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Photos by Mark Kauzlarich
私はGMTに関する問題を抱えているかもしれない。何年も前から、どうにかして新しいロレックス ペプシ GMTマスターIIを手に入れる方法を見つけたいという考えが、頭のなかの大部分を占めていた。1920年製の懐中時計よりも、ロレックスのRef.1675 GMTマスターは私が現代的な時計を理解する上で、大切な経験となった。初めてRef.1675を扱った場所をよく覚えている。それはニューヨーク・ソーホーにあるRRLだった。店員がアンティークやヴィンテージジュエリー、その他さまざまな時計が並ぶケースから時計を取り出し、それを何気なく私に手渡した。手にしているあいだ、私は世界で最も価値のある時計を扱っているような気がした。
それ以来夢中になっている。今年の初め、友人がミラノにある家族経営の時計小売店を営むフェデリコ・ベルガ(Federico Verga)を紹介してくれた。腰を据えて主要ブランドの最新カタログの状況について話していると、彼は私に、いま何を買いたいか尋ねた。昨年ペプシを手に入れたにもかかわらず、私は2年前に出たレフティ用GMTマスターIIを直感的に選んだ。最も素晴らしいと感じている時計が、同じバリエーションであるというのは馬鹿げているように思うかもしれない。しかし、過剰なまでにGMTマスターについて考えたのはこれが初めてではない。私は現代のロレックス GMTの全SKUを手に入れることを想像してきたが、そのなかでも最もクールだと感じたのは、メテオライト文字盤を持つホワイトゴールド製GMTマスターIIだ。GMTマスターIIの別のバリエーションが悪いとかつまらないとか、そういうことを言う気にはなれない人間だ。なぜ私がこのモデルを悪くないと思っているか、理由を説明しよう。
もしまだ気づいていない場合、驚かれるかもしれないが、新しいRef.126710GRNR(グリスノワールはグレーとブラックのツートンベゼルを意味する)はWatches & Wonders 2024で発表された唯一のステンレススティール製ロレックスである。ティエリー・スターン氏がSSノーチラスを捨てたような、完璧な“パテックムーブ”とは行かないまでも、ロレックスにとって異例の年であることは間違いない。また、昨年のロレックスサプライズとはかなり違った意味で珍しい。ブランドは、“セレブレーション”や“パズル”ダイヤルが今後の前例を作るものではなく、単に時間を楽しむためのひとときであると私たちに告げた。そのためグレー/ブラックは地球を揺るがすようなものではないが、安心感を与えてくれる、最高のロレックスなのだ。
新しいGRNR(まだ一般的な愛称が決まっていないため)についてのすべては、基本的にほかの126710と同様だ。ケースは40mm径×12mm厚のSS製で、ブレスレットはジュビリーとオイスターから選べる。本モデルは約70時間パワーリザーブを誇るCal.3285を搭載し、独立したジャンピング時針があるので、各地を移動する際はタイムゾーンをスキップできる。
つまり、セラクロムベゼルが非常に絶妙なブラックとグレーのグラデーションになっていること、文字盤の“GMT-MASTER II”と24時間針が大胆な緑色になっているのが、既存モデルとの主な違いだ。もちろん、これはほんの微調整であり、飛びつくほどの価値があるとは言わないが、選択肢が増えることは悪いことではない。既存のペプシは、その象徴的な色の組み合わせから愛された存在で、素晴らしいオリジナルロレックスのRef.6542にまでさかのぼる。ただ控えめなスタイルを好む私としては、赤いアクセントがかなり派手に感じられることがある。もちろん“バットマン”を頼んでもよかったのだが、青もかなり大胆だと思う。
誰もが目立つ時計を欲しがるわけではない。しかしこれまでは、そのような顧客を満足させる現行モデルは、長らく製造中止となっていた古いRef.116710LNだけだった。モノトーンのベゼルはあまり好まなかったが、フォトジャーナリストとして働いていた場所の多くは、時計にあまり注目してほしくない場所だった。しかし必ずしも一緒に旅行できる時計を持つことを止める必要はない。
継続された素晴らしい要素は、グリーンの“GMT-MASTER II”のテキストと針で、それまでの地味なリリースに必要な色彩を与えているが、今回はグラデーションベゼルが最大の改良点である。ベゼルのデイ/ナイト表示を駆使している人がどれくらいいるのか分からないが(いたら教えて欲しい)、少なくともそれはベゼル上にいくつかのコントラストを生み出しつつ、オリジナルのGMTに言及したものだ。
私は最初の記事で、多くの人々が期待または希望していた“コーク(ブラック/レッドのツートンベゼル)”ではないと触れた。だが、個人的にはコークを望んでいなかった。オクタン価の高い“超コーラマニア”であるにもかかわらず、GMTのカラーコンボがあまり好きではないのだ。この新色の発売も、象徴的なペプシのディスコンにはつながらなかった。この生産中止が噂されるようになったのはここ6~9カ月のことだ。時計コミュニティのメンバーが、年を追うごとにAD(正規販売店)がペプシの出荷を減らしていると報告していたからである。その噂は製造中止から始まり、ロレックスがベゼルの製造にさえ苦労しているという指摘にまで発展した(確かにセラクロムベゼルが最初からペプシに搭載されなかったのは問題だった) 。今となっては、ロレックスが新製品の発売に向けて生産速度を減速していたというのが、より明確な答えかもしれない。
もうひとつ驚いたのは、新しいGRNRがジュビリーとオイスターの両方のブレスレットで提供されるだけでなく、一方のブレスレットで時計を持っている場合、もう一方を購入することができるという事実だ。これはここ数年のあいだに数人の友人から教わった、それほど秘密ではない裏技のようなものだ。適当な正規販売店に行けば彼らがもう一方のブレスレットの購入を手伝ってくれるかもしれないが、場合によっては、独創的なエピソードを用意して、いくつかの困難を乗り越えなければならないだろう。この新しい方針がすべてのGMTマスターIIに適用されるかどうかは不明だが(尋ねてみたがまだはっきりしていない。でも私を信じて)、期待している。
(私のように)GMTマスターを見て“全部集めなくちゃ”と思うちょっと変な人であれ、もっと控えめなSS製GMTを待っていた人であれ、新しい126710GRNRはオイスターブレスレットで154万円、ジュビリーブレスレットで156万9700円(ともに税込)で手に入れることができる。ペプシ、スプライト、バットマン、そしてこのモデルの名前が何であろうと、SS製GMTの流通が活発になることを願っている。
Ref.126710GRNRの詳細については、Introducing記事をご覧いただくか、ロレックス公式ウェブサイトをご覧ください。
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