ゼニスの舵をどう切るか。来日したトルナーレ氏に話を聞いた。

柴田 充

デファイ始め、CEO就任後のゼニスの躍進は目覚ましいですね。就任前にはブランドにどのようなイメージを持たれていたんですか?

ジュリアン・トルナーレ

ゼニスにはずっと注目していました。リアルなマニュファクチュールという意味で。でも眠れる森の美女というか、ブランドとしてもっと高い位置を得るべきだとも思っていました。ですからまず考えたのは、これを伝え、本来あるべき位置に持っていくことだったんです。

就任以前はトップが短期間で変わって、ブランドの方向性が分かりづらい状況がありました。そのため、ブランドの安定化と方向性を見出すことが急務であり、就任3ヵ月はとにかくできるだけつぶさにすべてのことを見ました。とにかく重要なことは安定させることでしたね。

ウォッチメーカーには歴史をただ単に繰り返す

ところがあまりにも多いのですが、

ミレニアル世代など若い層に訴えるには新しいものも必要だと思います。

– ジュリアン・トルナーレ
柴田 充

その後、この2年で意識はどう変わりました?

ジュリアン・トルナーレ

もちろん歴史や伝統、ヘリテージ、オーセンティックはすべて重要です。しかしそれだけでは過去を表現するだけで、未来ではありません。かつてエル・プリメロを開発した人たちも、その当時の未来を見据えたヴィジョナリーだったわけではないですか。ウォッチメーカーには歴史をただ単に繰り返すところがあまりにも多いのですが、ミレニアル世代など若い層に訴えるには新しいものも必要だと思います。

柴田 充

ゼニスの特徴には、デファイに代表されるコンテンポラリーと、クロノマスターのようなトラディショナルがあると思います。このコントラストを共存させる秘訣とは?

ジュリアン・トルナーレ

クラシックとモダンをどのように構成立てて、セグメンテーションするか。エリートはスーパークラシックであり、より王道にふさわしく、今後さらにそれに見合ったものにしていくつもりです。クロノマスターもピラーモデルですが、少し過剰にいき過ぎた点もあり、修正が必要でしょう。パイロットもヴィンテージという位置づけを維持しつつ、より現代的な感性やスタイルを加えていこうと考えています。

こうしたトラディションとは対極に位置づけるのがデファイであり、私はこれをラボラトリー、実験室だと思っていて、ここで未来を作ろうと思っています。よりクレイジーなアイデアを試すラインですね。これまでトップが変わる度、方向性も変り、成長した点も多かった反面、揺り戻しも大きかった。ただ自分としては長い歴史と新しいものは共存できると思います。

トルナーレ氏のゼニス デファイ インベンター

トルナーレ氏がラボラトリーと称するデファイシリーズの最新作デファイ インベンター。

柴田 充

時計業界のキャリアも長く、少しご自身のプロフィールについても伺いたいと思います。そもそも時計に興味を持ったきっかけは?

ジュリアン・トルナーレ

正直にお話すると、そんな熱心な時計好きではなかったんです。ただジュネーブで4世代続く家系で、当然時計に囲まれていたので、幼い頃から関心がありました。確か12か13歳の時だったと思いますが、父の友人に時計師がいて、時間をとって時計の中まで開けて細かな機能を説明してくれました。これが最初の接点でした。卒業後は銀行に務めたのですが、どうもエモーショナルに感じられませんでした。そんな折り、きっかけがあり、時計業界に転身したのです。

柴田 充

むしろ過度な時計愛好家でなかったからこそ、時計を冷静に見られるし、臆することなく新しいトライができたのではないですか? しかも常に12歳の頃の感動を持ち続けているように感じます。

ジュリアン・トルナーレ

小さい頃から夢を抱いていると、いざその仕事に就いた時に失望してしまうことが多々あると聞きますからね。それに対し、自分は完全にオープンでニュートラルだったので、時計業界に入った瞬間から毎日が学びであり、発見であり、成長を実感しました。いまも業界や時計に対する自分の情熱は日々増しています。仕事ではあっても楽しいんです。

お前はそれには若すぎる。

もっとダイナミックに未来を見るべきだ。

– ジャン-クロード・ビバー
柴田 充

難しい質問ですが、トルナーレさんにとってゼニスのフェイバリットモデルは?

ジュリアン・トルナーレ

うーん、とても悩ましい。強いて挙げればデファイ21でしょうか。理由の一つは、入社初日に女性スタッフからクラシックなモデルを渡されたんですが、それを見たビバーさんが怒り出して「お前はそれには若すぎる。もっとダイナミックに未来を見るべきだ」といって、これを着けろと自分が着けていたプロトタイプのデファイをくれたんです。もう恐縮してしまって。以来それを愛用しています。

デファイ21を気に入っているもうひとつの理由は、視覚的に時を表現している点です。クロノグラフを今、実用機能として使う人はほとんどいません。携帯でも事足りますし。でもあの1/100秒計測のスピードはとてもインパクトがあります。時を計るというよりも見て感動する。そこに新たな価値を生み出していると思うのです。

ゼニスは時計ブランドですが、こうしたエモーショナルな感動や発見を今後も提供していきたいですね。