2024年、時計業界は驚きと発見に満ちた一年でした。新たなモデルの発表や革新的な技術の進化、そして名作の復活により、多くの時計愛好家たちの関心を集めました。僕たちのメディアも、この一年を通じて数多くの記事を発信しましたが、今回はそのなかでも特に多くの反響をいただいた「2024年に最も読まれた記事」をご紹介します。時計ファンたちの熱い視線を集めた注目の記事を振り返りながら、今年の腕時計トレンドを改めてお楽しみください。
10位: ロレックス 新しいグレー&ブラックベゼルのステンレススティール製GMT マスターIIを実機レビュー
意外に思われるかもしれませんが、グレーとブラックのベゼルを備えたGMT マスターII Ref.126710GRNRは、Watches & Wonders 2024で発表された唯一のステンレススティール製モデルでした。華やかな“セレブレーション”や“パズル”ダイヤルといった2023年の新作と比較すると、非常に落ち着いた印象を与えます。また、多くの人々が期待していた“コーク”(ブラック/レッドのツートンベゼル)ではなかったものの、控えめながらも確かな存在感と高い実用性は、トラベルウォッチとしての魅力を存分に発揮しています。確かに“普通のGMT”と言えますが、このモデルはロレックスのラインアップに新たな魅力を加える重要な選択肢となっています。
『Hands-On ロレックス 新しいグレー&ブラックベゼルのステンレススティール製GMT マスターIIを実機レビュー』
9位: ムーンスウォッチとスキューバ フィフティ ファゾムス製造の舞台裏へ潜入
ムーンスウォッチやスキューバフィフティ ファゾムスの新作が発表されるたびに、本サイトで取り上げてきました。今年はムーンスウォッチのまとめ記事『オメガ×スウォッチのコラボレーションから生まれた、ムーンスウォッチのすべて』も公開しましたが、それらがどのように作られているのか、実際の製造現場を訪れる機会はありませんでした。しかし、Watches & Wonders 2024終了後、スウォッチグループのCEOであるニック・ハイエック・ジュニア氏とのインタビューを含む特別な取材が実現しました。システム51やバイオセラミックの製造工場を直接見学し、製品の背後にある製造プロセスや挑戦、そしてそれを支える革新の数々を深掘り。プロダクトそのものだけでなく、それを形作るストーリーにも迫った取材内容をお届けしました。
『Inside The Manufacture ムーンスウォッチとスキューバ フィフティ ファゾムス製造の舞台裏へ潜入』
8位: ザ・シチズン ゴールドとチタンが調和した38mmの限定モデルは思いがけない時計だった
遠くから見ると金無垢モデルのように見えて、実際に手に取ってみると信じられないほど軽いスーパーチタニウム製のザ・シチズン限定モデル、AQ4103-16Eのハンズオン記事が8位にランクインしました。ブランドのラインアップのなかでは最上位に位置するわずか350本の限定生産モデルです。ケースの黄金色のカラーリングはデュラテクトゴールドコーティングによるもので、“和紙”文字盤には“砂子蒔き(すなごまき)”という日本の伝統的な手法によって丁寧に金箔が施されています。年差±5秒という極めて高い精度を誇り、着けやすいパッケージの本作の詳細をぜひ以下のリンクからご覧ください。
7位: ロレックスが初めてのサブマリーナー正史を発表
書籍『オイスター パーペチュアル サブマリーナー』に関する記事がランキング入りしました。本書は、1953年に発表されたサブマリーナーの全歴史を網羅した“広範な記録”であり、ロレックスのアーカイブにアクセスする特別な許可を得た著者ニコラス・フォークス(Nicholas Foulkes)氏によって執筆されました。サブマリーナーの水中探検における役割や、環境保護に焦点を当てた「パーペチュアル プラネット イニシアチヴ」を通じたロレックスの取り組み、さらにはアンバサダーたちの活動も詳しく紹介されています。時計史やロレックスの哲学に興味のある方にとって、必読の一冊です。ロレックスの新作時計以上に書籍が注目を集めたことは、HODINKEE Japan読者の関心の方向性を象徴しているように思います。
6位: グランドセイコー 45GSを再現した限定版、SLGW004とSLGW005(編集部撮り下ろし)
グランドセイコーが1968年に発表した伝説的なヴィンテージモデル45GSを現代に蘇らせた最新の限定モデル、SLGW004とSLGW005。この新作は、45GSが半世紀前に示した「手巻きハイビートキャリバーの頂点」を、今年4月のWatches & Wondersで発表された最新の手巻きハイビートムーブメント「Cal. 9SA4」を搭載することで再び実現した一品です。ヴィンテージへの敬意と現代技術の融合が生み出す特別なモデルに仕上がっています。
今年11月に開催された「HODINKEE.jp × GS9 Club エクスクルーシブ ナイト」では、予約を取るために日本列島を北から南まで順に取扱店へ電話をかけたという参加者もいるほど、その話題性と熱意の高さが際立っていました。その盛り上がりを振り返ると、人気記事ランキングで6位にランクインしたのも納得の結果です。
