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Photo Report LVMHドバイ ウォッチウィーク2020 BVLGARI ブルガリ

SSやゴールド、ポリッシュセラミックを纏った、正統派のオクトフィニッシモがその姿を見せた。

LVMHグループによる時計業界での新たなる展示会がついにスタートした。開催場所は中東・ドバイ。ブルガリ、ウブロ、ゼニスの3社が一年で最も早く新作をローンチする、いわば本年の“プレミアロードショー”が行われるのだ。昨年までは、SIHHと会場を別にして毎年1月にジュネーブで新作発表を行っていた同グループだが、時計メーカーの産業構造的にも、我々のようなジャーナリストに対しても一年の早いタイミングで新作を発表すべきという意図で今回の展示会に踏み切った。 

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 会場となったのは、ブルガリ ホテルズ&リゾート ドバイ。ペルシャ湾を望むブルガリとしては5つめのホテルで、イタリア出身の建築デザイナーデュオであるアントニオ・チッテリオ・パトリシア・ヴィールが設計を手掛けた一大リゾートだ。2017年に操業をスタートしたこのホテルに、世界各国から250名のジャーナリスト、350名のディーラー関係者などが集まり、新たなる時計の祭典の門出に立ち会った。

 さて、そんなブルガリの今年の目玉はオクト フィニッシモのバリエーション追加とセルペンティ セドゥットーリ トゥールビヨンだ。

  まず、セルペンティだが、レディスウォッチとしては同社初となる専用ムーブメントCal.BVL150を搭載してのマイクロトゥールビヨンモデルである。これまで、メンズのトゥールビヨンを用いてのユニークピースは存在していたが、今回はセルペンティの小さなケースに収めるべくイチから開発を行ったという。ブリッジをケースバック側に配したことで正面ではミニマルなキャリッジが強調され、フライング・トゥールビヨンかのようである。

 ジャン-クリストフ・ババンCEO曰く、このムーブメントの開発には5つの最薄ワールドレコードを保有するメンズの“フィニッシモ”が大きく貢献しているとのことで、より薄く小型にしても精度を追求できる技術力が備わっていることの証明といえるだろう。何より、このセルペンティ トゥールビヨンは美しい。

 さて、メンズも負けずに力が入っている。人気のオクトに新作が拡充されたのは規定路線だが、今回はよりアフォーダブル(比較的手ごろ)なオクト フィニッシモの登場に胸が躍った。ミニッツリピーター、ブラックセラミック、18KPG、そしてSSモデルが登場し、リピーター以外のモデルは思わず聞き返してしまうようなプライスで発表された。
 ブラックセラミックが167万9000円、18KPGが239万円、SSがなんと129万円である。昨年発表されたサンドブラスト仕上げのSSフィニッシモが143万4000円であるから、10万円以上もお手ごろになったのだ。SSについては、ケースがポリッシュ仕上げに、ダイヤルは梨地仕上げになり防水性は100Mに高められた。ババンCEOはこのSSやゴールドモデルの投入を、より間口を広げて多くの層に訴求するためと明言した。オクト フィニッシモといえば、チタンやサンドブラスト仕上げのマットな質感が顔であったが、今回、より一般的なスポーツウォッチの意匠であるポリッシュドSSやレザーベルトとの組み合わせでゴールドモデルを発表した意図はまさにそうなのだろう。これは、オクト オリジナーレとの棲み分けとしても重要なポイントに思えたが、より薄く着けやすい時計に手が届きやすくなったのはとても歓迎すべきことと思う。

 オクト フィニッシモは当時世界最薄の自動巻きムーブメントを搭載したモデルであり、見た目のスポーティさと裏腹な極薄ケースが醸すエレガンスが魅力の時計である。しかしながら、ただでさえ薄く軽いため、これまで主に用いられていたチタンケースでは軽すぎると感じて敬遠していた人もいるのではないだろうか? いつまでも一眼レフカメラの愛好家がいるように、金属製の高級時計にそれなりの重みを求めるのも自然な欲求だと思う。その意味で、僕はSSのフィニッシモは非常にバランスの良い時計だと感じたし、プライスも含めて本命になりうる一本だ。
 昨年、ショパールやランゲの参入により競争が急激に激化しているSSスポーツウォッチカテゴリだが、ブルガリの本気がさらにこの市場に熱を与えることは間違いないだろう。


フォトギャラリーと新作のプライス