『Introducing グランドセイコー 45GSを再現した限定版、SLGW004とSLGW005(編集部撮り下ろし)』
5位: 暗闇のなかの灯火を表現した、カシオウォッチ50周年記念カシオトロンの第3弾
2024年はカシオ計算機株式会社が時計製造の分野に進出してから、50周年にあたる記念すべきタイミングでした。年の初めにカシオとして初の腕時計、カシオトロンが復刻したことを皮切りに、アニバーサリーを祝すためにさまざまな記念モデルが登場しましたが、それを後押しするように秋に登場したのが金のカラーリングをまとったモデルです。ケースとブレスレットの全面にブラックIPを施し、フロントビューではベゼルとダイヤル上のロゴにのみあしらわれたゴールドカラーがアクセントとなっています。
4位: セイコー プロスペックス SBDC195とSBDC197を実機レビュー
本国版HODINKEEの新編集長ジェームズ渾身のプロスペックスのレビュー記事が4位にランクイン。本モデルは、セイコー初のダイバーズウォッチである62MASを2020年にデザイン面から再構築した“20MAS”(愛好家のあいだで呼ばれる愛称)をさらに改良し、“24MAS世代”とも称される進化形のダイバーズウォッチです。ケースの小型化や日付位置の変更、新ムーブメントの搭載に加え、ブレスレットのデザインも一新されています。ジェームズは、着用感からムーブメントの精度に至るまで、この最新機の魅力を徹底的に掘り下げ、その真価に迫りました。ジェームスのダイバーズウォッチレビューでは、グレーのNATOストラップへの換装することが多いですが、本記事ではありませんでした。新デザインのブレスレットのつけ心地がどれほど良くなったのか、以下のリンクから確かめてください。
3位: ダニエル・クレイグがオリンピックで未発表のオメガ シーマスター ノンデイトを着用?
2023年、オメガがニューヨークで開催した“プラネット オメガ エキシビション”で、ダニエル・クレイグが未発表のホワイトダイヤルのスピードマスターを着用し話題を呼びました。2024年にスピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル ホワイトラッカーダイヤルの登場で正式に答え合わせをしたわけですが、今度は彼がオリンピックの会場で未発表のシーマスター ノンデイトを着用している姿が目撃され、再び注目の的となりました。
このモデルは最終的に、“ダニエル・クレイグ”モデルとしての特別仕様と、ブラッシュ仕上げのシルバーダイヤルとベゼルを備えたバリエーションの2種類が、2024年新作のシーマスター ダイバー300Mとしてお披露目されました。リーク情報とは一部異なる点もありましたが、エントリーモデルとしての魅力を十分に備えた素晴らしい一品であることに変わりありません。これからも、ダニエル・クレイグの手首が新作ウォッチの発表を先取りする場面から目が離せませんね。
2位: ムーンスウォッチとスヌーピーのコラボレーション! オメガ × スウォッチによる”ミッション・トゥ・ザ・ムーンフェイズ”が誕生
スウォッチから数ヵ月にわたって事前の予告がされていましたが、大人気のムーンスウォッチとスヌーピーがコラボレーションした“ミッション・トゥ・ザ・ムーンフェイズ”の登場はサプライズになりました。ホワイトダイヤル、ホワイトケース、ホワイトのベルクロストラップと、統一感のある白一色のデザインがひと際目を引く本作。その右上のインダイヤルには、スヌーピーとウッドストックが月の上でくつろぐ愛らしいシーンが描かれ、ファン心をくすぐります。また、限定モデルではなく通常生産モデルとして展開される点も大きな話題となり、多くのページビューを集めました。
『Introducing ムーンスウォッチとスヌーピーのコラボレーション! オメガ × スウォッチによる”ミッション・トゥ・ザ・ムーンフェイズ”が誕生』
1位: 日本でしか手に入らないグランドセイコー3モデル ― そのうち1本は東京から6時間かかる場所でしか手に入らない
HODINKEEの優秀なエディター、マーク・カウズラリッチが日本出張中に執筆した記事が、見事ランキング1位を獲得しました。本サイトではこれまで、北米限定のグランドセイコーに焦点を当てた記事もいくつか取り上げてきましたが、今回の記事では、日本国内でしか入手できないグランドセイコーの限定モデル3本を一挙に紹介。そのうち1本は岩手県にあるグランドセイコースタジオ 雫石を訪れる必要があるとても希少な1本です。それぞれに個性を備えた日本限定をぜひ以下のリンクからチェックしてみてください。
『Hands-On 日本でしか手に入らないグランドセイコー3モデル ― そのうち1本は東京から6時間かかる場所でしか手に入らない』
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